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映画『夢みる小学校』公開!保育のヒントになる“子どもファースト”の取り組みとは

この春、保育者注目のドキュメンタリー映画が公開されました。『いただきます』シリーズのオオタヴィン監督が手掛けた最新作『夢みる小学校』は、”子どもファーストな学校”に密着取材した作品。保育のヒントになりそうなポイントをお伝えします。

ドキュメンタリー映画『夢みる小学校』

手作りの見晴台を作っている小学校の子どもたち
舞台は、私立の「きのくに子どもの村学園」、公立の「伊那市立伊那小学校」「世田谷区立桜丘中学校」という3つの小中学校。それぞれ校風も授業内容も異なりますが、一人ひとりの個性を大切にした、”子どもファーストな学校” という共通項があります。

作中では、これらの学校での生活に密着した映像と、関係者や専門家へのインタビューを織り交ぜながら、子どもたちが自分らしく生き生きと成長していく姿が丁寧に描かれています。自ら撮影を手掛けるオオタヴィン監督の優しい眼差しには、子どもたちに対する、「自分のままでいいんだよ」というメッセージが込められているようで、スクリーンからは陽だまりのような温かい雰囲気が感じられました。

「子どもの主体性を伸ばす」「一人ひとりの個性を大切にする」といった考え方は理解しているものの、どうやって保育の実践として取り入れていけば良いかという点で課題感を持っている保育者も多いと思います。この作品は、そういった課題へのヒントがたくさん詰まった作品なのではないかなと思います。

南アルプス子どもの村小学校

南アルプス子どもの村小学校の職員室
映画の舞台は、山梨県南アルプス市にある「南アルプス子どもの村小学校」からスタート。子どもたちが自ら道具を持って、一から自分たちだけで展望台を作っていく過程が描かれています。教室に貼られた時間割には、国語・算数・理科・社会といった主要科目は見当たらず、教科を横断しながら総合的に学んでいく体験学習である「プロジェクト」が全体の6割ほどを占めています。年齢別のクラスはなく、子どもたちは1年ごとに大工仕事、木工、料理、衣生活、創作劇といったプロジェクトの中から、好きな活動を選びます。

また、この学校には「先生」がいません。教師は「○○せんせい」ではなく、子どもたちからはニックネームで呼ばれる「おとな」としてプロジェクトを担当します。これは、子どもたちを「教え・導く」存在ではなく、子どもたちとともに歩むアドバイザーや、“お助けマン”のような存在としてかかわるという考え方が反映されているのです。

作中では、子どもたちがプロジェクト活動を通して、自分たち自身でやり方を決めて、調べ、体験し、時には失敗をしながら学んでいく姿や、それらを温かくサポートしていく「おとな」の姿がとても印象に残りました。子どもたちの主体性を育むにはどうかかわれば良いか? 保育でのかかわり方のヒントにもなりそうな映像でした。

きのくに子どもの村学園とは

学校法人きのくに子どもの村学園 理事長・学園長の堀真一郎さん(学校法人きのくに子どもの村学園 理事長・学園長の堀真一郎さん)
南アルプス子どもの村小学校は、「きのくに子どもの村学園」を構成する5つの学校の一つ。「序列をつけるテストがない」「先生がいない」という自由な学校ですが、文部科学省の学校教育法に認められた、れっきとした学校法人です。学園長である堀真一郎さんは、大学教授職の傍ら、「子どもが主役の学校を日本で作りたい」と考え、資金を集めてこの学校を立ち上げたそうです。「まず子どもをしあわせにしよう。すべてはそのあとに続く」というのは、堀さんが影響を受けたイギリスの教育家であるニイルの言葉。学園の在り方を表す言葉として使われていますが、保育にも通じる考え方ではないかと思います。

作中の堀さんのインタビューで特に印象に残ったのが、「『自由には責任が伴う』というのは、この学校ではタブーなんです」という言葉。挑戦には失敗がつきもの。そしてその失敗は、子どもたちが成長するために必要な経験です。子どもたちが自由に挑戦すること、そして失敗することに対して、大人たちが責任を引き受けてあげるという考え方が、学園の子どもたちの伸び伸びと自己表現をする姿に繋がっているのだなと感じました。

子どもファーストとは?

