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縦割り保育のメリット・デメリット|ねらいと注意点を解説

芝生の上でポーズをとる年齢が異なる5人の子ども
さまざまな年齢の子どもたちが、同じ場所で遊んだり生活したりする「縦割り保育」。「異年齢児保育」とも呼ばれ、実施している園も増えています。今回は、縦割り保育のメリット・デメリットやねらい、実践するときの注意点をご紹介します。

縦割り保育とは

おもちゃで遊ぶ女の子とあかちゃん
縦割り保育とは、異なる年齢の子どもたちが同じ場所で遊びをしたり、食事をしたり、日々の生活を一緒に行う保育の体制のことです。「異年齢児保育」「異年齢保育」や「混合保育」とも呼ばれていて、最近では導入している園も増えているようです。

一言で「縦割り保育」といってもそのやり方はさまざまで、子どもの人数や保育士の配置によって園ごとに異なります。

縦割り保育の実践例

  • クラスを設けず、園全体で一緒に保育する
  • 園全体で異年齢の子どもたちを集めたグループに分け、いくつかのクラスを作る
  • 0~2歳児クラス、3~5歳児クラスでそれぞれ異年齢クラスを作る。
  • 1日のうち決まった時間のみ縦割り保育をする
  • 週のうち、日によって縦割り保育の日を設ける
縦割り保育をしている園の多くが、異年齢児を集めたクラスを設けていたり、一部の時間のみ縦割りにしていたりします。

小規模保育園のような人数が少ない園では、そもそもクラスを作らないというところもあります。縦割り保育をするときは、各園の状況に合わせて一番合っている方法で行うようにしましょう。

縦割り保育のねらい

パンを食べる女の子と赤ちゃん
縦割り保育は、異なった年齢の子どもたちが集まるため、なぜ行うのかというねらいを持っていないと、子どもにとっても保育士にとっても負担になってしまう可能性があります。まずは、縦割り保育のねらいの例をチェックしていきましょう。

<ねらいの例>
  • 子ども同士の関わりの幅を広げる
  • 年上の子の真似をして、自分もやってみようとする
  • 年下の子のお世話をして、思いやりの心を育む
  • さまざまな年齢の子ども同士が関わることで、社会性や協調性を育む
  • 異なる年齢のお友だちと、どうしたら一緒に遊べるか考える
  • さまざまな子との交流を通して、自分と他者の違いを知る
これらを踏まえて、それぞれの園やクラスの実情に合ったねらいを設定していきましょう。

縦割り保育のメリット

泣いている赤ちゃんをなでる男の子
縦割り保育をすることで、どのようなメリットが考えられるでしょうか。主に考えられるのは、先程の「ねらい」で挙げたことが実践できるという点です。細かく内容を見ていきましょう。

交流の幅が広がる

近年は少子化が進み、昔に比べると子ども同士の関わりが少なくなっていることが懸念されています。年齢の違う近所の子ども同士で遊ぶ機会というのも、減っていますよね。異年齢保育をすることで、さまざまな年齢の子どもたちがお互いに関わることができます。

同じ年齢や発達段階が同じくらいのお友だちと遊ぶのも良いですが、違った年齢の子ども同士の関わりも、また違った発見や学びがあって良いですよね。

年下の子に対する思いやりや愛情を育む機会になる

年上の子どもたちにとってのメリットとしては、年下の子どもたちと接することで、自分より小さなお友だちに対してどのように接するのがいいのか、どうしたら伝わるのか、ということを考える機会になります。

また思いやりの心や愛情を持ち、身の回りのお世話をしたりおもちゃを貸したりする姿も見られそうですね。

年上の子をお手本に挑戦したり学んだりできる

子どもは、お友だちの姿を見て学び、自分もそれを取り入れていくことが多々あります。異年齢保育は、年下の子が年上のお兄さん・お姉さんを見て真似をして、生活の中で自然にさまざまなことを学んでいくことができます。

おもちゃの使い方やいろいろな遊びはもちろん、着替えや手洗いの仕方といった生活習慣まで、お手本となる子どもがいるので自然に学びの機会になりますね。

社会性や協調性が育つ

さまざまな年齢の子どもが集まると、それだけさまざまな個性と出会う機会も増えます。また自分と年の違うお友だちと接することになるので、子ども同士の関わりでも今までとは違った対応が必要になってくるでしょう。

