保育施設における発達支援とは

そこで今回は、保育者が押さえておきたい発達支援について解説していきます。 参考:通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査|文部科学省
保育者が知っておきたい発達支援の基礎知識
保育園における発達支援とは、子どもの持つ力を最大限に引き出し、社会生活を送る上で必要な力を育むためのサポートのことを言います。そのため、園の集団生活の中で、日常生活や遊びを通じて支援を行っていくところに特徴があります。保育士が必要に応じて個別配慮や環境調整を行いますが、他児の様子を見たり、関わり合ったりすることで自然と学ぶことも多いです。保育園という小さな社会の中で、主体的に人や物と関わり、体験からさまざまな力を身に付けていける環境を作ることが、発達支援の基礎となります。
発達支援と療育の違い
発達支援に近い存在として「療育」というものがあります。これは園ではなく、専門的な機関で行われています。療育は、個別または小集団での関わりを通じて、言語や運動、社会性などの課題に焦点を当てた支援を行っています。言語聴覚士や作業療法士などの専門家が介入しながら、計画的な訓練を実施します。
発達支援と療育は相互補完的な関係にあり、保育園で気づいた課題を療育機関で訓練し、療育でできるようになったことを園で活かすことにより、できることの幅が広がることが期待できます。 発達支援においては、子どもを変えようとするのではなく、環境を子どもの特性に合わせて設定し、支援することも大切です。子どもの行動から「何がその子にとって障害となっているのか」を考えることで、必要な支援が見えてくるのではないでしょうか。
今回は、「発達支援」に関するセミナーや記事をまとめてご紹介します。さまざまな事例を挙げて解説していますので、保育のヒントとしてぜひ参考にしてみてください。
発達支援について学べる無料セミナー
「ほいくisオンライン研修」で公開している、発達支援に関するセミナーを紹介します。全ての動画が無料で視聴できますので、気になった動画があればぜひチェックしてみてください。>>ほいくisオンライン研修はこちら
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発達支援お悩み相談セミナー(全19回)
保育者が現場で感じている悩みや疑問に対して、発達支援の専門家である藤原里美先生から回答をいただいています。子どもへの対応だけでなく、保護者支援や職員間での連携まで、実践に活かせる内容となっています。
講師
藤原里美(一般社団法人チャイルドフッド・ラボ 代表理事)セミナー内容(全19回)
① こだわりが強く、自分のルールを崩されるのが苦手な子の支援② 相手の視点に立てていない子の支援
③ わがままか特性かわからない子の支援
④ 刺激に敏感で、なかなか午睡をしない子の支援
⑤ 体幹が弱い子の支援/オウム返しをする子の理解と対応
⑥ 午睡時に歌を歌ってなかなか寝ない子の支援
⑦ 困りごとを話せない場面緘黙の子の支援
⑧ 重度障がい児と他児の集団生活で大事なこと
⑨ 目が合わず、自分の世界に入りやすい子の支援
⑩ 甘えの許容と発達を促す支援
⑪ 発達支援が必要な子の保護者への伝え方
⑫ 保護者から今後の発達支援について質問されたときの対応
⑬ こだわりが強く、切り替えが苦手な子の支援
⑭ 加配保育士と担任の役割分担
⑮ 自分の行動を指摘されるのが苦手な子の支援
⑯ 学びの共有の難しさ
⑰ 多様な子への支援と他児との関わり
⑱ 支援の考えが異なる保育者との話し合い方
⑲ 保育者のみなさんへのメッセージ
日々の保育の中で、子どもへの対応に困っている方や保護者とのやりとりで迷っている方など、実践的なヒントを求めている方におすすめです。5〜10分ほどで視聴できる動画なので、「すぐに現場に活かせる視点が欲しい」と感じている方に適しているでしょう。
インクルーシブ保育を考える(全1回)
保育分野の第一人者である、東京大学名誉教授の汐見稔幸先生が登壇。「インクルーシブな保育とは?」「保育者としての役割は?」といった疑問や、日本の教育・保育の今について、長年にわたり保育業界の変遷を見てきた汐見先生が解説。「インクルーシブ保育」が広がった経緯と、これからの保育現場に求められることについて詳しく解説しています。講師
汐見稔幸(一般社団法人家族・保育デザイン研究所 代表理事)セミナー内容(全1回)
トピック①インクルーシブ保育とはトピック②多様な関係性のなかで育つ
