虫歯予防デー・歯と口の健康週間とは
よく知られている「虫歯予防デー」は、もともと日本歯科医師会によって6(む)4(し)にちなんだ6月4日に実施されていた行事でした。その後、何度かの変更を経て、2013年(平成25年)からは「歯と口の健康週間」の名称で毎年6月4日から6月10日に実施されています。主な目的は、歯と口の健康に関する正しい知識の啓発と、歯科疾患の予防に関する習慣の定着、合わせて早期発見・早期治療により歯の寿命を伸ばすこととされていて、期間中は厚生労働省・文部科学省・日本歯科医師会・日本学校歯科医会によるさまざまなキャンペーン活動が行われます。
保育園でも歯の健康を見直す期間として、活動をしているところも多くあります。子どもたちには、
- 虫歯の原因と歯磨きの大切さ
- 歯の働きや大人と子どもの歯の違い
歯みがきがテーマのおすすめ絵本5選
今回は、子どもたちに歯みがきの大切さを伝えるときに読みたいおすすめ絵本をご紹介します。乳児から楽しめるものもあるので、子どもたちの年齢や興味に合わせて選んでみてくださいね。おかし だいすき
[げんきえほん (6) おかしだいすき]作・絵:いもと ようこ
出版社:岩崎書店
にゃんたはおかしが大好き。いつもおかしを食べています。そこにワニくんが泣きながら通りかかります。大変、歯磨きをしなかったので虫歯になってしまったのです! それを知ったにゃんたは…。
歯磨きの仕方を学ぶよりも、まずは「食べたら歯磨きをする」という習慣づけをしたい年齢の子どもたちにおすすめの絵本です。お話の内容はとてもシンプルなので、低年齢児から楽しむことができます。動物やおいしそうなおかしが出てくるところも、分かりやすくて良いですね。
がんばれ はぶらしハーマン
[がんばれ はぶらしハーマン (木村裕一 しかけ絵本) ]作:木村 裕一
絵:田中 四郎
出版社:偕成社
虫歯を防ぐ「はぶらしハーマン」。虫歯を作る「かいじゅうムッシー」と戦います。ハーマンは、無事ムッシーに勝てるかな? 穴あきのしかけ絵本で、楽しみながら虫歯になる理由を学びましょう。
ストーリー性のあるお話で、子どもたちの興味を引き付けながら進んでいく歯みがき絵本。ついつい歯みがきしたくなってしまうようなドキドキの内容で、歯みがきの大切さを伝えられます。少し文字が多いので、読み聞かせや4、5歳頃の子どもたちにおすすめです。
すき すき はみがき
[すきすきはみがき (こぐまのくうぴい)]作・絵:なかや みわ
出版社:三起商行(ミキハウス)
対象年齢:1歳~
歯みがきが嫌いなくうぴい。お母さんに「歯みがきしましょう」と言われても「いやだいやだ」。するとお口の中に、ばいきんトリオがやってきて…。
歯みがきをしないと、お口の中はどうなるの? 歯はどうなるの? という疑問に、少しドキッとするストーリーで答えてくれます。歯みがきの大切さがよく分かるお話で、子どもたちにも伝わりやすい絵本です。歯みがきを開始した子どもたちに、ぜひ読み聞かせてみてくださいね。
はみがきあそび
[はみがきあそび (あかちゃんのあそびえほん) ]作・絵:きむら ゆういち
出版社:偕成社
対象年齢:1歳~
ゆうちゃんも、こいぬのコロも、はぶらしでお口の中をごしごしごし。小さな子どもでも楽しみながら歯みがきに触れられる、しかけ絵本です。
しかけ絵本や、生活習慣をテーマにした絵本で大人気のきむらゆういちさん。大きく分かりやすいイラストと楽しいしかけで、歯みがきに触れる機会を作ることができます。まだ歯ブラシを使って歯みがきをしなくても、絵本を通して意識が自然に身に着いていくと良いですね。
わにさんどきっ はいしゃさんどきっ
[わにさんどきっ はいしゃさんどきっ (五味太郎の絵本) ]作・絵:五味 太郎
出版社:偕成社
対象年齢:5歳、6歳~
「どうしよう…こわいなあ…」怖がっているのは、わにさん? それともはいしゃさん? どっちも怖がっているのです。
歯医者さんが怖いワニと、尖った歯を持つワニが怖い歯医者さんという、ユニークな内容の大人気絵本です。同じセリフの中には、ワニと歯医者さん両方の違った感情が込められています。直接歯みがきを促したり、虫歯について教えたりするような絵本とは少し違いますが、ユーモアを交えながら歯について触れているところが人気の秘訣かもしれませんね。
絵本の読み聞かせ後に保育の中でできる3つのポイント
虫歯予防デーには保育園でも歯磨きの重要性を伝えたり、歯磨きの絵本を読んで興味関心が持てるように働きかけます。ではその後、保育の中でできることはなんでしょうか?
