おたよりを理解できない保護者が増えている?
最近SNSで、「保育園のおたよりが理解できない」 といった内容の保護者側の投稿が見られます。
- 水筒を持ってきてくださいとおたよりに書いたら空っぽの水筒を持ってきたという投稿
- B4サイズのリュックをもってきてといわれ持参したら大きすぎると言われた投稿
- 遠足のおたよりに「※前日に野菜を配る」とあり野菜の使い道がわからなかったという投稿
実際に、筆者が勤務していた園でも、おたよりの内容がうまく伝わらず準備できない保護者の方がいらっしゃいました。 また、自分が保護者側になり「これはどういう意味だろう?」とおたよりの意図が明確にわからなかった経験もあります。
つまり、保護者がおたよりが理解できないのではなく、保育者が正確に伝えられていないという側面があるようです。
このようなすれ違いが生じると、保育に支障をきたす可能性や保護者との信頼関係が揺らぐ可能性がありますよね。 結果として保育を受ける当事者である子どもが悲しい思いをしないために、問題が起きる原因や対策を詳しく見ていきましょう。
おたよりの内容が保護者に伝わらない原因
保護者と保育士の間で、おたよりの内容がうまく伝わらないときの原因はなんでしょうか。 考えられる原因をピックアップしてみました。- 保護者がわかるであろう前提で書かれている
- 何に使用する物を準備するのかわからない
- 具体的な理由が書かれていない
一方保護者は、的確な指示書や数値などで仕事をすることが多く、こういった認識のギャップを生む原因となっている可能性があります。
『保育園のおたよりは民間企業なら大クレームになる』といった投稿がSNSに見られるように、保護者にとってわかりづらい、具体性がないおたよりがあるのも事実です。
「どうしてお願いした内容が伝わらない保護者がいるのだろう?」そういった時は、おたよりの内容が明確か、読み直してみるのがいいかもしれませんね。
おたよりの内容が正確に伝わるための解決策
認識のズレで保育に支障をきたしてしまうと、結果として子どもが悲しい思いをしてしまいますよね。そういったことが起きないためにも、保育園側でおたよりの伝え方を再確認してみましょう。ここでは、上記に記載したおたよりの内容が保護者に伝わらない原因を解決する方法を紹介します。
解決策1.情報を全く知らない相手に伝える意識をもつ
保育士は、園に勤務して1年以上経過している先生が圧倒的に多いですよね。園行事や日常保育について、熟知しているはずです。そういった環境も相まって、おたよりが言葉不足になっていることも。保育士側はわかっていても、保護者ははじめて目にする情報ばかりです。
例えば
- 『水筒を持ってきてください』とお便りに書いたら空っぽの水筒を持ってきた親がいる
- 水筒持参を伝えたら、中身がコーラだった
しかし、保護者側からすると情報が不十分なのです。 保育士側は「細かく言わなくてもわかってくれるだろう」と思っていても、保護者側からすると理解が難しいですよね。
「空の水筒を持参して園で水やお茶を入れるのかな? 」、「水筒の中身指定がないから子どもの好きな飲み物でいいかな? 」
そう思ってしまうのも、無理はない気もしてきます。
保護者の立場で見たとき、おたよりは登園準備のための指南書です。何のために、どんな時に使うのか、など具体的な説明をして、はじめて情報を知る保護者が理解できる内容にするといいでしょう。
解決策2.数字や画像で具体的な例を載せる
保育士は、前年度の経験や打ち合わせなどからおたよりに書いてある内容わかります。しかし、保護者にとっては、初めての経験なので、書いてある内容をイメージできないこともしばしば。 そういったすれ違いを解決するには、事例を記載するとよいでしょう。例1
・おむつに名前を書いてください。上記の説明だと、おむつのどこに、どれくらいの大きさで書くのか、名字は必要か、何色で書くのか、細やかな部分に迷いが生じる保護者も多いです。
【改善策】
・おむつに黒いマジックでフルネームひらがなを書いてください。おむつのお尻側に、横一面に大きく記載しましょう。写真を参考にしてください。
(実際おむつに名前を書いた画像をおたよりに掲載する)
例2
・リュックを持ってきてください。こちらも、大きさやデザインなどが曖昧で準備が難しいでしょう。
【改善策】
・遠足にリュックが必要です。リュックの中に水筒やお弁当・おやつを入れて持ち歩くのでタテ30センチ、横20センチ程度のリュックをご用意ください。チャックで開閉できるタイプが望ましく、キャラクターがついているデザインも可です。リュックの背もたれ部分に外側から見えるよう名前をつけてください。キーホルダーは、目印のため着けても1個までで音が鳴らず子どもの手のひらより小さいものにしましょう。
(実際に園の子が使っているリュックの正面と後ろ側の写真を撮り掲載)
例3
・黒いズボンを持ってきてください。上記だと、丈やデザインの詳細がわかりにくいですね。
【改善策】
・発表会で黒いズボンを着用します。できるだけ無地で、レースやフリルがないデザインが好ましいです。ふくらはぎ~足首までの丈のものをご用意ください。スパッツも可です。裸足で踊るため、つま先まで隠れるタイツは滑って怪我をする危険があるのでやめましょう。衣装合わせをするため、〇月〇日の朝までに、ご持参をお願いいたします。
(黒いズボン2.3パターンの写真を掲載)
解決策3.理由を明確に伝える
保護者としては、準備するものや園からのお願いの理由がわからないと疑問を抱いてしまいます。なぜおたよりに記載しているのか、理由がはっきりとわかるように伝えましょう。例
・水筒には煮出した麦茶を入れてください。【改善】
・水筒には煮出した麦茶のみを入れてください。水出しの麦茶は雑菌の繁殖スピードが早く食中毒の原因になることがあるため、煮出した麦茶を作って持たせてください。
保護者にとっては、保育園に使うものを準備するのは大変なことです。明確な理由とともにおたよりを記載すると、毎日忙しい保護者にも伝わりやすくなるでしょう。
保護者と保育士の認識のズレをなくして円滑なコミュニケーションを取ろう
おたよりは、文章だけだと保護者と保育士の間で認識のギャップが生じることがありますよね。
保護者に必要な情報がしっかり伝わらないのは、明確な内容がおたよりに不足しているのが原因のひとつかもしれません。最近では、デジタルのおたよりも増えてきて写真の掲載や動画などで伝えられるようにもなってきましたのでぜひ活用してみましょう。
保護者と円滑なコミュニケーションを取るために、今一度、おたよりがはじめて読んだ人でもすぐに伝わる書き方になっているか、確認してみてくださいね。
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