園内の設備について

保育園には、さまざまな役割を担った部屋や設備が設けられています。どのような室内空間があるのか見てみましょう。
- 保育室
- ホール
- 職員室
- 調理室
- 玄関
- トイレ
- 倉庫
- 廊下
- 階段
子どもは主に保育室やホールで室内遊びを行いますが、生活の中でトイレや階段などを使用する機会もあるでしょう。使用頻度が少ない箇所ほど
事故が発生しやすくなるので、保育士の見守りや、危機管理の視点での定期的なチェックが欠かせません。
倉庫や玄関など子どもが一人で出入りすると危険な場所には、鍵やゲートを取り付けておく必要があります。環境を工夫することで防げる事故は、事前に対策をとっておくことが重要です。
保育室でのヒヤリ・ハットと注意点
一日の大半の時間、子どもたちは保育室で過ごします。発達に合った環境を準備すると共に、事故の対策もしていきたいですね。
まずは、保育室で起こりやすいヒヤリ・ハットについて見てみましょう。
玩具の誤飲
- 小さなブロックを誤飲した
- 口に入るサイズのおもちゃのパーツを誤飲した
玩具の誤飲は、ヒヤリ・ハット事例として多く挙げられます。口に含んだ玩具が喉につまると、窒息の可能性も。飲み込んでしまった場合は内臓を傷つける可能性があるため、誤飲には十分気を付けたいですね。
4cm以下の物は口に入る危険性があることを念頭に置き、子どもの年齢や発達に適した玩具を準備しましょう。
噛みつき・ひっかき
言葉が出る前の子どもは、自分の気持ちを伝えられないもどかしさから、噛みつきやひっかきで表現する場合も。一つの場所に子どもが集まり過ぎないよう、玩具の配置を工夫したり、すぐに対応できる場所に保育士を配置したりしましょう。また、ケガを防ぐためにも、日頃から子どもたちの
爪が伸びていないかチェックする習慣を付けたいですね。
衝突
- 室内を走っていて棚に衝突した
- 前を見ておらず、子ども同士で衝突した
室内のスペースは限られているため、走ると衝突する危険性があります。走らないような言葉かけも大切ですが、子どもたちが
集中して遊べるような環境設定も重要ですね。普段から子どもの様子をよく観察し、興味関心のある遊びを把握しておきましょう。
指挟み(指詰め)
子どもの存在に気付かずドアを開閉し、指を挟んでしまう事故は多く発生しています。保育士だけでなく、保護者や子どもがドアを開け閉めする際も、近くで子どもが手を置いていないか確認しましょう。
3歳未満児では、座ったまま椅子を動かした時に、
自分の足指を挟んで動けなくなってしまうということも。座っている時に急に泣き出したら、指を挟んでいる可能性があるので、気を付けて様子を見ていきたいですね。
保育室外でのヒヤリ・ハットと注意点

保育室以外のスペースにも、園内にはたくさんのヒヤリ・ハットが隠れています。危険なポイントを把握すると共に、子どもたちから目を離すことがないよう気を付けたいですね。
廊下
廊下では、
部屋の出入り口や曲がり角などで人や物と衝突することがあります。広々とした一直線の廊下だと本能的に走りたくなるため、観葉植物や装飾物を置くことで、子どもたちが落ち着いて行動できる空間作りを行いたいですね。
玄関
- 鍵が閉まっておらず、子どもが園の外へ出ていた
- 保護者が解錠した時に、見ず知らずの人も一緒に入っていた
安全面を考慮して玄関に鍵を取り付けている園がほとんどでしょう。手動で鍵を開閉する場合は、閉め忘れがないよう確認が必要です。
電子錠を導入している園では、不審者対策に気を付けたいですね。保護者が開けたタイミングで一緒に園内へ入れてしまうため、鍵があったとしても、人の出入りには
常にアンテナを張っておくことが大切です。
階段
- 階段を下っている時に転がり落ちる
- 階段を登っている時に転んで顔をぶつける
2階建てや3階建ての保育園では、子どもたちが階段を使う機会があるでしょう。踏み外すと、大きなケガに繋がりやすい場所です。走ったり、ふざけたりしないで、足元に注意を払いながら移動することが重要です。足腰が不安定な子はハイハイで上ったり、保育士が手を繋いでサポートしていきたいですね。重心が安定している子でも、
手すりに掴まることを習慣にしていきましょう。
食事中のヒヤリ・ハットと注意点

