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"おとな"だけど、”こども”のような存在【自然の中で見つける保育】

おとなだけど、こどものような存在【自然の中で見つける保育】
自然の中での保育を専門にしている野村直子さんによる「子ども」と「自然」をテーマにした連載をお届けします。>>連載の記事一覧はこちら  

おとな?こども?

私が定期的に顔を出している保育園の4歳児のHくんに、以前こんなことを聞かれました。

「ねーねー、おとななの?こどもなの?」

私は一瞬何を聞かれたのかわからず、「え?」と聞き返すと、そばにいた5歳児のSくんが「おとなじゃないよ」とさらっと答えました。

でもHくんは納得いかずに、「え?でもさーおおきいじゃん」ともっともな返事。

Sくんはそれに対し、「じゃあ、おかあさんだ」。

Hくんは「え?おかあさんじゃないよ!おとこじゃない?」と言うので、私は思わず「男じゃないよ~」と笑いながら反応してしまいました。

そこで、Sくんはクールに「で?なんなの?」と聞いてきたので、私は「一応”おとな”です」と答えると、二人とも納得いったのかどうなのかわからないけれど「ふ~ん」と言って、その場を去っていきました。

このやりとりが面白くて、子どもにとっての”おとな”って何なのかな?と考えてみました。

この園では、大人も子どももフラットな関係性を作っていこうと、開園当初から試行錯誤をしています。だからこそ、大人と子どもの違いが薄いのかもしれません。

それでも、このやり取りから”おとな”と”おかあさん”と”おとこ”が子どもの中ではっきりと認識されておらず、子どもとっての感覚的な関係性が透けて見えるように思います。

一緒に遊ぶ人

草原で観察する保育者

先日、ある園の先生からはこんな質問を受けました。

「子ども主体の保育だから、子どもが遊ぶことを見守っていた方がいいとは思うけれど、自分も楽しくなって遊びたくなってしまう。そういう時はどうしたらいいですか?」

私は先生自身も楽しみながら、色々なことを試してみる姿が子どもの心を動かすと考えているので、そう答えました。

しかしよく見かけるのは、大人が”子どもたちを遊ばせよう”とする姿です。

”遊ばせよう”とすると子どもたちに「ほら、これみてごらん」「こうやってごらん」「こうやるんだよ」「違う違う」と言葉が増え、説明が始まり、子どもたちの声よりも大人の声が響きます。

子どもと”一緒に遊ぶ”という大人のあり方は、”遊び方を教えよう”という意識はあまりないように見えます。

「わぁ!みてみて~」「おもしろ~い」など、大人自身が思わず声を挙げる姿に子どもは惹きつけられ、そこから子ども自身の発見や遊びが始まり、遊びが広がっていきます。

子どもにとっての“おとな”とは

 
積み木に熱中する保育者と子ども
子どもにとって、”一緒に遊ぶ人”と”遊んでくれる人”は違う存在として現れているように思います。

冒頭の子どもたちにとっての”おとな”は、もしかしたら”遊ばせようとする人””遊んでくれる人”や”先生”という存在なのではないでしょうか。

私は子どもといても、素の自分で子どもと一緒に楽しんでいるところがあるので、Hくんには「このひとは”おとな”なのか”こども”なのか?」という疑問が出てきたのではないかと思っています。

このふたりにとっての”こども”、Sくんにとっての”おかあさん”、Hくんにとっての”おとこ”は、”一緒に遊ぶ人”なのかもしれません。

この一件から、私は子どもたちにとって『”おとな”だけど”こども”のような存在』でありたいと思いました。そして、”一人の人(個)”として子どもたちと関わり、子どもたちにも『個』として認識してほしいと思っています。

みなさんはいかがですか?


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野村直子(のむら なおこ)

この記事を書いた人

野村直子(のむら なおこ)

「子ども」と「自然」をキーワードに国内外での保育と自然体験活動などの経験を重ね、 “森のようちえん”という自然保育の活動に関わる。小規模保育室園長を経て、現在は新しい視点で子育ての質を伝えて行くため『new education LittleTree』代表として研修事業をメインに活動中。
<ホームページ>
https://www.new-edulittletree.com/

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