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【保育園給食】配膳・後片付け・子どもの配置に関するお悩みに管理栄養士が回答

【保育園給食】配膳・後片付け・子どもの配置に関するお悩みに管理栄養士が回答
保育園での給食の準備や後片付け、1つのテーブルにおける子どもの配置など、適した食事の環境や空間作りにお悩みの保育士さんは多いのではないでしょうか。そこでほいくisでは、給食においてほかの園ではどう対応しているのか、お悩みや知りたいことについて読者の方々にアンケートを取りました。 今回は「配膳・後片付け・子どもの配置」に関するお悩みや疑問に管理栄養士の佐藤が解説します。 

給食で身につく食事のマナー 

食事は、生きるうえでの栄養補給だけでなく、心の栄養補給としての役割も持ちます。そして、給食の時間が子どもたちにとって楽しい時間となるためには、1人ひとりが「食事のマナー」をしっかりと身につけ、お互いに気持ちよく食べられる空間を作ることが大切です。 

保育園給食で学ぶ食事のマナーには、主に以下のようなものがあります。 
  • 「いただきます」「ごちそうさま」のあいさつをする 
  • スプーンやフォーク、箸を正しく持つ 
  • お皿を持って食べる、肘をテーブルにつかない 
  • 背筋が伸びた良い姿勢で食べる 
  • 食器は正しい位置に配置する 
給食やおやつの時間には、基本的なマナーについても意識的に声掛けを行いましょう。とはいえ、おやつを含め1日4回ある食事の機会の中で、半分は家庭での時間です(朝食・夕食)。各家庭にも都度働きかけ、上手く連携することが重要です。 

基本的な食事の配置・食器の並べ方 

今回のテーマ「配膳・後片付け」のうち、「食事の配置や食器の並べ方」も、給食から得る食事のマナーのひとつです。 

ご飯、汁物、副菜、副副菜、デザート(果物)、箸やスプーンの配置には、和食の基本とされる正しい置き場所があります。教えなければわからないことでもあるため、毎日の給食の時間に意識的に食器の配置についてのお話を取り入れるとよいでしょう。 

食事のほとんどを介助なしに自分で食べるようになる年齢(2歳児または3歳児ごろ)からは、保育士さんが毎食正しい配置を行い、それに慣れさせることも立派な食育です。 

4歳児、5歳児ごろでは、保育の中で食器の配置について教える時間を設けるのも良いでしょう。例えば、ご飯茶碗、おかず皿など食器ごとのマグネットを用意し貼り付ける遊びを取り入れる(カレーライス、うどんの日などが加わるとおもしろいですね)、各クラスに見本となる配置図を見やすいところに貼っておくなどの工夫ができます。 

見た目に美しい食べ方や食器の配置も「食事のマナー」のひとつです。ぜひ毎日の給食で意識してみてください。 

子どもが配膳を行う場合の注意点 

保育園によっては、子どもが配膳を行う場合もあるでしょう。自分たちで食事の準備を行うことで、受け身ではなく能動的に食と関わる気持ちが芽生えるとてもよいきっかけとなります。 

ただし、子どもが配膳を行う場合は、年齢に見合った役割を与えてあげましょう。例えば私が勤務していた保育園では、次のような役割がありました。 

2歳児 (余裕がある日のみ)大人の付き添いのもと、みんなに手拭きタオルを配る 
3歳児 スプーンやフォークをみんなに配る 
4歳児 盛り付けられたおかず皿を自分の分のみ配膳する 
5歳児 お当番制でおひつに入ったご飯を全員分よそう、それぞれ自分の分を配膳する 

どの役割も、新しい環境に慣れた夏頃から取り入れ、5歳児クラスの後半ではお味噌汁をよそう役割も加わります。配膳を行う際には、それぞれがきちんと席についた状態でいないと危険が伴うこともあわせて指導しましょう。 

また、おかずの配膳を子どもが行うことは避けた方がよいでしょう。なぜなら、食物アレルギーの子どもがいる場合、誤食のリスクが非常に高くなるからです。 

私が勤務していた保育園では、給食は必ず主食がご飯、味噌汁には全園児が食物アレルギーの心配がない具材しか使用しない決まりがありました。おかずに関しては除去食で対応していたため、必ず大人が配膳を行います。 

以上のように、子どもが配膳する場合には、食物アレルギーを持つ子どもへの配慮を第一に考え、園でしっかり話し合い共通認識を持つことが大切です。 

園や学校におけるアレルギー対応での準備については、こちらの動画でも解説しています。
あわせてチェックしてみてください。

配膳の量について 

悩む保育士
保育者

Q.給食はみんな同じ量を配膳していますか?子どもで変えていますか?苦手なものは少なくなど(してますか?)

