「子ども主体の保育」を実現する新たな手法
「先生、くやしいよ~」
その声はアスレチックジムの方から聞こえています。
理由を聞くと「アスレチックジムの2階から3階に登れないから」と言います。
私は彼の隣に座り、一言だけ声をかけました。
「そうなんだ。くやしいね」
それ以外の言葉は必要ありません。励ましの言葉はかけなくていい。登れる方法も教えない方がいい。ただ共感するだけでいい。
この「くやしい」という気持ちを思う存分、味わってほしい。
この場面は、『キッズアプローチ 子ども主体の保育 生きる力・非認知能力を育てる』の中から一部抜粋したものです。
このとき皆さんだったら、どのような関わりをするでしょうか。「先生が支えてあげるから頑張れ!」と手を貸すかもしれません。もしくは「足をここに掛ければ登れるよ」と教えるかもしれません。
しかしこのとき、大塚先生は、共感の言葉以外なにも言いませんでした。これがまさに、“キッズアプローチ”の基本的な考え方に基づいた関わり方なのです。 自分で乗り越える力をつけてほしい、挑戦してほしい、そして自身と誇りと感動を味わってほしい。そんな想いを込めて行った保育です。
保育者であれば誰もが知っている幼児教育の父・倉橋惣三先生の理論に学び、“保育の神様”と呼ばれた堀合文子先生の基で実践を学んだ教育者である大塚先生が、さまざまな実例を元に、その関わりに至ったプロセスを解説します。
未来に必要な生きる力・非認知能力を育む「子ども主体の保育」とは? またそれを実現する手法「キッズアプローチ」とは? 理論だけでなく実践までを詳しく解説した本書は、保育現場で試行錯誤をしている皆さんにぜひ手に取ってほしい1冊です。
未来の子どもたちに必要な力
2020年は教育改革の年。保育園・幼稚園から小中高そして大学まで、従来型の教育が大きく変わる転換点を迎えています。そのキーワードとなっている「アクティブラーニング(能動的学習)」という言葉が示すとおり、教え込む教育から、子ども自らが学ぶ教育へと変わっていきます。学力テスト、知能テストでは測れない「生きる力」=「非認知能力」をどのようにして育むか? が、今後の乳幼児教育の大きなテーマになっていくことは間違いありません。
キッズアプローチは、「子ども主体の保育の実践」「人間力を育てること」、そして「非認知能力を養うこと」を目標にしています。ロボットやAIが発達し、人間の仕事がなくなるのではないかと懸念される現代社会。この先必要になってくるのは、自分で考え、行動し、生き抜く力です。
そんな力を持った子どもたちを育てるために必要な保育者の関わりとは? 環境設定のポイントとは? その理論と実践方法が、先生の豊富な体験をもとに語られています。
“新しい保育”の在り方へ
発刊:2020年12月1日
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教育・学参・受験 幼児教育部門
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「子どもと人間への深い愛と信頼が流れている」(東京大学名誉教授 汐見稔幸先生)
「保育界に希望の新風を吹かせるに違いない」(お茶の水女子大学名誉教授 内田伸子先生)
本書では、大塚先生が乳幼児教育者としての道を歩み始めてから今日に至るまでの失敗や、ぶつかってきた壁、そしてそれを乗り越えるためにしてきたことが語られています。
今、まさに必要とされている子どもの主体性を大切にした保育「キッズアプローチ」は、常に子どもを見守り、真摯に向き合い続けた先生だからこそできた新たな保育なのかもしれません。
「子ども主体の保育のやり方が分からない」「今までの保育を変えたいと感じている」「非認知能力はどう伸ばせば良いのか」そう感じている方は、ぜひ一度手に取ってみてください。
先生は現在、全国に220以上の保育施設を運営する会社の経営者として、保育界を支えています。「未来を創る子どもたちが、自分らしく人生を歩んでいけるように」。キッズアプローチには、そんな先生の想いと、子どもたちへの願いが込められています。
著者自らが語る!解説動画を大公開
ほいくisでは、『キッズアプローチ 子ども主体の保育 生きる力・非認知能力を育てる』の著者・大塚雅一先生自らが、キッズアプローチの考え方や実践方法について語る解説動画を、12月から配信します。非認知能力の重要性や、それを育む子どもとの関わり方、環境設定のポイントなどを3本仕立てで大公開。ぜひご覧ください。
【配信日程】
第1回 12月1日
『生きる力・非認知能力を育てる“キッズアプローチ”とは?』
第2回 12月6日
『子どもの主体性を伸ばす“キッズアプローチ”の環境設定とは?』
第3回 12月13日
『“保育の神様”堀合文子先生から学んだこと』
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>>汐見稔幸先生に訊く、「子ども主体」と「集団生活」の関係