インクルーシブ保育とはなにか学びたい方や、自園での実践方法を知りたい方におすすめです。多様な生き方が広がる社会とあわせて、これからの保育に必要なことを改めて考えられる内容となっています。
多様な子どもたちの発達支援(全5回)
「多様な子どもたちの発達支援」をテーマに、障害や生きにくさを感じている子どもへの支援を解説。「子どもを変えるのではなく、社会を変える」という視点から、保育園で実践できる支援方法について具体的にお話ししています。じっと座れない子が座れるようになる魔法のクッションや、多動が落ち着くリュック、気持ちの切り替えを行うための安心ボックスなど、子どもの気持ちに寄り添う支援グッズを写真と共に紹介しています。「あの子にこの方法を試してみようかな」と、明日の保育が楽しみになるセミナーです。
講師
藤原里美(一般社団法人チャイルドフッド・ラボ 代表理事)セミナー内容(全5回)
①発達支援のマインドセット②感覚の支援と環境の整え方
③記憶の支援とエンパワメントの使い方
④切り替えの支援と子どもとの関係づくり
⑤社会性の支援と遊び
発達支援のアイデアを知りたい方、子どもとの関わり方について学びたい方におすすめです。さまざまな実践例を挙げているため、明日の保育から取り入れやすい内容になっています。
困っている子どもの理解と支援(全6回)
梅花女子大学心理こども学部で教授を務める、伊丹昌一先生が登壇。未来の保育者育成とあわせて、現場で実践している職員に向けて講演会や相談会などを通して支援を行っています。このセミナーでは「困っている子どもの理解と支援」をテーマに、特性ごとの特徴と保育者の支援の在り方について、全6回でご紹介しています。「障害とは、その子の特性によって日常生活に困難さが生じている状態」という視点から、子どもが園で集団生活を送るにあたって、安心して快適に過ごせるようにするための環境の作り方や保育者の役割を、事例を挙げながら解説しています。
講師
伊丹昌一(梅花女子大学 心理こども学部 教授)セミナー内容(全6回)
①ASD(自閉スペクトラム症)特性のある子どもの特徴と支援②DLD(発達性学習症)特性のある子どもの特徴と支援
③ADHD(注意欠如・多動症)特性のある子どもの特徴と支援
④DCD(発達性協調運動症)特性のある子どもの特徴と支援
⑤愛着障害のある子どもの特徴
⑥愛着障害のある子どもの支援
一人ひとりに合った支援を模索する上で、それぞれの特性を基礎から学びたい方におすすめです。保育者が支援を行う上で大切にしたい考え方が学べる内容となっています。
療育のプロが教える 保育現場の発達支援実践(全5回)

講師
百瀬洋介(NPO法人ここのば 代表理事)セミナー内容(全5回)
①極端な偏食の子どもの対応②癇癪を起こしたときの対応
③突然 友だちを叩いてしまう子どもの対応
④集団活動に馴染めない子どもの対応
⑤多動な子どもはADHD?
「偏食」「癇癪」「攻撃行動」「集団への不適応」など、保育の場で実際にそのような対応に悩んでいる方におすすめです。特別な支援を要する子どもの担当者だけでなく、共に子どもの育ちをサポートしているクラス担任やリーダーにもおすすめの内容です。
発達障害のある子どもとの関わり方(全6回)
言語聴覚士・社会福祉士として活動する原哲也先生が登壇。長野県にて児童発達支援事業所「WAKUWAKUすたじお」の代表を勤めると共に、「発達障害児の家族を幸せにする」を志に全国で講演を行っています。このセミナーでは「発達障害のある子どもとの関わり方」をテーマに、発達支援について全6回でご紹介しています。前半では、ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如・多動症)、LD(学習障害)など、発達障害の基礎的な知識を学ぶことができます。後半では、「注目行動・試し行動が多い子」や「3文字以上の言葉が喋れない子」への対応など、具体的な事例を通して保育者の支援の在り方を考える内容となっています。
講師
原哲也(一般社団法人WAKUWAKU PROJECT JAPAN 代表理事)セミナー内容(全6回)
①基礎編1〜発達障害とは?〜②基礎編2〜発達障害の子どもの感じている世界~
③基礎編3〜「安心」と「わかる」を保障するポイント〜
④お悩みアドバイス編1「場面の切り替えが上手くできない子」への対応
⑤お悩みアドバイス編2「注目行動・試し行動が多い子」への対応
⑥お悩みアドバイス編3「3文字以上の言葉が喋れない子」への対応
