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気になる!海外の保育園は「壁面」に何を飾っているの?【ドイツの保育園からレポート】

ドイツの保育園の「壁面」を見せて!のサムネイル
<ほいくis特別企画>海外の保育現場からリアルなレポートをお届けします。今回はドイツ編です。 

ドイツの「壁面」何が飾ってある? 

さっそくですが、みなさんの働く保育園の壁には何が飾ってあるでしょうか? 
 
今回は西ヨーロッパのドイツより、現地の保育園で働く保育士・うらら先生にレポートしてもらいます。 
ドイツの保育園の様子

日本からドイツへ渡ったうらら先生 

わたし自身は、約4年前まで日本の認可保育園で働いた後に「海外の保育を、現地で体感し学びたい!」という熱い想いとともにドイツに渡りました。 
 
皆さんの園でも、季節に合わせて手作りしたデコレーションを飾ったり、子どもたちの作品を掲示したり、園によってさまざまな工夫をされていると思います。 
 
では、ドイツの保育園の「壁面」は日本とどう違うのか!? 

今回は、私の働くドイツの保育園で実際に飾っている「壁面」についてご紹介していきたいと思います。 

入り口近くに飾っているのは?

登園時や降園時に保護者が必ず通る、保育園の入り口付近。ここの廊下の壁には、園からの「お知らせ」や「意見箱」が設置されています。 
ドイツの保育園の入り口

<左端>保育士の先生の「顔写真」ボード 

正面から見て左側には、働く保育士さんたちの「顔写真」のボードがあります。 
 
その週のシフト順に並べられていて、左から朝番・昼番・遅番・一番右は欠席の先生。ちなみに1番上の三角形の中に入っている写真は園長先生です。いつ・どこに・どの先生がいるのかが、一目でわかるようになっているんです。 
 
保護者は、自分の子どものクラスの先生が今週何人体制なのか、迎えが普段より遅くなる際には子どもが親しくしている先生が遅番にいるのか、などを確認することができます。 
 
また、安心感をもってもらうためにも“ひとつの家”をイメージしたボードのデザインにしているのがポイント。ここで先生たちの写真を見ながら、会話している親子の姿がよく見られます。 

<中央>お知らせ

そして「顔者写真」のボードの横には、園からの「お知らせ」を掲示しています。 
 
園で流行している感染症の情報・行事のお知らせ・地域からのお知らせのチラシなども貼ってあります。ここは日本の保育園と共通かもしれないですね! 

<右端>意見箱

その横の“小鳥のおうち”のような小さい家は「意見箱」です。箱の隣に小さなメモ用紙が置いてあり、園への意見や要望を匿名で伝えたい保護者が自由に投書できます。 
ドイツの保育園の入口
これまであった具体的な事例は「給食費の値上げについての質問」「散歩の頻度についての意見」でした。最初に園長先生が内容を確認して、職員ミーティングで共有されます。保護者全員への共有・報告も必要と園長が判断した場合には、保護者全員にメールを送付しています。 
 
実際の投稿数は割と少なく、半年に一度あるかないか程度。その理由は、普段から保護者と密にコミュニケーションを取り、何でも話しやすいような雰囲気づくりをしようという、園全体の共通意識があるからかもしれません。 
 
保護者と保育士のコミュニケーションは、日本でもドイツでも共通して重要と言われるポイントですね。 

保育室前は「保護者への伝達の場」

こちらの写真は、とあるクラスの保育室前です。ホワイトボードには、クラスからのお知らせを掲示しています。 
ドイツの保育園の掲示板
(掲示されているお知らせの一例) 
・季節に合わせて必要な持ち物 
・新たに入園&退園する子のお知らせ 
・行事の出欠確認 
ちなみに上の写真に載っているのは、翌週に開催予定の「保護者会の出欠確認表」と「今週の給食のメニュー」です。 

<右側>POSTとは? 

ドイツの保育園のPOST
ホワイトボードの横にある「POST」と描かれた木がモチーフの壁面は、各家庭にひとつずつ用意されたポストです。オムツ・おしりふき・着替えがなくなった際に、このポストを使って保護者にお知らせします。 
 
実は、ドイツの保育園には「連絡帳」がないのです。 
 
私が日本の保育園で働いていた頃は、オムツやおしりふきが無くなった際は連絡帳で保護者に伝達していましたが、このポストはトイレと保育室の動線状にあり、オムツ替え後すぐにペタッと張り紙を貼ることができるので、とても便利なアイデアでした! 

