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防ぎたい、子どもの窒息事故。保育士が知っておくべき応急手当とは

つみきを持つ子ども
保育士さんは日々さまざまな危機管理をしながら保育をする必要がありますが、中でも突然起こる事故として挙がるのが、誤飲・誤食による窒息です。子どもの命に係わることなので、適切な対応ができるよう応急手当と予防法をチェックしておきましょう。

突然起こる、窒息事故

薬と子ども
子どもの窒息事故については、2020年9月に東京都八王子市にある幼稚園で、4歳の男の子が給食のブドウを喉に詰まらせ亡くなるという痛ましい事故が記憶に新しい方も多いのではないでしょうか。また同年2月には、大阪市城東区の保育園で1歳の男の子が食べ物を喉に詰まらせ亡くなっています。このように、園では給食やおやつの時間を中心に、窒息による死亡事故が見られます。

保育施設に限らない一般のデータですが、東京消防庁の『救急搬送データからみる日常生活事故の実態』によると、平成26年(2014年)から30年(2018年)までの5年間で、窒息や誤飲で救急搬送された子どもの数は6,224人にのぼっています。

また乳幼児の窒息や誤飲の原因になったものとして、以下のようなデータがあります。
  • 0歳・・・袋、玩具、タバコ、電池、洗剤等
  • 1歳・・・タバコ、薬剤等、玩具、電池、野菜や果物
  • 2歳・・・薬剤等、玩具、魚の骨、アメ玉、硬貨
  • 3~5歳・・・玩具、アメ玉、ビー玉、魚の骨、薬剤等
※平成26年中に東京消防庁管内で統計した、各年齢1位~5位のデータ

その他にも、過去に窒息により重症または危篤と診断された誤飲物として挙げられたのは、小さめのゴム製ボールやミニトマト、ピーナッツがあります。どれも馴染みのあるものばかりですよね。

今回は、窒息事故を防ぐためにできることや、もし万が一起こってしまったときの応急手当方法を、東京消防庁の資料をもとに紹介していきます。

参考:救急搬送データから見る日常生活事故の実態 平成30年/東京消防庁防災部防災安全課


 

窒息事故を防ぐには

手のひらを出している子ども
まずは事故を未然に防ぐことが最善です。保育園や幼稚園で気を付けるべきことを見ていきましょう。

子どもの目線でチェックする

子どもの目線に立って、誤飲につながりそうなものがないか確認しましょう。園内であれば小さな玩具や文具、床に落ちた食べ物。園外であれば石やタバコの吸い殻など、子どもの口に入りそうなものは事前に片づけておきます。

室内は普段から気を付けて片づけている方も多いかと思いますが、公園などではついチェックを怠ってしまうことも。遊び始める前に保育士が目で確認することを忘れないようにしましょう。

飲み込む基準として、東京消防庁によると「トイレットペーパーの芯(39mm)を通る大きさのもの」であれば、乳幼児は飲み込む危険があるとされています。ひとつの基準として頭に入れておきましょう。

食べ物は適度な大きさにカット

園で提供する食べ物は、必ず適度な大きさにカットしたりすりつぶしておきましょう。大人が見ると「このくらい大丈夫」と思ったサイズでも、子どもは丸呑みしてしまうことがあります。丸いものやなめらかで喉に通りやすいものは要注意。調理スタッフとも相談して食事の提供をしていきましょう。

歩き食べ、寝ながら食べはしない

子どもの中には、食事中に立ち歩いたり口の中に食べ物が入ったまま午睡に入ろうとする子もいます。保育士さんは子どもが歩き食べをしないように声をかけたり、立ち上がる前に口の中に何も入っていないことを確認するなどして気を配っておきましょう。

急に声をかけない

子どもの場合、ビックリして食べていたものを飲み込んでしまうという危険も考えられます。そのため、食事中は大きな声を出したり急に声をかけるなど、子どもが驚くようなことはしないようにしましょう。

もし誤飲してしまったら

AED
万が一誤飲してしまった場合は、正しく応急手当をしましょう。

背中を叩く方法

背中を強く叩く背部叩打法(はいぶこうだほう)です。
  • うつぶせにして下側に腕を通す。
  • 下顎を指で支えて突き出し、上半身が少し低くなる姿勢にする。
  • 手の付け根を使って、両側の肩甲骨の間を迅速に4~5回叩く

胸骨を圧迫する方法

背部叩打法で誤飲物が取り除けない場合は、胸骨を圧迫する「胸部突き上げ法」を取ります。
  • あおむけにして、胸骨圧迫の要領で4~5回圧迫する。
  • 両乳頭を結ぶ線と胸骨が交差する部分より少し足側に2本指を置く。

この方法は、1歳未満の乳児向けで、1歳以上の場合は「腹部突き上げ法」を用います。

反応がない場合は心肺蘇生を

背部叩打法と胸骨突き上げ法(腹部突き上げ法)を、誤飲物が取り除けるか反応がなくなるまで繰り返します。もし反応がなくなった場合は、すぐに心肺蘇生を行いましょう。

事前対策で命を救う

保育士さんは、全員が正しい応急手当の方法を知っておき、不測の事態に備えておく必要があります。その上で、まずは誤飲や窒息が起こらないようにするのが第一。事前に対策をとり、子どもの命をしっかり守れるようにしておきましょう。

参考:STOP!子どもの「窒息・誤飲」/東京消防庁


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ほいくis(ほいくいず)編集部

この記事を書いた人

ほいくis(ほいくいず)編集部

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