防災訓練が怖いと感じる理由は?
保育園、幼稚園、療育機関では、年に複数回避難訓練を行っていると思います。火事や地震で対応方法は異なりますが、先生方の中には、発達の気になる子への対応に苦戦している場合もあるのではないでしょうか?
子どもたちにとって防災訓練が恐怖と感じる理由をいくつか挙げてみました。
- 突然の大きな音(サイレン)
- 突然切り替えなければいけないという行動調整の難しさ
- これから何が起きるのか見通しが立たない不安
- いつも通りではない、異様な雰囲気
その他にも子どもたちが不安に感じる理由はいくつかあると思います。
発達の気になる子の防災訓練の工夫
では、発達が気になる子どもにとってどのような避難訓練だったら不安を少しでも軽減できるのでしょうか?
子どもを支援する時と同様に、行動の理由を観察し、理由に合わせて関わり方や環境を変化させることが必要です。
サイレンの音が怖い子への支援方法
支援方法その1:イヤーマフの利用
サイレンを鳴らさないといけない状況であれば、その時だけイヤーマフを使用する、先生の手で耳を塞いであげて、少しでも音の軽減に努める。
支援方法その2:サイレンボタンの操作
サイレンのボタンはその子自身が押します。自分で押すことで、突然ではなく音の始まりがわかり、心の準備ができます。
支援方法その3:イラストカードの利用
サイレンの前にイラストカードや写真カードまたは現物で示し、それを見ると音が鳴ることを経験の積み重ねから知ることができる。
支援方法その4:影響が大きい場合は欠席も
避難訓練を経験することで、その後長い期間に渡り、不安が強くなり情緒的に大きな影響を及ぼすのであれば、保護者と相談し欠席することを選択する。
突然の切り替えの難しい子への支援方法
支援方法その1:おもちゃごと移動
遊びに夢中になっているのであれば、その玩具ごと一緒にもって移動する。
支援方法その2:とっておきのおもちゃ
本人の大好きな、とっておきの玩具を準備しておき、避難訓練の切り替えの時にだけ提供し、切り替えることに注目せずとも、好きな玩具で遊びたいから先生と一緒に移動できるようにする。
これから何が起きるのか見通しが立たないことが不安な子への支援方法
支援方法:視覚で補う
子どもたちは、先生が「あつまってー」と言ってすぐに先生のもとに来られる子もいれば、先生の言っている意味を理解することが難しい子もいます。この様なときには先生の「言葉」ではなく、見てわかるようにするとよいですね。
例えばブルーシートにカラーテープで円を描いておき、防災訓練の際には毎回そのシートが開かれたら、シートの円の中に入る練習をしておくとよいですね。
また、シートに入る練習をするときには、避難訓練がスタートではなく、楽しい遊びの中から経験を積み重ねておくとよいでしょう。初めてのことが防災訓練という不安なシーンで経験すると、「怖いときに出てくるもの」と認識してしまい、次からシートに乗るどころかそれを見ただけで泣き出してしまうということが考えられます。
このシートの支援には幅をもたすことができます。例えば、皆と一緒に入ることが難しければ○○君専用シートを作ってもよいですよね。そうすれば、火事の時にはみんなの近くに○○君専用シートを置いて入る。地震の時には机の下に○○君専用シートを敷いて入ってもらうこともできます。
また、シートの隅に本人が好きなセンサリーグッズ(感触グッズ)を短い紐で付けておいても良いですね。
子どもたちにあわせた支援のポイントについては、こちらの動画でも詳しく解説していますので、あわせてチェックしてみてください。
抜き打ちの避難訓練の場合はどうする?
抜き打ちで避難訓練を行う園もありますが、不安が強い子には事前に訓練があることや、どのように行われることなど、事前に1対1でリハーサルを行うことなど個別の配慮が必要です。
井上さんからアドバイス
いずれにしても、実際に避難しなければならない時には、子どもの命を守るために1分1秒でも早く移動しなければなりません。その際には、子どもを抱き上げる、抱っこ紐やおんぶ紐で移動するなど、本人の意思とは別に逃げることが命を守るためには優先されます。
訓練を行うことは園として必須ですが、配慮が必要な子に与えるリスクをよく考えて行えるとよいでしょう。
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