粘土遊びを保育に取り入れるメリット
感触遊びの1つとして保育園・幼稚園で取り入れられることが多い粘土遊び。ただ楽しいだけではなく、子どもたちの発達にとって多くのメリットがあります。- 子どもたちの創造力の発達に繋がる
- 細かな作業を通じて、手先が器用になる
- 粘土の感触を楽しむことで、触覚の感性を育む
- 粘土を潰したり形を作ったりすることで、手や指先の力がつく
- 長い時間をかけて1つの作品を作ることで、集中力がつく
粘土遊びを行う際のねらい
保育園や幼稚園、認定こども園での遊びの活動では、ただ単に保育のひきだしの一つとして遊びを行うだけでなく、「ねらい」を意識して取り入れるようにしましょう。そうすることで、月案や指導案の作成にも役立ちますし、子どもたちの成長を促すことにもなります。- 粘土を触りながら、感触を楽しむ
- いろいろな形を作り、表現することを楽しむ
- 工夫したりイメージを膨らまし、完成形を考えて取り組む
粘土遊びの導入
粘土遊びの導入では、まず保育者が見本の作品をいくつか作っておくと良いでしょう。「これなに?」「どうやって作るの?」と子どもたちが興味を持ったら、材料を見せたり一緒に触ってみたりして遊んでみましょう。徐々に粘土の素材の感触に夢中になり、遊び込むことができるでしょう。粘土遊びの注意点・配慮
保育園・幼稚園で粘土遊びをする際に保育者が気を付けたい注意点や、配慮事項をご紹介します。子どもが粘土を口に入れないように見守る
中には誤って食べてしまっても問題ない素材の粘土もありますが、体調不良やアレルギー、窒息などの危険があるので、子どもたちが粘土を口に入れてしまわないよう注意して見守る必要があります。特に小麦粉粘土は、アレルギーがある子がいる場合は使用しないようにしましょう。事前に環境設定を行う
子どもたちが夢中で遊ぶと、気づかないうちに机からはみ出て遊んでいたり床に落ちていたりと汚れがちです。机の上や足元に新聞またはビニールシートを敷いて汚れを防止したり、粘土板の上で遊ぶように子どもたちに伝えたりすることで、後片付けが楽になりますよ。また、汚れてもいい服装を着てきてもらうことも大切です。衛生管理をする
粘土は直接手や指で触れるため、遊びの後は適切な衛生管理が必要です。次の活動に移る前には手洗いを徹底しましょう。粘土は爪の間に詰まりやすいので、しっかりと手洗いをするように声かけをしましょう。また、粘土は定期的に交換し、特に手作りのものは都度廃棄をして清潔さを保ちましょう。子どもの創造や表現を尊重する
粘土は子どもの創造力や表現力を育むことができる遊びです。保育者は「こうしたほうがいいよ」と子どもの作品を否定したり自分の思う通りに誘導したりせず、子どもたちの発想に任せて遊べるように見守れるといいでしょう。子ども同士のトラブルに注意する
お友だち同士のやりとりにも注意が必要です。粘土は机の上で遊ぶものなので、「お友だちに投げたり身体、髪の毛にくっつけたりしない」というお約束を事前に伝えておきましょう。粘土の種類と作り方
保育園・幼稚園で取り入れやすい粘土の種類と、一般的な作り方をご紹介します。素材ごとの粘土の特徴を知ると、それぞれの年齢で活動に取り入れやすくなりますよ。簡単に作れる 小麦粉粘土(こむぎこねんど)
小麦粉粘土は、小麦粉と水を主に使用して作る粘土です。材料は全て食材なので、小さな子どもでも安心して使うことができます。柔らかくて形を変形、成形しやすいので、扱いやすい粘土ですよ。粘土を作るところから子どもたちと一緒に作業できるのも、取り入れやすいポイントです。また、食紅を入れて色付けをすることができるので、カラフルな粘土を使って遊びたいときにもおすすめです。注意点は、小麦粉アレルギーを持っている子どもがいる場合には使用をしないこと。園によっては「小麦粉粘土は保育に使ってはいけない」という決まりがあるところもあるかと思います。事前に確認をしておきましょう。また、使用後にそのまま置いておくと乾燥しやすかったり、カビが生えたりする場合があります。使用後は都度処分するようにしましょう。
<手作りをする際の材料・用意する物>
- 小麦粉
- 水
- サラダ油 少々
- 塩 少々
- ボウル
- 食紅(色を付けない場合は不要です)
①ボウルに小麦粉と塩を入れ、よく混ぜます。
②ボウルに水を少しずつ加えながら、材料をこねていきます。水の量は適度な柔らかさを保つために、様子を見ながら調整します。
③材料が均一に混ざり、お好みの柔らかさでまとまるまでこねます。※必要に応じて小麦粉、水を入れて調節します。
④サラダ油を入れてこねます。※なくても出来ますが、入れたほうがまとまりが良くなります
⑤食紅を加えて色を付けます
⑥完成です!
