食物アレルギーとは
よく聞く言葉ですが、実際の定義や原因などについては、曖昧になりがちです。まずは、基本から確認しましょう。
定義
食物アレルギーとは、体を守るための免疫システムが過剰に反応することで起こる症状のことをいいます。
特定の食べ物に触れたり、口に含んだり、吸い込んだときに起こります。消費者庁が発表した「平成27年度食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業報告書」によると、発症率は0歳児が全体の29.4%と最も高くなっています。
また6歳までが全体の79.9%を占めており、その多くが保育園・幼稚園に通う年齢の子どもであることがわかります。この結果からも、しっかり知識を持っておくべきだということが感じられますね。
参考:平成27年度食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業報告書/消費者庁
よくみられる原因は?

アレルギーの原因となる食物はさまざまです。子どもによくみられる原因には、何があるのでしょうか?
- 鶏卵
- 牛乳
- 小麦
- ピーナツ
- 果物
- 魚卵
- ゴマ
- 甲殻類
- そば
- 大豆製品
- ナッツ類 など
この中でも、0歳~6歳児に多いものとして挙がっているのは「鶏卵」「牛乳」「小麦」です。調理によく使われる食物であり、保育園でもこれらを使った給食やおやつはよく出ますよね。
そのため、アレルギーを持つ子どもの食事は毎食しっかりと確認が必要です。中には「卵のつなぎはOK」などのケースもあるので、個々の状況を把握しておくことが大切です。
こんな症状に要注意!

万が一、アレルギー原因物質を口に含むなどしたときに備えて、どのような症状が出るのか知っておきたいですよね。一般的にみられる症状は、大きく分けて5つあります。
皮膚症状
アレルギーでみられる症状の中で一番多いのが、皮膚症状です。
- じんましん
- かゆみ
- 赤み
- ピーナツ
- むくみ など
このような症状が出ます。普段から、着替えの際は子どもの肌の様子にも注意してみましょう。
呼吸器症状
のどに症状が出るため「苦しい」と感じることが多いようです。
- のどの締め付け
- 声がかれる
- 呼吸困難
- ゼーゼー、ヒューヒュー
- 咳 など
普段と違う呼吸や、苦しそうな様子が見られたときは要注意。保育園では食後はお昼寝が控えていますよね。午睡のときも意識してチェックするようにしましょう。
粘膜症状
目、鼻、口などの粘膜部分に症状が出ます。
- 目の充血
- 目のかゆみ
- まぶたの腫れ
- くしゃみ
- のどのかゆみやイガイガ など
低年齢児では、自分で言葉にすることが難しいこともあります。必ず食前食後の様子を確認するようにしましょう。
消化器症状
主におなかを中心に、消化器に関わる症状が出ます。
- 腹痛
- 嘔吐
- 下痢
- 血便 など
おむつ替えやトイレ補助の際には、必ず子どもの便の様子などにも注意を向けておきましょう。
ショック症状(全身症状)
複数の症状が重なると、アナフィラキシーという急激な全身症状がみられることもあります。その中でも早急に対処しないと生命にかかわるような状態を、アナフィラキシーショックといいます。
- 脈がはやくなる
- 意識がもうろうとする
- 血圧低下 など
これらの症状が現れたときは、アナフィラキシーやアナフィラキシーショックが疑われるため、直ちに救急車を呼びましょう。緊急時の対応は、慌てることがないよう職員間でしっかり決めておくことが重要です。
このように、食物アレルギーでみられる症状はさまざまです。普段の子どもの様子をしっかり把握しておくことの大切さがわかりますね。
正しい知識を身につけよう

食物アレルギーの知識を身につけておくことは、重要な保育士の仕事と言っていいでしょう。症状を防ぐため、そしてもしものときにきちんと対応できるためにも、正しい食物アレルギーの知識を知っておきましょう。
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