「あ〜すずし〜い!」
と、どんぐりの木立の下でゴロンと柔らかな草の上に寝転がり、気持ち良さそうに目を閉じる2歳児のSちゃん。
「気持ちいいねぇ〜」
と言いながら、隣に寝転がる私。
それを見た他の子どもたちも真似をして寝転がっていく…
これは、ある夏の日の保育の一場面です。
保育者の私がリラックスしていると、子どもたちもとっても穏やかに過ごしています。
私にとっての自然の中での保育は、こんな風に「子どもにとっても、大人にとっても心地よい時間を過ごすことができる保育」です。
もちろん自然の中には、厳しい側面もあります。
大きなスズメバチがゆっくりと頭の上を飛んで行く場面では、子どもも私たち保育者も凍りつきます。
でも、対処法を知っていれば、不必要に騒ぐこともなく、ちょっと怖かったという共通体験になります。
こんな時、「こわかったね〜」「またくるかもしれないよ」「はやくあっちにいこうよ」などと、真剣な顔で子ども同士が話しながら、どう対処するかを考えるようになります。
そして、園に帰った時や家に帰ってから、「怖かったけど俺たち頑張った!」という体験を、達成感を感じながら報告することもあります。
ちょっとドキドキしたこと、少し危なかったという体験は、子ども達にとっての武勇伝であり、それは一つの成長に繋がります。
体験には、良い体験も悪い体験もありません。
心地よい体験もあれば、危ないと感じる体験や不快な体験などもあります。
その感じ方も、一人ひとり違います。
ある子にとっては、チクチクと感じる葉っぱも、ある子にとってはふわふわと感じる・・それは、表現の違いであって、正解も不正解もありません。
自然保育は、自然の力を借りて、子ども達が豊かな体験をしながら育まれていきます。
人工では作ることのできない環境の中で、大人の想定を超える体験が可能です。
このコラムのタイトルにもなっている『センス・オブ・ワンダー』の中でレイチェル・カーソンは、
「知ることは、感じることの半分も大切ではない」と言っています。
虫や花の名前を知らなくても大丈夫。
自然の中での遊び方を知らなくても大丈夫。
子ども達が見つけて来る「なんだろう?ふしぎだな」というものを、保育者が一緒に感じて、不思議に思う心が大切です。
自然のことを知るよりも、自然から学ぶことがたくさんあります。
自然の力を借りて、子ども達と一緒に自然を感じる保育、してみませんか?
