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園長は外で何してる?保育園園長の役割と業務(2)小学校・地域との連携

小学校・地域との連携|保育園園長の役割と業務(2)
保育園は、小学校や近隣、自治体などさまざまな団体と連携が必要です。「園長先生、また今日もいない… 」 そんなとき、園長はどこで何をしているのでしょうか? 普段の保育では見えづらい外部との連携について前回のコラム「保育園園長の役割と業務内容」に引き続き園長を経験したTommyさんにご紹介いただきました。 

園長のさまざまな役割その3:外部連携 

前回に引き続き園長業務のご紹介、今回は保育園外部との連携です。 

さまざまな関係機関と連携を持つことで、保護者や子どもたちの育ちの広がり、園への理解などへ繋がる大きな役目も担っています。園によっては園長以外の職員が対応している場合もありますが筆者の経験体験として参考にしてください。 

①小学校との連携 

近隣小学校と園長との打ち合わせ
かつては地域の保育園に通っていた子のほとんどが地域の小学校へ行くということが主流でしたが、最近では卒園児の進学先の学校が様々で同じ学校へ行く子が2〜3人という場合も多くその中で小学校とどう繋がっていくのかというのもテーマになっています。 

かなり前から地域の小学校との連携を行っている園も多く、その内容は、年長児の学校訪問、園の保育者や管理者が小学校へ授業参観に行く、小学校の先生が園に来て保育を参観する などが行われています。小学校のプールに遊びにいく、小学校の畑を貸してもらい野菜などを育てるなどで交流を深めることをしている園もあります。 

私の勤務していた地域では 地域の幼稚園・保育園・小学校が連携をとり情報の共有をしていました。その連絡や企画を持ち回りで幼稚園・保育園は園長、小学校は教務主任や教頭が行い、卒園児の授業中や学校の様子、新入学児童の保育園での様子を伝え合います。 

大きな目的は、小学校へ入学した後、無理なく新しい環境に慣れることもありますが、一人一人の子どもたちのことを知りたいという思いも小学校の先生のお話から伝わってきました。 

学校との連携はそれだけではありません。大規模災害があった場合の2次避難場所が小学校になっている場合、日頃から顔を合わせ、連携が取れていると緊急の場合にもスムーズに避難できるという利点があります。 

どの部屋を貸してもらえるのか?体育館などの大勢が集まる場所ではなく、外からの出入りがしやすい1階保健室近く、トイレ近くの部屋に優先的に避難できるように交渉する良い機会にもなります。 

②保健センター(保健所)との連携 

行政では1歳半健診、3歳児健診というような健診を行っています。 特に3歳児健診は小学校前最後の健診になり、視覚、聴覚はじめ発達についても健診が行われます。その際に、情報交換をする場合もあります。 

健診に来ないお子さんのフォローのために園へ問い合わせの電話があったりその子の様子を見にきたりすることもありました。また、歯磨き指導、栄養指導、未就園児の会でのお話などに園からの依頼で保健師さんが来てくれたりする場合もあります。 

保健師さんが学区ごとに担当している場合にはそのまま小学校へとの連携にも繋がるため、小学校での様子から園に問い合わせが来る場合もありました。その連絡の窓口が園長でありそこから担任に繋ぎ、園児や保護者支援に繋げています。 

健診後に保護者から健診の様子についての相談があったり、担当保健師さんから様子を聞かれたりすることもあります。そのような場合も最初の対応は園長がして、その後担任へ引き継いでいました。 

③発達支援施設や児童相談所との連携 

発達が気になる子への相談ができる「発達支援施設」が地域にある場合、連携をとっている場合もあります。私が勤務していた地域では、区ごとに発達支援施設があり、園からの依頼をして、園児の様子の観察、職員の対応や保育内容のアドバイスもいただきます。

また、園長会の際に発達支援施設での取り組み、発達に応じた遊びや保護者対応などのお話を聞く機会もあり学ぶことが多くありました。診断後、通うことになった子どもの様子を共有することで双方ができることを話し合うという場合もあります。 

