正しい絵本の読み聞かせ方って?<その5>【はーい!】

絵本専門士として活動する現役保育士「うっちー先生」による、絵本愛あふれるコラム。入魂のシリーズも5回目を迎えた「正しい絵本の読み聞かせ方って?」ですが、今回のテーマは、絵本の楽しみ方について。
正しい絵本の読み聞かせ方についてシリーズでお伝えしてきました。

全ての回を通してお伝えしてきたことは、【絵本は自然に読む】ということです。【絵本はこう読みましょう!】では、堅苦しく絵本の楽しみを限定しがちです。保育現場で働いていると、さまざまな状況の中で絵本を読んでいきます。同じ絵本を何回読んでも、読み方は変わってきます。

では、なぜ絵本を読むのでしょうか? 保育園って絵本があって、保育の中で必ず読んでいます。みなさんはなぜ絵本を読んでいますか? 俺はいつも同じ答えを持っていて、これまでずっと同じ答えをしてきました。

それは…楽しいからです!!
なんてことはありません。絵本を読むのが楽しいから。それだけ。
  • 子どもたちと絵本をきっかけにコミュニケーションをとると楽しい
  • 一緒に物語の世界にダイブしていくと楽しい
  • お決まりの繰り返しを習慣化して何度も何度も同じ絵本を読むと楽しい
そうだ!お決まりの繰り返しを楽しむエピソードをひとつ。

『はーい!』
みやにしたつや
アリス館 2013年
>>本の紹介はこちら

いろいろな動物が自分の体を駆使して返事をしていく、思い切りのよい、楽しいあいさつ絵本。この絵本の最後の「はーい またね」という部分をすごく好きな自閉症の男の子のお話。最後のシーンがやってくるとニヤニヤしていましたが、声を出して笑うようになりました。この子が楽しんでいるのがうれしくて、毎日読んでいくことに。すると、最後のシーンが近づくと堪えきれなくなり数ページ前から笑うようになりました。お次は、絵本の表紙を見るだけで最後を想像して笑い、最終的には「さぁ絵本読むよ~」と、絵本かばんを出すだけで笑うようになっていました(笑) その頃にはみんなも最後を楽しみにするクラスに。

これは、毎日一緒にいるという、クラス担任している保育士だけの楽しみでもあります。

数のお勉強をしましょう。行事食について知りましょう。言葉の獲得のために読みましょう。そんな時に絵本はとても有効かもしれません。わかりやすく親しみやすい。認知的能力の向上に役立つこと間違いなしです。

しかし、俺はそんなことを遥かに超える、子どもと絵本を読みあう楽しさに重きを置いています。保育士と子どもが絵本を通して繋がる。三項関係を築いている瞬間です。クラスで絵本を読むと、保育士と子どもは繋がっていますが、実は隣の子どもとも絵本を通して繋がっているのです。同じ絵本の世界を楽しむ。そこには共感や協同など気持ちが同じ方向を向いています。保育指針の注目ポイントのひとつ、非認知的能力の向上にも繋がります。

これまでのコラムで提示してきたように、絵本の楽しみ方は決まっていません。読み方もいろいろあって良い。保育の中の絵本はもっともっと自由であってほしいと願います。

そんなことを日々考え、関りのある方たちに伝えてきていました。するとそこに! 自分にとってバイブル的存在となる本が出版されました。

『保育をゆたかに絵本でコミュニケーション』
村中李衣 著
かもがわ出版 2018年
>>本の紹介はこちら
『はじめに』の部分から引用させていただきます。

保育場面での絵本読みは、「ために」とは無縁の世界にあってほしい。絵本をまん中にどんな方向にも心を広々と伸ばせるコミュニケーションを楽しむ、そのことを第1に考えてほしいのです。

この部分を読んだ時心が震えました。俺の考えていることがそのまま載っていたからです。尊敬し敬愛する村中先生に少しだけ近づけたような気がしました。内容も素晴らしく、何度も何度も「そうそう!」と共感します。ぜひ御一読くださいませ。
うっちー先生

この記事を書いた人

うっちー先生

鳥取市で働く傍ら絵本専門士として活動する現役保育士。本名は内田大樹。専門士同期男性3人で組むユニット『trio de 絵本』など、絵本関連イベントで精力的に活動。自称「日本一絵本の読み聞かせをしている人」。保育士歴17年。3児のパパでもある。
<ブログ>
https://ameblo.jp/uchiuchi571101/

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