その中で、「みんなで楽しむにはどうしたら良いのか?」と考えたり、「自分とは違う考えの子もいるんだ」と知るきっかけになったりします。社会性や協調性を育むことができるのも、縦割り保育のメリットと言えるでしょう。

縦割り保育のデメリット

外遊びをする子どもたち
では、逆にデメリットはあるのでしょうか。今回は、「悪いところ」という意味でのデメリットではなく、縦割り保育をする前に知っておかなければならない点としてご紹介します。

安全面に気を付けなければいけない場面が増える

安全面に気を付けるのは、縦割り保育でもそうでなくても当然のことですよね。しかし、特に乳児と幼児が同じ部屋で過ごす場合には、普段以上に気を付けなければいけない場面も増えてきます。

例えば幼児クラスで使っているおもちゃはパーツが細かいものもあるので、安全面を考慮すると、使用する場所や片付けにもかなり気を遣う必要があります。環境設定をしっかりと行っておかないと、遊び方に制限がかかってしまうことも考えられます。

保育内容を考えるのが難しい

異年齢の子どもたちが集まると、発達段階の差があるので保育内容を考えるのが難しくなります。

もし全員でひとつの活動をする場合には、年下の子も年上の子も楽しく安全に参加できるものにしなくてはいけませんよね。「なかなかみんなで一緒にできる遊びがない…」と悩んでしまう可能性も考えられるでしょう。

年下・年上の子どもたちそれぞれにストレスになる可能性も

中には、常に異年齢保育で過ごすことで必要以上にストレスを感じてしまう子どももいます。年上の子どもは、「お兄さん(お姉さん)だから、お世話をしなくては」「おもちゃを譲らなくては」と負担になってしまう可能性も。また年下の子の中には、自分より大きいお友だちを怖がる子もいます。

もちろん環境や保育士さんの関わり、サポート、日々の慣れなどもありますが、ストレスがかからないような工夫が必要になります。

また保育内容を考えるとき、どうしても「年下の子でもできるもの」を基準に考えることが多くなると思います。そうすることで、年上の子にとっては少し物足りなくなってしまうことも考えられます。このような点を考慮して、縦割り保育を実践していく必要があります。

縦割り保育をするときに注意するポイント

室内遊びをする赤ちゃんと女の子
メリット・デメリットを理解したところで、縦割り保育をするときの注意点も知っておくと、実践するときによりさまざまなことを考慮できます。縦割り保育の導入を考えている方や、実際に今行っている方もぜひチェックしてくださいね。

安全に過ごせる環境設定を行う

先程もお伝えしたように、さまざまな年齢の子どもたちが集まる縦割り保育は、安全面により気を付けなければいけません。そのためにも、発達段階や子どもの状況に合わせた環境設定がとても重要になります。

「安全に遊べるか」「みんながのびのびと活動できるか」など、広い視野で環境を見直していきましょう。

関わりの機会を減らさない

安全面に気を付けていると、どうしても年上の子と年下の子の関わりにも敏感になってしまうことがあります。例えば、「年長の子が1歳児クラスのお友だちを抱っこしている」という状況のとき。「バランスを崩して転ぶかも」「お友だちを落としたら…」とリスクを考えることはとても重要です。

だからと言って「抱っこは危ないからやめて」と言ってしまっては、子どもの自信を奪ったり自尊心を傷つけてしまう可能性もあります。場合によっては先に制止することも必要ですが、保育士さんが見守りながら、子ども同士の関わり合いを大切にしていきましょう。

子どものストレスにならないように

「お兄さんだから貸してあげて」「危ないからここでは遊ばないでね」など、子どもたちにとってストレスになってしまうような状況は避けたいですね。例えば、縦割り保育になることで「年上の子が全て年下の子に譲らなくてはいけない」状況や、いくら安全面を考えてだとしても「年下の子の遊ぶ範囲が制限されてのびのびと過ごせない」となってしまうのは良い環境とは言えません。

とはいっても、園の広さや子どもの数、保育士の配置など、どうしても各園の状況によっては制限をかけざるを得ない場合もあるかと思います。そのような場合は、無理に縦割り保育をしようとせず、1日の活動のうち一部だけにするなどの工夫をしてみましょう。

縦割り保育は子どもの成長に繋がる

2人の子どもと手を繋いで歩く保育士
今回は、縦割り保育のメリット・デメリットの両面をお伝えしました。注意しなくては行けない点ももちろんありますが、異年齢の子どもたちが関わる場になる縦割り保育は、成長にも繋がります。取り入れる際は、園にあったやり方を検討してみてくださいね。

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