4月から新しい環境に
幼稚園に勤務し始めて2か月が経ちました。子どもたちと絵本を読んで読んで読んで楽しんでいます!日本一絵本を読む保育士の本領発揮!!現在は3歳児年少クラスの担任をしています。昨年度までは7年間児童発達支援センターに勤務していたので7年ぶりに同じ年齢の子どもたちが集まる環境で絵本を読んでいるというわけです。発達、興味関心に合わせた選書をして読んでいます。 昨年度は児童発達支援センター勤務。そこでは発達支援の必要な子どもが通園していて、クラスは年齢別ではなく、子どもたちの発達特性に合わせて編成されていました。
発達特性は様々で年齢も2歳児から5歳児まで幅がありました。視覚からの情報が入りやすい子どもが多いので視覚効果の強い絵本など、読む絵本は子どもの発達や興味に合わせて絵本を選書する。読んでみてから楽しければどんどん読んでいく。全員にぴったりハマる絵本はなかなかありませんが、その中でも繰り返し読んで絵本を通して子ども同士が繋がっていく感覚に仕事のやりがい、絵本の読みがいを感じていました。
同時に、いろんな場所でおはなし会をして絵本を読んでいます。決まった年齢が参加していることはほぼなく、赤ちゃんから大人まで幅広い。俺のおはなし会のプログラムは決まっていません。参加者の年齢、興味関心、読む場所の広さや時間などを考慮しながらその場で選んでいきます。
その中で参加者みなさんに楽しい時間を過ごしていただこうと思うと、どうしても読む絵本も歌やインパクト強めの本が多くなります。それらを中心に季節の絵本や物語絵本を入れ込みながら様々なジャンルの絵本を読んでいます。
本を読む場所・状況から生みだされる楽しみ方の違い
発達特性ごとのクラスやスポットで開催されるおはなし会に対して、同じ年齢子どもたちのクラスで毎日絵本を読むということを考えていきます。おはなし会と違うところ
- 繰り返し同じ絵本を楽しむことができる。
- じっくり時間をかけて読むことができる。
- 絵本から広がる活動を展開できる。
- 幼年童話など長いお話は「続きはまた明日」ができる。
発達支援の場と違うところ
- 視覚効果の少ない絵本も楽しみやすい。
- おはなしの世界をみんなで共有できやすい。
- 発達と共に楽しむ絵本が変わっていきやすい。
ずんずんばたばたおるすばん
ねじめ正一 文 降矢なな 絵
福音館書店 2022年
お母さんがお買い物にでかけたとたん、サル、ナマケモノ、リス、モグラなど動物たちがどんどん飛び出してきて、家の中で楽しく「ずんずんばたばた」します。ラストシーンでお母さんが帰ってくるとあれだけいた動物たちはどこへやら…。
この絵本のリズムのあるテキストと愛くるしい僕と動物たちの絵、バタバタ感と縦開きの迫力ある構図が楽しくて毎日、午睡の前に読んでいました。俺は給食後、昼寝に行く前に子どもたちとお話の世界に入る時間がすごく好きです。ゆったり、うっとり、ちょっと興奮する時間。 絵本の裏表紙には飲み終わった後の牛乳パックが横たわっています。
子どもと俺のやりとり
俺「この牛乳パックなんだ?」←本当にわかっていない俺「お母さんが買ってきたお土産と一緒に飲んでそのままか」
子「なんで?」
俺「なに?」
子「ペンギンが飲んどったがー」
子ども達「そうそう」
俺「そうなん!?」
ページをさかのぼってみると… 確かに! 冷蔵庫の前でペンギンが牛乳を飲んでいました。これは、テキストを中心に読んでいる俺と絵を読んでいる子どもたちの違いです。子どもは絵を読んでいるということがよくわかるエピソード。
この日を境に「ペンギンが牛乳飲んどる」だけではなく「○○が○○しとる」とたくさん文字を読んでいる俺に教えてくれるようになりました。毎日、同じ子どもたちと同じ絵本を読むからこその楽しみがそこにあります。
またあるとき。子どもたちが昼寝している時間には年長クラスへ遊びに行きます。
『いやいやえん』
中川李枝子 作 大村百合子 絵
福音館書店 1962年
幼年童話を中心に本を読んで「続きはまた明日」と去っていくおはなしおじさんをしています。これもおはなし会では楽しむことができない絵本の楽しみ方のひとつですね。
絵本が生み出す魔法の計算式
家庭で絵本を読む楽しみはまた違います。絵本は読む人、読む場所が違うと楽しみ方も違ってきます。すなわち!
絵本×読む人×読む場所=楽しみは無限大∞
今日もまた新しい答えにワクワクしながら、絵本を読み続けるのでした。
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