愛する絵本作家シリーズいしかわこうじ編〈1〉では、いしかわこうじ絵本を紹介することで魅力を掘り下げました。今回は、更に掘り下げていきたいと思います。
波にのるか、のまれるか
ワークショップ開催に合わせて、いしかわこうじ氏と一緒に3日間過ごしました。その中でよく聞いた言葉があります。「波にのるか、のまれるかだよ」です。
自分の身の回りで起こったことに対して、「大変だぁ」と思うことなく、どんなことでも前向きに捉えて、波にのって楽しんでいこう!
つまりは、「同じことをしていても、自分がどう関わるのか、どう思って行動するのかでかわる」と説明してくださいました。
そこで俺は「例えばこんなことがあったらどうします?」と質問。
Q.保育園で働いていて、「〇〇作ってくれます?」と同僚に仕事をお願いしました。出来上がったものは自分の考えていたものとは違いました。そんな時はなんて思うのですか?
A.「この人はこんな風に作るのか!おもしろいなぁ!」って思うよ。
俺は常にこんな風に考えることが出来るのだろうか…。見習いたいです。そして、いしかわこうじ氏のおはなし会でもそのマインドは表れます。
『パンダくんのおにぎり』
いしかわこうじ
ポプラ社/2020年
パンダくんの食べようとしたおにぎりが山の上から転がっていき、動物たちのいる場に入りこんでしまいます。絵の中からおにぎりを見つけ出す絵探し絵本。
おはなし会では大盛り上がりで、子どもたちが次々に「あった!」と声を出します。もちろん正解を出す子どもが多いですが、中には「おにぎりない!」という子どももいます。
そんな時、いしかわこうじ氏は「ないってのも良い答えだね」「答えがない!それもいいか」と答えます。子どもたちの言葉を必ず全肯定します。
ユーモアを交えながら、子どもたちの気持ちの波に大きくのって一緒に楽しんでいます!
あくなき好奇心と探求心
いしかわこうじ氏は、すばらしき好奇心の持ち主だと思いました。イベント撮影のために使用したドローンを見るやいなや「操縦してみたい」と言い、また、知らない保育の世界の話にも一生懸命に耳を傾けてくださります。
一緒に訪れた植田正治写真美術館では、植田正治の作品と鳥取の雄大な景色に感動し、ご自身も感動の一枚を求めて撮影。また、鳥取砂丘でもしっかりと自分の足で日本一を体感しながら歩き、学習センターでは、真剣に学んでおられました。
この「波にのる」「好奇心と探求心」は、鳥取市男性保育士会じゃんぐる☆じむと共に取り組んだワークショップで存分に発揮されることとなりました。
『ペーパーわんこ絵本 コタロウ』
いしかわこうじ
ポプラ社/2017年
いしかわこうじ氏は全国各地で、ペーパーわんこ&にゃんこを作るワークショップを開催しておられますが、鳥取では作ったわんこ&にゃんこをジオラマに置いて絵本の世界を表現しようということになりました。
参考にしたのはある絵本の1ページ。
『どんどんぱっ』
いしかわこうじ
KADOKAWA/2023年
人気者になりたいたぬきくんの願望は、自らの変身能力で「どんどんぱっ」と変身して読む人たちを喜ばせます♪
「どんどんぱっ」の掛け声と変身ポーズ、ページをめくるという本の基本動作と変身が見事にマッチしています。
この絵本のラストページを鳥取市男性保育士会じゃんぐる☆じむといしかわこうじさんで再現しました。※ぜひ絵本と写真を見比べていただきたい!
こちら側の計画、製作の意図の波にのってくださり、思う存分に取り組むことが出来ると同時に、出来上がるまでに色や建物、木の配置の細部まで素晴らしいこだわりを見せていただき、まさに『熟考』という姿でした。かっこ良い。
ワークショップでは、たくさんのわんこ&にゃんこが出来上がり、すばらしいジオラマが完成し、いしかわこうじ氏にも「とても心に残りました!」とお褒めの言葉をいただきました!
写真で一部ご覧下さい。
いしかわこうじ氏とワークショップに取り組む中で感じたことは、保育の中でも大切にしたいことと繋がります。子どもの思考の波にのり、好奇心と探求心で一緒に楽しみ、保育の質の担保として、こだわりを持ち妥協はしない。俺も見習わせていただきます!!