児童相談所の場合には、さまざまな状況での連絡が入る場合があります。その際には内容の漏洩等慎重になります。保健センターや発達支援施設・児童相談所の連携の場合には「連絡情報共有シート」「リレーシート」などの文章に残し、電話、手紙の内容を記載し残しておくことで、担任や担当者が変わったときにもわかりやすくしていました。内容によっては管理者のみでの共有や個人情報等の観点から漏洩しないような配慮も重要になります。 

④地域の自治体やコミュニティーとの連携 

地域のお祭りに参加する保育園の子どもたち

「地域の中で子どもたちは育っていく」という観点から地域との連携もとっておきたいことの一つです。合同の防災訓練に参加をしたり、地域のお祭りなどに参加させてもらったりすることで、保育園の子どもたちを感じていただける良い機会になります。 日曜日の自治会の清掃に管理者が参加したり、集まりに参加したりするという場合もあります。 

ビル型の保育園に勤務していたときには、上の階で行われる研修会や講演会に参加させてもらい、保育園があることや保育園での様子を話す機会を持ち園への理解に繋げるということもしていました。 

その中で気軽に「大規模災害の時には園児の避難にお力を貸してください」と声をかけたり、保育園の様子を伝えたりすることで子どもたちに対して微笑ましく思ってもらえていたという経験もしました。 地域と園をつなぐことも大きな役割と言えます。 

⑤地区の保育園、幼稚園との連携 

勤務していた地域では年に数度、地域の保育園、幼稚園の職員が集まり「子育て広場」や「ミニ保育まつり」のようなイベントを行っていました。各園長と連携をとる中で、お互いを気に留めるというつながりが出てきます。 

勤務していた時には近隣の公立幼稚園とのつながりができ、「年長児の交流ドッチボール大会や幼稚園の遊具や園舎で遊ぶ機会を持てると、小学校での友だち作りにもいいよね」と話し合っていましたがコロナ禍で実現することは残念ながらありませんでした。しかし、同じ地域にある園として、園長同士が繋がることで保育の広がりも持てるような気がします。 

⑥行政・園長会での連携 

子育てひろばで説明する担当者

市や区の園長会、交流会や懇親会も重要なコミュニケーションの場にもなっています。園長会では連絡事項や法律関連、行政主催の行事等の運営などについての話が中心ですが、さまざまな連絡協議会等の勉強会などにも参加します。 

園長をしていた地域では年長児へのイベントや子育てイベントの係や準備片付けなどにも参加や、区が発行する冊子や子育てマップの編集や変更などの依頼を受け法人本部と連絡を取り合い修正・提出なども園長が行っていました。 

また、未就園児の会に区役所の保育園係の方に来てもらうように交渉し、保育園の入園について詳しくお話をしてもらう、行政の行っているSIDS研修に申し込み園に来てもらう、警察へ不審者訓練のために警察官の派遣の依頼、消防署へ救命救急勉強会のために救命士の派遣の依頼なども行っていました。 

機会があるときに各省庁に出向き挨拶をし顔を繋いでおくとこのような連携もとてもスムーズになったという経験もあります。 

「つながり」が子どもたちの未来をつくる 

行政区での園長会だけではなくさまざまなところで繋がることが園児や保護者、職員にとって実は重要な意味を持つ場合も多くあります。そのきっかけを生むのが園長です。きっかけや広がりを作り、そこから先生たちに繋いでいく。その大きなパイプ役も園長の重要な役割の一つです。

「園長先生、今日もどこかにお出かけ」。 そんな時、さまざまな機関との連携のために出向いている場合がほとんどだと経験から感じます。 

次回は園内研修と職員との関わりについて紹介します。 

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Tommy(トミー)

この記事を書いた人

Tommy(トミー)

公立保育園・児童養護施設・民間私立認可保育園等での保育歴25年、園長・主任経験あり。、絵本専門士、心療カウンセラー、認定ファシリテーター講師。現在なごや環境大学SDGsアソシエイト講師養成講座受講中。保育に関わる全ての学びを楽しんでいます。任意団体「チャイルドケアプラス」代表。外国籍の子どもたちの日本語・学習支援や外部から保育園や先生たちを支える活動を行っています。

<チャイルドケアプラス>
https://childcareplusnagoy.wixsite.com/childcare

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