食事の時間は、補助や片付け、着替えの手伝いなど、慌ただしくなりがちです。そのような時こそ保育士は、冷静な確認と対応で事故を防いでいくことが大切です。
ここからは、食事中のヒヤリ・ハットについて見ていきましょう。
アレルギー食材の誤飲
- 落ちていた除去食以外を食べてしまった
- 誤ってアレルギー食を配膳した
食物アレルギーを持つ子どもの誤飲・誤食は、ヒヤリ・ハット事例の代表的なものです。配膳順や確認方法など、除去食の
提供マニュアルの共有を園内で徹底しましょう。全保育士がアレルギー児を把握しておくことも大切です。
誤嚥による窒息
- 食べ物のサイズが大きすぎて喉につまった
- 固さが不適切だった
食べ物による窒息の例もあるので、食べ物のサイズや固さを確認することも大切ですね。特に離乳食の時期は、子ども一人ひとりの発達に合わせて食事の形態が変化していきます。保育士と調理スタッフが連携を図りながら、子どもの
発達に適した食事を提供すると共に、食事中は子どもから目を離さないようにしましょう。
食器の落下による負傷
- 味噌汁をこぼして火傷を負った
- 茶碗を落として割れた
配膳時に誤って食器を落としてしまうこともあります。汁物の温度が高いと、こぼした時に火傷を負う可能性も。少し冷ましてから配膳すれば、火傷のリスクが下がります。
陶器でできた茶碗や皿は、落とすと割れてしまう可能性があります。子どもが素足で踏むとケガに繋がるため、割れた時には
速やかにその場から子どもたちを遠ざけます。破片が飛び散る可能性もあるため、広範囲に渡ってしっかりと掃除機をかけましょう。
午睡中のヒヤリ・ハットと注意点

午睡中は、命に関わる事故が発生しやすいタイミングです。連絡帳や日誌の記入など、仕事はたくさんありますが、子どもの状態確認も忘れずにしっかりと行いたいですね。
ここからは、午睡中のヒヤリ・ハットについて見ていきましょう。
うつぶせ寝や窒息
- 気付いたらうつぶせ寝で時間が経っていた
- 他の子どもが覆いかぶさっていた
こども家庭庁が発表した「令和5年 教育・保育施設等における事故報告集計」によると、死亡事故9件のうち、4件が睡眠中に発生しているため、注意が必要なことが分かります。
うつ伏せになっている場合は、SIDS(乳幼児突然死症候群)の危険性があるため、仰向けに戻すことが大切です。また、他の子どもや布団が覆いかぶさって窒息に繋がることも。必ず子どもたち全員の様子をブレスチェックで把握するようにしましょう。
出典:「令和5年教育・保育施設等における事故報告集計」の公表について/こども家庭庁
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室内での熱中症
- エアコンがついていなかった
- 長時間日差しが当たっていた
夏は熱中症に気を付けたいですね。外遊びの時には意識していても、午睡中はノート記入や呼吸チェックで
手一杯になっていることも。
午睡時には部屋の温度や湿度をチェックし、必要に応じてエアコンや扇風機などを使用しましょう。子どもの顔色や呼吸も、こまめな確認が必要です。
体調不良の見落とし
午睡中は静かに眠っているため、体調の変化を見落としやすいです。嘔吐や鼻血の場合は感染症や窒息を防ぐため、迅速な対応が欠かせません。
子どもの変化に気付けるよう、室内は
子どもの顔色が見える明るさを保ちましょう。また、体調が悪そうな子は、こまめに様子が見れるよう、保育士の近くに寝かせておきたいですね。
小さな気付きで大きな事故を防ごう
普段何気なく過ごしている保育室を始めとする園内にも、ヒヤリ・ハットの対象となる危険が潜んでいます。小さな気付きが、事故を未然に防ぐきっかけになります。
さまざまな場面で危険な状況や物はないか、もう一度チェックしてみましょう。
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