管理栄養士佐藤の回答 

私が勤務していた保育園では、おかずの盛り付けは給食室で行っていました。体調不良時などを除いて、好き嫌いや少食などを理由にその後盛り付け量を変更することはしていません。 

栄養士の観点では「栄養計算は規定の盛り付け量で行っているから」というのが、盛り付ける量を個人対応にしない大きな理由のひとつです。つまり、その年齢の子どもに見合った量として計算しているので、完食してほしいのが栄養士の願いです。 

とはいえ、少食な子ども、好き嫌いが多く完食に時間がかかってしまう子どもも多くいるでしょう。その場合の対策としては「メニューごとに食べられそうな量をお皿の中で区切ってもらう」方法はいかがでしょうか。その際、子ども自身で決めた量に口出しはしません。 

自分の意思で区切った量なら食べられそうと自信がつき、達成感も味わうことができます。最初に減らしたいと思ったおかずも、意外と食べられる場面も多くあります。私の考えですが、最初から量を減らしてその可能性をなくすのではなく、ぜひ完食できるチャンスは持たせてあげてほしいなと感じます。 

食事の流れについて 

栄養士に相談する保育士
保育者

Q.食事前に着替え?着替え前に食事?1歳児食事の流れ(担当)が知りたい

管理栄養士佐藤の回答 

給食前後の着替えのタイミングは、その日のスケジュールや活動によって臨機応変に対応する形で良いのではないでしょうか。 

例えば、午前中に外遊びを楽しんだら給食前にお着替えをするでしょう。反対に、1歳児でもほとんど服が汚れていないような活動の日は、無理に着替える必要はないと感じます。 

1歳児は自分で食べたい欲がでてきたり手づかみ食べをしたりする時期でもあるため、給食後は前掛けやエプロンをしていても服が汚れてしまうことが多いでしょう。必然的にほとんどの子どもがこのタイミングで着替えが必要になるかもしれません。 

全く汚れがついていなければ給食後の着替えも必要はないと感じますが、万が一クラス内に重篤な食物アレルギーを持つ子どもがいる場合には注意が必要です。例えば、小麦など服に食品の細かいくずがついてしまっていた場合のことを考えると、給食後の着替えを必須にすべきケースもあります。 

食事の後片付けについて 

栄養士に相談する保育士
保育者

Q. 食事の片付けは当番制なのか、一人の人がいつもやるものなのか知りたいです

管理栄養士佐藤の回答 

4・5歳児からは、大きい桶などを用意し食べ終わったお皿はその中に自分で後片付けができるようになるといいですね。この時、桶の中は同じ種類の食器同士重ねること、残飯があれば用意されたボウルなどに入れてから片付けることなどをルールとして加えます。 

最終的な後片付けは、重いものを運ぶ場合などもあるため保育士さんが付き添いながら、当番制で行うとよいと思います。給食の時間も当番制を積極的に取り入れると、責任感を養うとともに食に対して自分から関わりを持てるようになるための大きなきっかけとなるでしょう。 

食事中の子どもの並び方 

栄養士に相談する保育士
保育者

Q.担当制をしている園で、2歳児は何人ずつ食べているかぜひ教えていただきたいです。 

悩む保育士
保育者

Q.1つの机に子どもが8人で食べるのですが、ほかの園ではこんなに多く座らせていますか?個人的には半分の4人くらいがいいのですが、立場的に一番下なので言えません 

栄養士に相談する保育士
保育者

Q.子どもたちの席の並び方ってどんな感じ?

管理栄養士佐藤の回答 

食事中の子どもの並び方や1つのテーブルに座る人数などは、テーブルの大きさや部屋の広さ、食事に関わる保育士さんの人数などによっても異なるため、園ごとにベストな状態は異なるでしょう。 

例として私が勤務していた保育園では、0・1歳児は1人ずつのローチェア、2歳児は長方形の長いテーブルに4人ずつ(両サイドに1人ずつ、真ん中に2人が隣同士、向かい側に保育士さんが1人付きます)、3・4・5歳児は長方形のテーブルに4~5人ずつ座り、保育士さんは毎日ランダムに空いている席に座ります。 

1つのテーブルに8人では、確かにお話の数も多くなり落ち着かない印象がありますね。1つのテーブルに座る人数が多いほど気が散りやすい、また万が一食事中の嘔吐が起きた場合、その被害や感染症が蔓延する危険度が高まるというデメリットもあります。 

園によって環境が異なるためなんとも言えませんが、保育の流れがスムーズになる配置、また子どもたちが安全で落ち着いた環境で食事ができるようにするために、園ごとにベストな配置や人数を設定できると良いと感じます。 

まとめ 

保育園給食での配膳や後片付け、子どもの配置などは、園ごとにベストな環境ややり方がきっとあるはずです。 

園としての方針や環境によってどのような配膳方法、後片付けのやり方、子どもの配置が適しているかどうかを園全体で話し合い、まずは保育者が共通認識をしっかり持つことが大切だと感じます。 

例として私が勤務していた保育園でのやり方を多く紹介しましたが、どれも正解はありません。1つのやり方としてぜひ参考にして、よりより保育に役立てていただけたらと思います。 

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