発熱の原因は?
発熱はさまざまな病気の初期症状であり、ウイルスや細菌に対して身体の免疫機能が働く作用の結果として起こります。そのため、熱の症状だけではどのような病気であるのか判断が難しい場合があります。熱がどのくらい続いているのか、他にどのような症状があるのか、そのとき園で流行している感染症なども一緒に照らし合わせて観察していくことが大切です。特に1歳頃までの乳児は病原菌に対する抵抗力が弱いため、熱を出すことが多く見られます。生後6か月頃までは、お母さんの胎盤を通して得られた免疫機能(※IgG)に守られています。しかし、この免疫機能は生後6か月頃から消失してくるため、体調を崩しやすくなります。他にも、「室内の温度が高い」「厚着をしている」など、外気の影響から体温が高くなることがあります。
発熱の見極め方とチェックポイント
発熱している子どもの見極め方について見てみましょう。子どもの様子から見極める
子どもの場合、熱があってもいつもと変わらず元気に過ごしていることもあります。そのため、「ぐったりしている」「機嫌が悪くて泣いている」「水分や食事がとれない」「身体に発疹(ほっしん)が出てきた」など、発熱に伴って現れることが多い症状を見逃さないことが大切です。発熱以外の症状がなくても、急激な体調変化もみられる場合もあるため注意が必要です。また、発熱により脱水に至ることもあります。「汗はどのくらいかいているのか」「おしっこは出ているのか」「おしっこはどんな色をしているのか」などのポイントに気を付けて観察しましょう。おしっこの色が濃いオレンジ色(濃縮尿)の場合は、身体の水分量が少なく脱水を起こしている可能性もあります。いずれの場合も、いつもの様子に比べて変化がないか注意深く観察しましょう。
室内温度や衣類の厚さをチェック
室内環境や衣類調整も大切です。室内環境の目安として、温度は夏場22~26℃・冬場18~22℃、湿度は年間を通して40~60%程度に保てると良いでしょう。もし発熱が見られる子どもが厚手の衣類を着用していた場合は、薄手のものに変えるなどの対応をしてから、時間を空けてもう一度検温してみましょう。<室内環境のめやす>
- 温度 夏場22~26℃/冬場18~22℃
- 湿度 40~60%
園でよく見られる発熱を伴う病気の一例
- 突発性発疹
- 咽頭結膜熱(プール熱)
- 手足口病
※水疱(すいほう)・・・みずぶくれ
※丘疹(きゅうしん)・・・皮膚の表面が小さく盛り上がった状態
- その他
発熱の応急処置
それでは、子どもに発熱が見られた場合の応急処置について見てみましょう。①クーリングをする
「クーリング」とは、解熱を目的として身体を巡る血流を冷やすことです。クーリングをする箇所としては、首・脇の下・太ももの付け根です。これらの箇所は血管が太く、動脈により速く血液が流れています。そのため、冷却された血液がすばやく身体を循環し、効果的な解熱をもたらすことが期待できます。クーリングは、氷のうやタオルに包んだ保冷剤などを使用しましょう。脇の下をクーリングする際は、小さな保冷剤を三角巾などの布に巻き、ショルダーバックをもつような形にすると固定がしっかりできます。※注意:高熱の際は寒気を伴うこともあります。この場合は、熱が高いからと無理にクーリングせず、「毛布をかける」「靴下を履かせる」など、保温に努めましょう。また、汗をかいたらこまめに着替えさせることも大切です。綿素材の肌着は汗をしっかり吸い取るので、普段から着用をおすすめしておくことも有効です。
②水分補給をする
発熱により身体の水分が奪われ、脱水状態になることがあります。冷たい飲料はお腹を壊す原因になるため、常温の水や麦茶を与えましょう。また水分摂取が進まない場合は、スプーンなどで少量を数回に分け与えると飲めることもあります。発熱の症状に加えて嘔吐や下痢の症状を伴う場合は、身体の中の電解質のバランスが保たれなくなることがあります。血液の中を流れている電解質が保たれなくなると、痙攣をおこしたりする場合もあるので注意が必要です。このケースでは、身体の電解質を整えてくれるスポーツドリンクやイオン飲料などが有効なので、日頃から用意しておきましょう。
③安静にする
身体を休めることは、とても大切です。体調不良の時の子どもは、心細く不安な気持ちになっていることもあるかと思います。「だいじょうぶだよ。ゆっくり休もうね」とそばで寄り添い、静かに安心して休める環境を整えてあげましょう。インフルエンザや水痘(みずぼうそう)など、集団感染を引き起こす可能性のある病気が疑われる場合は、他の子どもから離れた場所で過ごせるように対応することも必要です。園での生活では、周りの子どもたちに感染を広げないような対策も重要になります。
保護者への連絡
普段から保護者への連絡体制を確認し、何かあった際にはすぐに連絡がとれるようにしておきましょう。連絡の際には、発熱したときの時間や状況を説明し、対応や様子を細かく伝えましょう。発熱後の経過がわかるようこまめに検温し、水分や食事はどのくらい取れているのかなどについて書いたメモをお迎えの際に渡すのも良いでしょう。
また子どもの発熱では、痙攣を起こすこともあります。熱性痙攣の既往歴がないか日頃から確認し、状況によっては通院の必要性も伝えましょう。
環境や季節の変わり目に注意
環境や季節の変わり目は体調を崩しやすくなりがちです。子どもにとって発熱は珍しいことではありませんが、体調が悪くなってしまったときには保育者も戸惑ってしまうものです。子どもが安心して過ごせるように落ち着いて対応し、日頃から子どもの小さな変化にも気付いていけるようにしましょう。【関連記事】