色づけしたり作品を残したりするなら 紙粘土(かみねんど)
紙粘土は、主に紙やパルプを原料とした粘土です。市販でも売られていますが、手作りをすることも可能ですよ。軽くて小さな子どもでも扱いやすく、自然乾燥をすると固まるのが特徴です。子どもたちが作ったものを作品として保存したい場合には、紙粘土がおすすめですよ。また、絵の具を練り込んで色付けをするか、乾燥して固まった後にも絵の具で色を塗って着色をすることが可能です。瓶や空き缶など他の素材に貼り付けて成形をすることもできるので、組み合わせた作品を作ってみるのもいいでしょう。<手作りをする際の材料・用意する物>
- 新聞紙
- 水
- のり
- ボウル
①新聞紙を細かくちぎります。
②水をボウルに入れて、新聞紙を水に漬け込みます。
③新聞紙が十分に水分を吸収するように、数分間置いておきます。
④新聞紙がドロドロに溶けてきたら、新聞紙を取り出して余分な水分を絞ります。
⑤絞った新聞紙を手でこねながら、のりをよく混ぜ合わせていきます。
⑥必要に応じて水をもう少し絞ったりのりを足したりして、ちょうどよい柔らかさになったら完成です。
何度でも繰り返し使える 油粘土(あぶらねんど)
油粘土は、主に鉱物粉と植物性油、鉱物性油などを混ぜて作られたものです。他の粘土と比べて乾燥しにくいという特徴があり、何度でも形を変えて造形遊びを楽しむことが可能です。一方で固まらないため、作品を作る際には向きません。保育園や幼稚園では、各家庭で1つずつ購入して身近な存在として扱っていたのはこの油粘土だった、という園も多いのではないでしょうか 。感触を楽しむなら 土粘土(つちねんど)
土粘土は、土壌から掘り出した粘土素材に砂を混ぜて作った粘土です。素材を用意するのが少し難しいので、地域によって取り入れている園と取り入れていない園があるかもしれませんね。土粘土は乾燥すると少し堅くなり、水を加えると柔らかくなる性質を持っています。また、作品が完成した後に仕上げに焼くことで、固めて陶器にすることができますよ。簡単に作れる 寒天粘土(かんてんねんど)
寒天粘土は、寒天の粉末と水を使って作る感触遊びの素材です。ゼリーのような感触で柔らかく、簡単に形を変えることができる粘土素材です。アレルギーの心配が低い安心な素材なので、「小麦粉粘土はアレルギーの子が居て使えない」「安全な素材で感触遊びを取り入れたい」というときにおすすめですよ。低年齢児クラスで遊ぶ際は、まず寒天粘土から使ってみるのはいかがでしょうか。▼寒天粘土の作り方はこちら
年齢別の遊び方・粘土の楽しみ方
年齢別に粘土遊びをする際のおすすめの取り入れ方をご紹介します。1・2歳児
1〜2歳の時期は、粘土遊びに興味が持てるような活動の内容を考えてみましょう。粘土の感触を感じ、手や指を使って自由に形を変えていくことができるということを体験しましょう。口に入れても安心で、手軽に用意できる小麦粉粘土や寒天粘土を使って遊ぶのがおすすめです。3歳児・4歳児
3〜4歳になると、自分で作りたいものを想像して作ろうとします。手や指も発達してくるので、粘土用の道具も使えるようになります。粘土と一緒に使える道具を用意しておくといいでしょう。3歳は、イメージする時間をたっぷりと取るようにしたいので、乾きにくい油粘土を使うのがおすすめです。簡単な形をたくさん作って、見立て遊びにも繋がりますよ。4歳になれば、少ない時間で仕上げることもできるようになるので、紙粘土を使うのもおすすめです。
5歳児
5歳になると、集中して作品を作ることができるようになります。大きな作品を友だちと相談しながら、協力して作り上げる楽しさを味わうこともできます。土粘土も体験できると、感触の違いや性質など知る学びに繋がりますね。また、小麦粉粘土を一から作るのも楽しい体験でおすすめです。
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