LINE公式
閉じる

MENU

【保育園給食】「いただきます」「ごちそうさま」給食の時間配分のお悩みに管理栄養士が回答

【保育園給食】時間配分のお悩みに管理栄養士が回答
園での集団生活の中で、「いただきます」「ごちそうさま」のタイミングや食事にかける時間など、個人差がある子どもたちにどう対応していくべきか、お悩みの保育士さんは多いのではないでしょうか。そこでほいくisでは、給食においてほかの園ではどう対応しているのか、お悩みや知りたいことについて読者の方々にアンケートを取りました。今回は、給食の時間の中でも「時間配分」についての疑問を管理栄養士の佐藤が解説します。

園での給食の時間と目安

園によって、1日の生活リズムや活動の流れは異なるでしょう。給食やおやつを食べ始める時間や時間間隔もそれぞれですが、目安となる時間の範囲やその根拠についても知っておくことが大切です。

給食の所要時間

子どもの食事時間は、1食あたり20~30分間程度 が理想です。保育園ではスムーズに食べ始まらないことなども考慮し、食べる時間として20~35分程度の範囲で時間を取ると良いでしょう。

2歳児ごろまでは満腹中枢が十分に発達しておらず、食欲に任せて必要以上に食べ過ぎてしまうこともあります。また、子どもが食べることに集中していられる時間は10分程度と言われているため、食べ過ぎのリスクや食事に飽きてしまうリスクを考え、あまり長く時間を取りすぎないようにしましょう。

急いで食べることのリスク

急いで食べるということは、同時に「よく噛んでいない」ことでもあります。よく噛んで食べると、唾液の分泌量が増えて消化吸収を助ける、唾液により虫歯の予防になる、あごの発達を促す、食べ過ぎを防ぐなどさまざまなメリット が得られるため、乳幼児期のうちからよく噛んで食べる習慣づけが大切です。

反対によく噛まずに急いで食べることが習慣化すると、上記のようなメリットが得られないだけでなく、窒息事故や誤嚥にも繋がるリスクも高まります

保育園などの集団生活では、自分のペースだけでなく周りに合わせて行動することも大切ですが、給食の時間は少しでも保育士さんも子どもたちも気持ちや時間にゆとりを持って過ごせるような工夫ができると良いですね。食べるのが遅い子どもに対しても、過剰に焦りを感じさせてしまわないように、声掛けや時間配分も意識することが大切です。

給食とおやつの時間間隔

給食とおやつは2時間から3時間程度間隔 をあけ、それぞれの時間にお腹がすくリズムを作ります。特におやつは、家庭での夕食に影響がでない時間帯(一般的には15時頃の園が多いのではないでしょうか)に設定しましょう。

食べるより眠い子への対応

悩む保育士
保育者

Q.1歳児の担任です。食べるより眠気が先に来ちゃう子の対応は?

管理栄養士佐藤の回答

1歳児ならまだ体力もあまりなく、給食を食べるよりも先にうとうとしてしまうこともあるでしょう。その場合、無理やり起こして食事をさせると誤嚥に繋がり、大変危険なので避けます。 
 
給食の時間にうとうとしてしまうことが時々なのであれば、その日は無理に食べさせずに早めに寝かせてあげるのが良いと思います。給食が食べられなかったなら、おやつの時間に少し多めに与えるなどして対応します。すぐに起きる可能性も考え、その子の分の給食は片付けの時間ギリギリまで残しておくなど、栄養士さんや調理員さんと相談すると良いでしょう。 
 
もし毎日のように同じ子どもがうとうとしてしまうなら、保護者と相談をして生活リズムに問題はないかなど原因を探ってみましょう。とはいえ、1歳児なら体力の差や夜泣きなどもあり、そもそも毎日同じ時間にお昼ごはんを食べる習慣をつけること自体難しい場合もあるかもしれません。成長とともに解決することも多いので、その日に合わせて柔軟に対応すると良いのではないでしょうか。

ごちそうさまのタイミングについての対応

栄養士に相談する保育士
保育者

Q. 幼児です。食事の時間を区切ってますか?45分経つと完食しなくても終わらせてますか?

栄養士に相談する保育士
保育者

Q. いただきますやごちそうさまはクラスみんなで行っていますか?個人のタイミングですか?

管理栄養士佐藤の回答

柔軟な対応は必要ですが、基本的には終了を促して良いと思います。また、完食を目指すことだけが重要な要素ではありません。「居残り給食」を過剰に行い給食の時間が苦痛と感じさせてしまうことは何より避けなければなりません。

食事の時間が45分と決まっているのであれば、やはりその時間内に食べ終わる習慣をつけることは大切です。子どもの年齢に合わせて、終了時間までの目処が立てやすいような工夫をしましょう。

「いただきます」は、食事の時間がはじまる区切りの役割もあるため、幼児クラスならみんなで一緒にあいさつをする習慣を身につけることも大切でしょう。「ごちそうさま」のあいさつは、個人により食事のスピードは違うため、無理に合わせる必要はないと感じます。みんなで一斉ではなくても、個人できちんと「ごちそうさま」が言える習慣づくりは大切です。

食べるのが遅い子への配慮・対応

栄養士に相談する保育士
保育者

Q. どのくらいの時間まで食べさせているのか(食べられないのではなく食べるのが遅い子)

悩む保育士
保育者

Q. 食べるのが遅い子は時間をかけて入れられた分は食べるのか、時間になったらおしまいなのか?

管理栄養士佐藤の回答

結論から言うと、ごちそうさまをする時間になったら、まだ食べ終わっていなくてもお片付けをするように促して良いと思います。理由は、集団生活には予定や時間配分が決まっていること、そしてその中で自分の行動をコントロールすることが必要だからです。いつまでも時間をかけてマイペースに食べることが当たり前で癖になってしまう可能性もあります。