プロジェクト活動をする小学生
作中ではその他に、長野県にある伊那市立伊奈小学校と、東京都にある世田谷区立桜丘中学校という、「通知表のない小学校」「校則がない中学校」ということでも知られる学校が登場します。どうしても「公立校なのにそんな思い切ったことができるの!?」という先入観を持って見てしまいがちですが、そこはぜひ作品を通して、実際の教育現場での取り組みや、子どもたちの姿を見てほしいと思います。

両校ともに共通しているのは「子どもファースト」という考え方。この言葉には、「考えるのは子どもたち自身」や、「子どもが自ら育つことを大切にする」といった要素が集約されているように感じました。もちろん、小学生、中学生と年代は異なりますが、子どもが自ら学び・育っていく段階で、大人がどう寄り添っていけば良いかという点では、保育にも通じる要素があるように思いました。

専門家インタビューは必見

教育評論家の尾木直樹さん(教育評論家の尾木直樹さん)
この作品の見所の一つは、要所要所で登場する各分野の専門家インタビュー。“尾木ママ”の愛称で知られている教育評論家の尾木直樹さん、脳科学者の茂木健一郎さん、文化人類学者の辻信一さんといった皆さんが、それぞれの視点から作品に登場する“子どもファースト”な学校について語ってくれます。
脳科学者の茂木健一郎さん(脳科学者の茂木健一郎さん)
目の前で展開されている子どもたちの姿、その背景には何があるのか? 自由な学校は、子どもたちに何をもたらしているのか? 自分なりに「これってどういうことだろう?」という作品への理解を深めるためのヒントを与えてくれている気がしました。

子どもがやりたいことを応援しませんか?

作品パンフレットにあったオオタヴィン監督のコメントに、「もっと子どもを自由にしませんか。子どもがやりたいことを応援しませんか」とありました。保育園が舞台の前作「いただきます」シリーズも含め、子どもたちがキラキラと輝いている姿を追ってきた監督だからこその言葉だと思いました。保育者の皆さんも日々、子どもたちの“キラキラ”した姿を引き出すために考え、工夫しているかと思います。そんな皆さんにオススメの作品ですので、ぜひご覧になってみてください。

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ドキュメンタリー映画『夢みる小学校』ポスター
「自分のままでいいんだよ」
ひとりひとりの個性を大切にした子どもファーストな3つの学校が登場
希望あふれる“ミライの教育ドキュメンタリー”

【公開】2022年
【監督】オオタヴィン
【出演】堀真一郎(きのくに子どもの村学園の理事長)/茂木健一郎(脳科学者)/尾木直樹(教育評論家、法政大学名誉教授)/高橋源一郎(作家、明治学院大学名誉教授)/辻信一(文化人類学者、明治学院大学名誉教授)/西郷孝彦(世田谷区立桜丘中学校前校長)/福田弘彦(伊那市立伊那小学校校長)
ナレーション:吉岡秀隆
【公式サイト】
https://www.dreaming-school.com/
まゆか

この記事を書いた人

まゆか

「ほいくis/ほいくいず」専任ライター。
大学時代は福祉学科で児童福祉を専門に学ぶ。
学生時代から保育園でアルバイトをしつつ保育士試験の勉強を進め、独学で国家試験に合格。認可保育園での勤務経験を経て、知識を活かしてライターへ転身。絵本屋さん巡りが趣味。

<資格>
保育士/児童指導員/社会福祉主事

<Instagram>
https://instagram.com/hoikuis_mayuka?igshid=b342tonuonzi

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