先日、ある保育園へ視察に行きました。
そこで見た子どもたちの姿は、背筋がシャキッと伸び、“自分のこと”をはっきりと表現する子どもたちでした。
その姿を見て、「かっこいい…」と久々に惚れ惚れしてしまいました。

なぜ歯科医師がそのことを話していたかというと、噛み合わせは体全体のバランスと関係あるということでした。要は、部分的に対症療法を施しても根本的には良くならないとのことです。
最近、保育園などでよく聞くのは、咀嚼ができない子が多いということ。そして上手に飲み込むことができないということです。
保育現場で起きている、丸い形の食べ物(ぶどうやミニトマトなど)を喉に詰まらせて窒息するという事故は、咀嚼や体のバランスにも関わっているように感じます。
その歯科医師は「しっかりと全身を使う運動をして、体にストレスを与えることで体が作られていくんだ」と話していました。やはり自然環境のさまざまな地形の中で、体を使う動きを体験することが必要なのだと強く感じた話でした。
先ほどの保育園の子どもたちは、リズム体操などで全身を使う取り組みを行い、かなり遠い場所まで何時間もかけて散歩に出かけています。体をバランスよく使いながら、体の成長と脳の発達を加味して保育を行う、ということに取り組んでいるそうです。
でも、それだけではないのです。
ポイントは、保育者の子どもたちとの関わりにありました。子どもたちが生活の中でやることや役割、遊びやお絵描きなどすべてに関して、保育者が手を出さず、口を出さず、ギリギリまで待つ…という姿勢です。そして「どうしたい?」と子どもたちに問いかける保育を徹底していました。

0歳児が椅子を運び、固めに茹でた野菜をポリポリとよく食べ、自分の着替え袋を片付けるために別の部屋に持っていく…など、自分のことを当たり前のように自分でしていました。
“この子はできる”という関わりを保育者がしているのです。“やらせている”のではなく、できないところを援助しながら、“できるように支援”しているのです。
この生活を毎日送っていたら、背筋がシャキッと伸びて、自分の意見をはっきりと言える子に育つのだということを目の当たりにしました。
「子どもの力を信じる」ということは、「力があると信じている保育者がいる」ということです。
信じているから、子どもたちの力を引き出す関わりができます。
信じているから、子どもたちに任せることができます。
すると、子どもたちは、自信を持って“自分のこと”をはっきりと表現します。その“自分のこと”というのは、自分の名前や年齢という決まりきったことだけではなく、自分の中にある考えや感覚のことも含みます。
自分を表現できる力を持つ子どもたち。その子どもたちの可能性を信じ、可能性から関わる私たちでありたいものです。
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