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なぜ『読みあい』と言うのか?【正しい絵本の読み聞かせ方って?<その4>/あーといってよあー】

絵本の読み聞かせをする保育士
絵本専門士として活動する現役保育士「うっちー先生」による、絵本愛あふれるコラム。入魂の「正しい絵本の読み聞かせ方って?」シリーズ第4回目は、「読みあい」について。実際にあったエピソードと合わせて解説してくれました。
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絵本の『読みあい』とは?

これまで、正しい絵本の読み聞かせ方について文章を書かせていただき、絵本は自然に読むということをお伝えしてきています。

そもそもこの『読み聞かせ』という言葉が子どもに押し付けているような感じを受けるため、『読み語り』『開き読み』などの言葉を使用している方もおられます。俺は基本的には、名詞として『読み聞かせ』、動詞として『読みあい』という風に使い分けています。




俺なりに『読みあい』を俺は絵本を読んでいる、相手も絵本を読んでいる。絵本を間にはさんで、その場の空間にある響き合いを楽しみながら読むと解釈して日々子どもたちと読みあいをしています。つまり、決まった方法や形があるものではなく、その日その場その人で絵本を楽しんでいきます。
絵本「あーといってよあー」の書影
『あーといってよあー』
小野寺悦子 作
堀川理万子 絵
福音館書店 2015年

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保育の中でもおはなし会でもどこでも読む絵本。俺の十八番! 読んでいるみんなで「あー」と言っていく科学絵本。「あー」は「あー」でも、上を向いた時と下を向いた時の声は違う。口や胸をタップすればまた違う。クラスで毎日読んでも昨日と今日は違う声。所変われば全然違う♪ 1歳児から小学生、大人まで全国各地で読んでいる俺が言うから間違いなし!

「この絵本どうやって読んだらいいかわからなかったけど、うっちー先生みたいに読んだら楽しいですね。」
ってよく言われます。

俺みたいな読み方の自己分析は難しいですが、俺と子どもたちの共鳴し合う感じが良い評価になっている模様です。

読みあいから広がる活動

俺の今の職場は児童発達支援センターで、発達支援の必要な子どもたちが通園しています。園児はこの絵本が全員大好きです。声が見えるように描いてあり、目で見てわかりやすく、自分の声に気づいたり、声量の調整に効果的だったりします。しかし、認知能力での効果的な面ではなく、クラスが一緒になって絵本を楽しめる協同性や自分の声と友だちの声を響かせる表現など非認知能力の面に注目しています。

ある日、ひとりの子どもが机に置かれた紙に向かって「あーーーーー」と伸ばしながら自分の声を描いています。友だちもその様子を見ています。

「これだ!!」

と思った俺たち保育士は、クラスの遊びに広げていきました。 子どもたちは飽きるどころか、自分の描いた線をもう一度指で辿って声を出したり、保育士や友だちと並んで描いたり、ひたすらに自分の声の形を描き続けたりする姿が見えてきました。そして!遊戯室一杯に紙を貼り、みんなの「あー」を描きまくりました!その時の写真をお見せします。説明不要。写真を見ればどれだけ楽しんだか感じられるはず。

Before
子ども12人30分程度遊んだAfter
描き終わった後、自分たちの描いた「あー」を見てみようとみんなで紙の上を散歩することに。しかし、足の裏に絵の具を付けたくない感覚過敏な子どもがいました。描く時も紙の上には乗らず手を伸ばして端っこにチョンチョン描いたり、別場所に用意してあった紙に描いたりしていました。俺が抱っこして散歩。自分の世界にいることが多い子どもでしたが、この時は保育士や友だちと一緒に壁に描かれた線を指さしながら「あーーー」とかわいい声が出ました。絵本がなくても絵本の世界から飛び出した遊びで読みあいを楽しむことができた瞬間でした。この時の感動を今でもしっかり覚えています。

保育・療育の事例をひとつ挙げました。これも絵本を自然に読むことだと思います。


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