子ども理解からはじめる感覚統合遊び(全10回)
「感覚統合」とは、音や振動、においや痛みといった、さまざまな感覚を整理するための脳の機能。アメリカの作業療法士、 A・ジーン・エアーズ博士によって生み出された理論で、脳に入力された感覚が適切に整理されることで、運動や製作といった活動にも楽しく取り組むことができます。しかし、感覚に過敏さ、鈍感さのある子どもの場合、刺激を強く感じてストレスを感じたり、刺激を受けとりにくく、脳が活発に働かずにボーっとしてしまったりするケースがあります。保育の活動では、その子の感覚タイプを理解し、楽しく活動に参加できるよう感覚の入力を調整していくことが大切です。
セミナー本編では、感覚統合遊びについて、脳の機能から見た行動の背景と、感覚のタイプにあわせた支援方法を解説。作業療法士による発達への理解と、保育者が持つ遊びのアイデアによって生まれる支援についてお話しいただきました。
講師
高畑脩平(藍野大学 医療保健学部 作業療法学科 講師)セミナー内容(全10回)
①感覚統合のトラブルとは?②感覚の過敏・鈍感
③感覚と脳(低反応・感覚探求)
④感覚と脳(感覚過敏・感覚回避)
⑤感覚の識別・フィルタリングの問題
⑥姿勢の問題(ぐにゃぐにゃタイプ)
⑦ボディイメージの問題(ギコチナイタイプ)
⑧微細運動の問題(手先ブキッチョタイプ)
⑨両手の協調動作の問題(両手ブキッチョタイプ)
⑩眼球運動の問題(どこいったタイプ)
ことばの発達(全4回)
講師は、「認定NPO法人 発達わんぱく会」で言語聴覚士として個別療育を実施し、療育者・保育者向けの研修講師も務める寺島理映子先生。ことばの発達について、ことばを発するようになるまでの発達段階や、ことばの遅れが気になる子の支援のつなげ方について解説。保護者と連携して支援を行うための保育者の役割についてもお話しいただきました。講師
寺島理映子(認定NPO法人 発達わんぱく会 言語聴覚士)セミナー内容(全4回)
①ことばの発達段階②ことばの遅れ
③ことばを育てる関わり方
④保護者からよくある質問
社会性の発達支援(全5回)
ほいくisでもコラムを連載中の井上綾乃先生によるセミナー。「社会性の発達支援」をテーマに、子どもに合わせた保育環境の作り方を全5回でご紹介しています。子どもの社会性の芽生えから段階的な遊びを経た社会性の発達まで、人との関わりに焦点を当てながら、子どもにも保育者にもストレスのない保育を行うための方法を解説しています。講師
井上綾乃(一般社団法人プライムシャイン 代表理事)セミナー内容(全5回)
①子どもの社会性の理解②社会性を育む保育者の役割
③社会性発達の道筋
④支援のポイント
⑤具体的な支援方法
困っている子をとりまく保育環境(全3回)
伊丹先生によるセミナー第2弾。「困っている子をとりまく保育環境」をテーマに、物的環境と人的環境の整え方を、全3回でご紹介しています。園で過ごす子ども全員を対象とした「保育のユニバーサルデザイン化」の視点で、発達障害のある子どもへの支援を解説します。支援が必要な子どもへの働きかけによって、周囲にいる他の子も協力しあう関係性が生まれていきます。この動画では、保育園で子どもが主体的に行動できる環境や、子どもたち同士が共に育ち合える環境を作るための保育者の言葉かけについて学ぶことができます。保育の現場から視野を広げて、他職種・他機関との連携についても考えるきっかけにもなるでしょう。
講師
伊丹昌一(梅花女子大学 心理こども学部 教授)セミナー内容(全3回)
①発達を促す環境づくり②ほかの子どもとの関わり
③他職種・関係機関との連携
発達が気になる子をもつ保護者への支援(全5回)
発達支援における保育者の悩みとして、「保護者がなかなか受容してくれない」「どう伝えたらいいかわからない」といった声が聞かれることがあります。園での生活で日々子どもを見ている保育者にとっては、「保護者にも協力してほしい」と考えることも多いのではないでしょうか。しかし、園と家庭での生活は異なり、理想の子育てとの違いも感じている保護者にとって、障がいの受容は時間がかかることも少なくありません。保育者として、保護者の思いも汲み取って、必要な支援に向けて併走していくことが大切になります。セミナーでは、保育者のマインドチェンジや伝え方のコツ、つなぎ役としての保育者の役割について解説しています。
講師
井上綾乃(一般社団法人プライムシャイン 代表理事)セミナー内容(全5回)
①多様な発達を受容するということ②「保護者に伝えたい、保護者を変えたい」と感じるのはなぜ?
