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焼き鳥は塩派?タレ派?良い絵本ってなんだろうを考える①【とこやにいったライオン】

焼き鳥
絵本専門士として活動する現役保育士「うっちー先生」による、絵本愛あふれるコラム。今回から、新シリーズがスタートしました。テーマは「良い絵本ってなんだろう」。第1回目は、何やら面白い出だしですが、うっちー先生の真意は?
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こだわりが現れる焼き鳥の味付け

先日、男性保育士仲間と焼き鳥屋さんに行ったときの話。タイトルにもある通り、それぞれが焼き鳥の味付けにこだわりを持っていました。
  • 俺→モモ(タレ)、砂肝(塩)、つくね(タレ)と好みによって注文する。
  • 先輩→ほぼすべての串焼き(タレ)で注文する。
  • 後輩→素材の味を楽しみたいからすべての串焼き(塩)で注文する。
俺なんかは、結構都合の良い人間ですから、食事は同じものを食べ続けても平気の平左ですが、こだわりもあったり旨い食べ物があればコロコロ言い分を変えたりします。




みなさんは塩派ですか? タレ派ですか? それぞれ好みが違っていて当たり前!!…そうだ! これは絵本コラムだった! 絵本の話に戻ります。

「おすすめの絵本ありますか?」への答え

保育士や保護者の方と話していると、よく「おすすめの絵本ありますか?」と聞かれます。たいていの場合は自分の中でいま流行っている絵本を紹介します。しかし、ちゃんとおすすめ絵本を紹介しようとすると、1時間近くかかってしまうことも。せっかく絵本コラムという場を頂戴している良い機会なので、このテーマをじっくり掘り下げたいと思います。

『絵本は心の栄養』という言葉を聞いたことがありますか? 人間の体は、食べた物で作られています。3か月経つと体の細胞は新陳代謝により全て入れ替わると言われていますので、現在の自分は3か月間で取り入れた食べ物、栄養でできているということになります。

同じように、絵本を読むことにより心が癒され、新しいものを取り入れます。また、読みあいにより人と繋がる心地良い経験をし、心が育っていくので『絵本は心の栄養』というわけです。

主食になる絵本って?

ある日、鳥取市内で昔話講座を受けているときのこと。昼休憩に喫茶コーナーでコーヒーを飲んでいると、隣のマダム二人組が「でもあれよね、やっぱり主食になるような絵本を与えなくちゃダメよね~」と言っているのが聞こえてきました。俺は思いました。

「主食ってなんだ…?」と。

主食が何かは知っている。まず本の作りそのものがしっかりしていて、物語性がしっかりしている。そして、子どもの心に届きやすい。俺はそういう認識。しかし、それは誰が決めているのでしょうか? 主食、主菜、副菜、汁もの、デザート、おやつ…。俺には分けられません!

その関連の話でいけば、仲良くさせてもらっている絵本作家サトシン氏は、自身の絵本ライブの中で、こう言います。
 
『とこやにいったライオン』
サトシン作
おくはらゆめ絵
教育画劇 2010年

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この絵本を読んだ後に、「この絵本はなんの意味もない駄菓子みたいなものです。でもそれでいいじゃない!」

これなら理解できます。絵本を作った本人がカテゴリー分けをしているからです。確かにその通り、この絵本は最後まで読んでもためになることは何もなく、笑っておしまい(褒めてます)。実際に読んでいただければわかるかな。

しかし、すべての絵本がこのような分け方をされていません。「この絵本は主食です」なんて話は、どこかの誰かが(もちろん絵本に造詣が深い方々なので俺なんて足元にも及びません)言っておられることや、個人の主観でしかないと思います。

焼き鳥という狭いカテゴリーだけでも、大きく塩派とタレ派に分かれて個人の好みが分かれます。絵本という数千、数万、数十万の選択肢の中から、どれが心の栄養となるのか、主食となるのかは、それぞれが決めていくことになります。

先人たちの道しるべは参考にしつつ、最後は自分自身の感性で絵本を手に取り、選んでいくことをおすすめします。

しかし、ここで注意が必要! ほとんどの子どもたちには、保護者や保育士というフィルターを通って絵本が届くということをお忘れなく。この辺のことも含め、次回はもうちょっと絵本の読みあいの場での『良い絵本ってなんだろう?』をお伝えします。このシリーズはまだまだ続きますのでお楽しみに♪


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