今回のお悩み:子どもたちの支援を学ぶ機会がない環境を変えたい
ぴいすけさん(幼児フリー保育士/14年目)からの質問
さまざまな子どもが保育園や幼稚園で生活をしている中で、保育者側のスキルアップが必要だと感じるのですが、色々な子ども達に向き合える環境が整っておらず、現場の先生達も困惑している日々が続いています。
困惑している理由としては、発達支援が必要な子ども達に対してのさまざまな支援の仕方、方法がわからないという事がほとんどです。
姉妹園同士の研修はあるのですが、外部の細かなスキルアップに繋がる研修は全くありません。知識を蓄えたくても知れない環境があったり、知れる環境がほしいと伝えてもあまり関心を持ってくれません。
クラスの中に複数人の発達支援が必要な子がいると目や手が行き届かず、疲弊している様子が伺えます。どうしたら園全体が前向きに今の保育現場のあり方を認知し、助け合える環境にしていけるのか悩んでいます。
専門家からぴいすけさんへの回答
ご質問をくださった先生の文章から、子ども自身を変えようとせずに、子どもたちが安心して過ごすことが出来る環境を整えようという想いが、伝わってきます。支援の仕方は様々な方法があり、中心である子どもたちにとって理解の手助けとなるものや、安心と感じるものであればどれが正解ということはないと思います。しかし、子どもの支援を考える際には、子どもの行動の「なぜ?」を考えるための知識、どう支援したら良いのか方法の引き出しをつくり出す知識とアイデアが必要になります。
人を変えようと思うならまず自分が変わろう
ご質問の内容から、園全体の発達支援に関する考え方を皆同じ方向性で進めていきたいがそれが叶わないことに苦しい想いをされていると理解できます。この問題は園全体を変えたいというハード面のご相談ですが、このハード面を変えるということは時間と労力がかかります。
私が学んできた言葉の中に「人を変えようと思うなら、まずは自分が変わる」という言葉があります。
ここで当てはめてみると、今までも先生は園に対して外部の細やかな研修を要望してきましたが、それが叶わないということであれば、まずは自分一人でも学び、それを実践していくことで大きな部分は変えられなくても、小さな一歩から少しずつ子どもの支援の実践結果を積み上げていくと良いと思います。
人を変えようとすると、時間も労力もかかり精神的にも疲弊していくので、人を変えようとせずに、自分を変えていく作業をおすすめします。
学びは財産になる
私は長年発達支援の学びを続け、この学びが子どもの支援を学んでいるようで、自分自身の人間力の学びにもなっていると深く感じています。発達支援の学びは時間とお金をかけてでも、積極的に受けられることをおすすめします。学びを深めることで、日々の実践が楽しいものになり、より子どもたちの行動の意味を理解した素晴らしい実践者となることが出来るでしょう。それが、近くの先生方お一人お一人に伝染し、生き生きと支援をしている先生に憧れ、どこで学んだのか?どのように学んだのかと支援の輪が少しずつ拡がっていくでしょう。
子どもたちと先生方の架け橋へ
園全体が中々変わらないと嘆くよりも、先生自身から発達支援の素晴らしさを行動でみせ、子どもと先生方の架け橋となるように努めてみてはいかがでしょうか?私が発達支援に関わる中で、嬉しいことの一つに保護者の方や現場の保育士の先生方から「井上先生のようになりたい。先生はどこで学ばれたのですか?」という質問を受けることです。
この学びは自分自身にも輝きをもたせてくれる素晴らしい学びです。ぜひ、身近なことからコツコツと実践し、素晴らしい実践者となってください。応援しています。
ほいくisのオンライン研修でも支援の方法が無料で学べます
ほいくisの人気コンテンツ「ほいくisオンライン研修」では、無料で発達支援など保育に関わる講座を受講することが出来ます。園研修などにもお使いいただけますのでぜひご活用ください。(ほいくis編集部より)井上さんに直接聞いてみたい発達支援のお悩み募集中
普段の保育で感じている発達支援のお悩み、井上さんに質問してみませんか? このコラムも実際に寄せられた質問にお答えしています。ほいくisでは、保育者のみなさんが抱える発達支援のお悩みを募集し、児童発達支援管理責任者/保育士/発達支援専門士として自治体とともに現場の保育士さんと一緒に発達支援を考える井上さんに回答いただく企画が好評です。あたたかい目線でいつも保育者に寄り添う井上さんのコラムは、現場の保育者の方からも非常に好評です。ぜひみなさんが感じていること、相談したいことがありましたら以下のバナーをクリックして相談を教えてください。 詳細については、相談応募フォームにてご確認ください。
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