③マインドチェンジで併走モード
④心の扉を開く、保護者への伝え方
⑤専門機関へのつなぎ役としての保育者
保護者に寄り添う保護者支援(全4回)
保育者として、子どもとの関わりとあわせて大切なのが、保護者との関わり。「うちの子は大丈夫?」「周りの子とどこか違うのでは」といった相談を受けたことがある方もいるのではないでしょうか。保護者にとっては、大切な自分の子どもだからこそ、さまざまな不安や心配が生まれてきます。その気持ちを相談してくれたことは、保育者に信頼を寄せてくれているからでもあります。保育者として、保護者の気持ちに寄り添いながら、一緒に子どもを見守っていくことが大切です。
セミナーでは、保護者支援について、保育者の役割や保護者からの相談への対応方法、適切な支援へのつなげ方について解説。悩みを抱える保護者に対して、気持ちに寄り添った関わり方のポイントについてもお話しいただきました。
講師
原田まどか(認定NPO法人 発達わんぱく会 公認心理師・保育士)セミナー内容(全4回)
①保育者の役割②保護者からの相談
③気になる子をもつ保護者への伝え方
④気になる子の支援先とつなげ方
子どもの能力を引き出す!絵カードの使い方(全1回)
療育の現場で活躍されている井上綾乃先生が、保育現場で絵カードを効果的に活用するための方法を紹介します。多様な発達の子どもに対して、絵カードを使うタイミングや方法について解説しています。絵カードを活用した子どもの支援方法を解説します。子どもが自分の気持ちや考えを表現したり、見通しを持って集団生活を送ったりできるよう、視覚的に分かりやすい絵カードを用いてサポートするための手法を学ぶことができます。
講師
井上綾乃(一般社団法人プライムシャイン 代表理事)絵カードの使い方に悩んでいる方や、効果的に使う方法を学びたいと感じている方におすすめです。「発達支援に絵カードを取り入れてみたい」と考えている方や、「職員に絵カードの活用方法を紹介したい」と考えている方にもおすすめの内容です。
絵カードを使いこなすために(全4回)
このセミナーシリーズでは、絵カードを活用した子どもの支援方法を解説します。子どもが自分の気持ちや考えを表現したり、見通しを持って集団生活を送ったりできるよう、視覚的に分かりやすい絵カードを用いてサポートするための手法を学ぶことができます。
講師
井上綾乃(一般社団法人プライムシャイン 代表理事)セミナー内容(全4回)
①「いま どんなきもち?」の絵カード②園生活の絵カード
③コミュニケーションの絵カード「意思表示」
④コミュニケーションの絵カード「理由の説明」
自分の気持ちを言葉で伝えることが苦手な子どもの支援を行っている方におすすめです。また、集団行動が苦手な子どもに対し、安心して園生活を送るための方法を考えている方にもおすすめの内容です。
困っている子どもの指導計画(全7回)
伊丹先生によるセミナー第3弾。困っている子の支援にあたり、どのように指導計画を立てるのかについて、手順を追って解説しています。クラス全体での計画と、子ども一人ひとりに向けた計画の違いや、「できた」「できない」ではなく、取り組みのなかで見られた子どもの姿から計画を振り返るまでの手順を説明しています。講師
伊丹昌一(梅花女子大学 心理こども学部 教授)セミナー内容(全7回)
①全体の計画・個別の計画②指導計画作成の留意点
③指導目標の決定
④指導の手立て
⑤結果への対応
⑥事前の環境の調整
⑦適切な援助と記録・評価
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ケース別|一人ひとりにあわせた支援方法を解説
発達支援について、「どんな時はどうしたらいい?」といった事例ごとの対応方法や、発達を促す活動アイデアをまとめて紹介します。行動別の支援方法
児童発達支援管理責任者/保育士/発達支援専門士として現場の保育士さんと一緒に発達支援を考える井上綾乃先生が、現場の保育士さんから多く寄せられるお悩みに回答しています。-

待つことができない子には少しの工夫で「待たせなくてもよい」保育を|発達支援の現場から
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発達を促す遊び
子どもたちは、障害のあるなしに関わらず、それぞれ持っている感覚に違いがあります。感覚に偏りのある子どもも一緒に楽しめるおすすめの遊びを紹介します。園での生活で使える絵カード
園で生活する子どもの中には集団で行動することが苦手な子もいます。そんな子どもたちが集団生活を送るときのサポートとして利用できる絵カードを無料配布しています。子どもに合った支援を考えよう
子どもによって、適した支援方法は異なります。また、同じ方法でも、「前は良かったけど、今は効果がない」という場合もあります。アイデアの引き出しをたくさん持っておくことで、支援の幅が広がります。さまざまな方法を試しながら、子どもに合った支援を見つけていきましょう。
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