とはいえ、まだ食べたい意欲があるのにいきなり片付けを促すのではなく、園としてここまでなら許せるという最長の時間を指定し、幼児であれば具体的に「何分までね」「時計の針がここにきたらね」と伝えて目処を立ててあげるようにしましょう。ただし、過剰に焦らせてしまわないような配慮も必要です。

また、「食べたいのに食べるのが遅い理由」を考えることも大切です。例えば、給食が子どもの口腔機能の発達段階に合わないものになっていないか、生活リズムには問題がないか、精神的・身体的な不調はないか、おしゃべりに気を取られていないか、などが挙げられます。

子どもによって理由はさまざまなので、問題点を探して改善を促すことも必要です。

食べるのが早い子への配慮・対応

栄養士に相談する保育士
保育者

Q. ごちそうさまをするタイミング!食べ終わった子から片付けて排泄に促すのか、全員であいさつなのか・・・2歳児

管理栄養士佐藤の回答

2歳児ならまだまだ食べる量や食べ終わるスピードは個人差が大きいですよね。早く食べ終わった子どもが遅い子どもを待つことも難しいと思うので、「ごちそうさま」をするタイミングは無理に合わせなくても良いのではないでしょうか。

1人ずつ食べ終わった順に排泄など次の行動を、となると何度も往復するのは保育士さんの負担になると思うので、例えば食べるスピードが近い子ども同士で同じテーブルや近くの席に固定し、その日に合わせて食べ終わりが近い数人ずつの単位で「ごちそうさま」のあいさつを一緒に行うのはいかがでしょうか。

2歳児では、まだ集団生活というよりも個人を尊重することが大切だと感じます。みんな一緒のタイミングではなく個人でも、「ごちそうさま」のあいさつを習慣づけることは大切ですね。

食べ終わった子の対応

栄養士に相談する保育士
保育者

Q. 早く食べ終えた子どもたちは少し時間がかかる子を待つ時間、何をして待っているのか?

栄養士に相談する保育士
保育者

Q. 食べ終わった子からごちそうさまするか?する場合はその後の過ごし方

管理栄養士佐藤の回答

私の考えですが、結論から言うとみんなで一斉に「ごちそうさま」をすることにこだわる必要はないと感じます。大人でも、その日の気分やお腹の好き具合、メニューの好みなどによって食べるスピードは変わります。早い子どもが遅い子どもに合わせる必要もありません。

例えば、園で決めている給食の時間が30分間だとしたら、「いくら早く食べ終わっても20分間はその場で静かに過ごし、その後は個人でごちそうさまをしても良い」などという決まりを作るのはどうでしょうか。幼児クラスなら見通しを立てることを学び、早食いを防ぐことにも繋がります。

「ごちそうさま」をした後の過ごし方は、園の設備や方針によっても異なりますが、保育士さんが目の届く範囲でやりやすい遊びを提案する形で良いと思います。消化をする時間でもあるので、絵本を読む、絵を描くなどのゆっくりした過ごし方や、まだ食べている子どもに影響がないような過ごし方はいかがでしょうか。

保育者の食事の時間配分に関する対応

悩む保育士
保育者

Q. 2歳児。保育士は子どもと一緒にご飯を食べていますか?それとも別ですか?

管理栄養士佐藤の回答

2歳児はまだまだ食事介助をする場面も多く、一緒に食べるのは慌ただしく大変ですよね。とはいえ、給食の時間はなるべく子どもたちと同じテーブルに座り一緒に食べることが理想だと感じています。

私が勤務していた保育園では、2歳児クラス~5歳児クラスまでは保育士さんも一緒に食べるようにしていました。0歳児、1歳児クラスでは、その日に合わせて手があきそうな保育士さんは介助をしながら一緒に食べていましたが、中にはお昼寝の時間になってしまうこともあったようです。

そして栄養士である私も、各クラスを周り同じテーブルで一緒に食べるようにしていました。その時に感じたのは、やはり一緒に食べることで「メニューについての会話ができる」ことがお互いにとても良い影響を与えることです。

「これおいしいね~!」「彩りがきれいだね」「はじめてのメニューだね!」こんな会話をしながら食べると、子どもたちは例え苦手意識を持っていたものでも興味を持ち一口食べてくれることもあります。

また、子どもからその場でメニューに関する感想や意見をもらえると、改善のきっかけになるとともに、「好き嫌いが多い」「食べるのが遅い」などの問題となる原因を見つけるきっかけにもなります。

ほかのさまざまな仕事をこなしながら一緒に食べるのは大変ですが、例えば2人担任なら1人でも一緒に食べるタイミングが取れるように協力できると良いかもしれません。

まとめ

食べる量や食べるスピードなど、食事は特に個人差が大きいものです。また体調や精神面も関与するため、集団生活の中で子どもたちがみんな一斉に給食を食べるということはなかなか難しいのかもしれません。

食べるのが早い子ども、遅い子どもがお互いに無理に合わせる必要はなく、決められた時間の中で自分のペースを上手く保てるように配慮することが大切ですね。

今回は、保育園給食におけるお悩みの中でも「時間配分」に関するものをピックアップし回答しました。それぞれのお悩みに対する工夫や改善策に正解はないため、1つの例としてぜひ参考にしてください。


【関連記事】
ほいくisメンバー登録はこちらから

続きを読む

ほいくisメンバーに登録(無料)