張り紙を見た保護者は、準備して園に持参→トイレにあるご自身の子どもの棚に収納→張り紙をもとあった場所に戻す、という流れになっています。 
ドイツの連絡帳代わりはコレ!
園からの連絡事項は、「園の入り口」と「各クラスの保育室前」の2箇所に掲示。先生からの口頭での伝達+保育室前のホワイトボードやポストが、保護者とのスムーズなやり取りに一役買ってくれています。


廊下には「子どもたちの作品・写真」 

廊下の広いスペースには、子どもたちの作品や写真を飾っています。ここは日本と共通ですね! 下の写真の左側は、園での「子どもたちの一日の活動の流れ」を撮ったドキュメンテーションです。 
ドイツの保育園のドキュメンテーション
園庭で拾った木の枝を使って装飾しています。リアルな自然を用いることで、温かみのある雰囲気を演出する工夫をしています。 

ドイツならではの子どもの作品の展示方針 

 写真の右側は、子どもたちが絵の具で描いた作品です。 
 
日本の保育園との違いで印象的だったのが、必ずしも子どもたち全員の作品があるわけではないということ。 
 
例えば、保育士が絵の具遊びを提案したときに「やりたい」と言った子・興味を示した子だけが参加するのでOKとしています。 
 
まだ絵の具を使ったことがなかったり、緊張した様子だったりすると、保育士はその子が楽しそうと思えるよう誘い方を工夫します。 
 
それでもやりたがらない子・気分が乗らない子には強要はせず、別のあそびへ誘導します。 

子どもによって飾る作品数に差が出たら? 

でも、壁面に「自分の子どもだけ作品がない」という状態は、保護者の方は心配になったり、気になったりして当然ですよね。 
 
そこで私たちはお迎えの際に、 
 
「絵の具遊びに誘ってみたのですが、今日は〇〇遊びの方が楽しかったみたいです。」など、そのときの様子が具体的に分かるように保護者に伝えるようにしています。 
 
すると、「あ~そうなんですね!」と安心いただけることが多いです。 

ドイツの壁面は「シンプルが基本」 

今回は、ドイツの保育室の壁面の一例を紹介させていただきました。どこの壁を見ても、基本的にはシンプルですっきりとした印象があるかと思います。 
 
私が日本の保育園で働いていた頃は、子どもたちに人気のキャラクターを印刷して飾ったり、月ごとに季節に合わせたテーマを考えて画用紙や折り紙を使って、壁面が華やかになるような装飾を作っていました。 
 
日本の壁面は「目にも楽しく、魅せる要素も多い」という特徴があり、一方ドイツの壁面は、いたってシンプルで機能的。 
ドイツの保育園の壁面
装飾は、子どもたちの作品に加えて、木の枝や木箱などのリアルな自然を取り入れることで、シンプルななかに温かみが出るよう工夫をしています。 
 
園を訪れる人にとって真っ先に目に入るのが壁面。共通点も多かった日本とドイツの壁面ですが、ドイツならではの工夫が壁面作りへのアイデアに繋がれば嬉しいです。 
<ドイツからのレポート担当>
うらら先生

ドイツの保育園の様子をレポートしたうらら先生
日本国内の認可保育園にて約2年間勤務後、2019年に「オペア留学制度」を使ってドイツへ。1年の留学生活の後、2021年春よりドイツの大学付属の保育園で、まずは研修生として勤務スタート。研修、レポート提出を経て日本の保育士免許をドイツの保育士免許に書き換えが完了。現在は0~2歳クラスを担当する現役保育士。
▼ブログでもドイツの保育・留学・資格取得について発信中
https://odenhatamagoha.com/prof
ほいくis(ほいくいず)編集部

この記事を書いた人

ほいくis(ほいくいず)編集部

保育・幼児教育のプロフェッショナルで構成された編集部のライティングチームが、質の高い保育を日々提供していくために必要な知識・ノウハウを発信。専門知識から保育ネタ、保育士試験関連情報、保育学生さん向けの情報まで、あらゆる分野を網羅していきます。

<公式Instagram>
https://www.instagram.com/hoiku_is/

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