子どもたちと過ごしている時、その姿に驚かされることが度々あります。それは大体、私の想像を超える子どもの姿や面白い発想が見られる時です。
先日北海道に行った時は、3歳の男の子が薪割りをしているその姿に驚きました。
私が薪割り台を見ていると、3歳の男の子が来て、手慣れた手つきでその台に薪を置きました。その薪割りは、斧で薪を割るものではなく、刃が上向きについている台に薪を乗せて、上からハンマーで叩いていくというものでした。普通の薪割りよりも安全で簡単にできるものでしたが、ハンマーを振り上げて、そのハンマーに自分の体重を乗せて薪を叩き割る必要がありました。 ハンマーを力一杯振り下ろし、カーン、カーン…と何度か叩いて割ります。そのハンマーを振り下ろす男の子の姿は、大人さながらです。肩に担ぐようにハンマーを構えては、そこから薪へ向かって振り下ろす。その振り下ろす時の姿勢は、腰が入って安定し、ハンマーはブレずにまっすぐ薪の頭の部分を叩くことができていました。
そして何度か叩いていくうちに、だんだん薪に刃が入って行きます。割れ始めると、カーンという硬い音からコンという少し軽い音に変わり、最後には薪がパカンと二つに割れました。
私が「すご〜い!」と言いながら見ているのを横目に、その子はちょっと誇らしげに、また別の薪を持ってきて割り始めました。こうして、3〜4本薪割りをし続けていた男の子。今度は硬そうな丸太を持ってきました。
「それも割れるの?」と聞いてみると、「うん、だいじょうぶ。」と言いつつ、何度かハンマーを振り下ろしていましたが、なかなか割れる気配がありません。
すると、男の子が「あ…ちょっとてがつかれてきたなぁ」とつぶやいたので、「交代しようか?」と聞くと、「うん」と言ってハンマーを手渡してきました。
なかなか硬い丸太でしたが、しばらく私が力を入れて叩いていると、カーン、カーン…コンと音が変わる瞬間がありました。
その時すかさず、その子は「もういいよ」と言い、選手交代。最後のパカンと丸太が割れる体験をし、「はぁ〜われた〜」と満足そうでした。
私は、3歳がここまでできるのか! という驚きと、この子の大人びた表情や仕草が可愛くて、この一連の様子をずっと見ていました。そして、薪が割れ始めた時の音の変化がわかっていることにも驚きました。
この男の子は、やり方として考えながら薪割りをしているのではなく、感覚的に体験が身についているのです。 保育経験が長いと、どうしても2歳児はここまで…などと、大人がある適度子どもの成長を見越して、やることを決めてしまいがちです。でも、もしかしたら私たちが思う以上に子どもの能力は高いのかもしれないと感じることが多くあります。
自然の中で遊んでいる時は特に、子どもの意外な姿や想定以上の力などが見られます。
大人が子どもの力を決めてしまうのではなく、「どこまでできるかな?」「どうするかな?」と、子どもの“今”を見ながら信じて任せてみる…ということも時には必要です。すると、子どもたち一人ひとりの新しい姿を発見できるのだと思います。
子どもの“今”の姿を発見する保育は、毎日ワクワクするのではないでしょうか。