毎日の「保育日誌」、どんな風に保育を振り返っていますか?
皆さんは毎日の「保育日誌」を書くときに、日頃の保育をどのように振り返り、評価や反省点などを書いていますか?他にも「保育のエピソード記録」を取り入れている、という保育園もありますね。エピソード記録では、特に印象に残った出来事にフォーカスし、保育士さん自身の感想や感情を詳細に記録していきます。
どちらも保育の内容を振り返るための記録ですが、「良い活動だったか?悪い活動だったか?」と考えるとき、どんな視点で考察し考えているでしょうか。
今回は、そんな“保育内容の振り返り”の際に大切にしたいことを、野村さんが体験したエピソードを通してご紹介いただきます。
是非いつもの「保育日誌」や「エピソード記録」で書いている内容を思い出しながら、読んでみてくださいね。
いまの保育、子どもたちにとってどうですか?
先日、ある保育園の先生と話していた時のことです。その先生は、「日誌の“評価・反省”という項目の書き方を迷う」と話していました。
“評価・反省”と聞くと、どうしても視点は“ダメなところ探し”になってしまうようです。
例えば、「この時はこうすれば良かった」「これはここが良くなかった」など、実施した活動の良くなかったポイントを書こうとしたり…、
子どもたちのことで「男の子は集中できていなかった」とか「〇〇ちゃんはこれができていなかった」など子どもたちのできていなかったポイントや足りないポイントを書こうとしたり。
これも必要な振り返りではありますが、次に繋がるような評価を適切に行うことで、保育活動の精度が上がっていくのではないかと思っています。
「これがダメだった…」と反省するよりも、前向きに改善点を探すというイメージの方が、私はしっくりと来ます。
こんなエピソードのとき、保育をどう振り返るでしょうか?
つい最近、ある保育園のお散歩に一緒にいく機会がありました。その日は朝から雨が降ったり止んだり…でも、お散歩の時間には晴れる予報でした。
「さぁお散歩に出かけましょう!」と準備が整ったその途端…ポツリポツリと雨粒が落ち始めました。
私は、天気予報アプリの雨雲レーダーを見ながら、10分でこの雨は止むと判断し「行こう!」と促しました。
ところが、保育園の門を出てすぐに、大粒の雨になってきて、慌てて近くの建物の軒下に子どもたち全員が入った途端…ザザーッ!と土砂降りに。
雨どいから落ちてくる水の勢いが激しくて、足元に跳ね返ってくるほどでした。
子どもたちと「つめたい〜!!」「ぬれる〜」と大騒ぎしながら雨をしのぎました。
少し雨が弱くなったところを見計らって、「いまだ!戻れ〜!」と保育園へ急いで戻り、今度は保育園の軒下で足などをタオルで拭きながら、また強くなってきた雨をしばらく眺めていました。
みるみると園庭が川のようになっていく様子を間近で見て、子どもたちは大興奮。
風が吹いて、細かい雨の飛沫が子どもたちに降りかかると「きゃ〜」と言いながらも楽しそうでした。
着替えの後、その雨の体験を絵に描いてみようということになりました。 その時印象的だったのは、ほとんどの子どもたちが迷いなく、すぐにお絵描きに取り掛かった姿でした。普段絵を描くのを嫌がる子もすぐに描き始めたと、担任の先生も驚いていました。
クレヨンでまずは灰色の雨雲を描き始め、雨を力強いタッチで描いたり、園庭にできた川や風が舞っている様子を描いたりと、一人ひとりが感じたインパクトのある体験を、力強く表現していた子どもたちでした。 今回の活動は、雨雲の動きの読み間違いで大雨と遭遇してしまいました。
この活動を評価・反省するとどうなるでしょうか?
もしかしたら、「散歩は止めておけば良かった」という反省をするかもしれません。「判断を誤った」とあまりよくない評価になるかもしれません。
しかし、その大雨に遭遇した子どもたちの反応やその後、絵に現れた子どもたちが感じた雨の印象などを見ると、決して“悪い活動”ではなかったように感じます。
良い・悪いという評価だけではなく、子どもたちの体験のプロセスをどう保育者が見てとるか。そして、その体験を次にどう繋げるか。
そのことが大切だと思っています。
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