子どもたちの歯磨きへの意欲がさらに高まるような3つのポイントをご紹介します。
①「歯磨き」を楽しい遊びにする
歯磨きや虫歯について知らせても、子どもたちは時間とともに忘れてしまうことが多いです。 そんなときは「歯磨き」のイメージを使って子どもと一緒に遊ぶと、楽しい遊びの中で歯磨きへの意識を高めることができます。<アイデア①ごっこ遊び>
1番簡単なのが絵本のごっこあそびをやることです。『がんばれはぶらしハーマン』を読んだら「はぶらしハーマンごっこ」をやったり、『おかしだいすき』を読んだら保育士がワニくんになって「歯が痛いよー」と泣いて子どもたちに助けてもらったり。
楽しんだ絵本の内容を再現するのは子どもたちも大好きなので、保育士が絵本の中のキャラクターになればすぐにごっこ遊びが始まりますよ。
<アイデア②虫歯鬼ごっこ(氷鬼のアレンジ)>
「虫歯」というイメージと氷鬼を合体させて、新しい遊びを作ることもできます。
~虫歯鬼ごっこのやり方 ~
- 保育士が虫歯鬼、子どもたちは逃げる人。
- 虫歯鬼にタッチされると虫歯が痛くて動けなくなる。
- 氷鬼ではタッチされたら再度動けるが、虫歯鬼では「ゴシゴシと歯を磨くふり」を仲間にしてもらったら動けるルール。
- 全員をタッチしたら鬼の勝ち。一定時間逃げ切ったら子どもの勝ち。
子どもたちにとってはいつもと違う遊びでおもしろいですし、遊びの中で「歯を磨くと虫ばいきんをやっつけられる」ことを体験することができます。 *あくまで一例なので、楽しい遊びをぜひ考えてみてください。
②歯磨きについて考える機会を作る
子どもに考えさせる機会を作ると歯磨きや虫歯が「自分たちのこと」になり、記憶に残りやすくなります。例えば集まりで、
- 最近先生歯が痛いんだよね。なんでかな?
- 食事の後にやることって何か知ってる?
- 虫ばいきんの好きなものは何でしょうか?
③歯磨きに定期的に触れる環境を作る
1〜2日だけ働きかけてもすぐに忘れてしまうので、歯磨きの絵本の読み聞かせや遊び、投げかけを定期的に行うことが大切です。そして、忘れてはいけないのが「そこに楽しさがあるか?」です。子どもは楽しいことなら積極的に取り組み、自分たちの遊びにしていきます。「歯磨き」をいかに楽しいことにできるかが保育士の腕の見せ所となります。
歯みがきの大切さを伝えよう
歯みがきの大切さを言葉で伝えていくのは、少し難しく感じるかもしれません。でも、絵本や遊びを通して楽しみながら伝えていけば、子どもたちもきっと「歯みがきをしないと」「虫歯は大変なんだ」と分かってくれるはず。6月の「歯と口の健康習慣」を活用して、この機会にぜひ歯の健康について考えてみてくださいね。【関連記事】