保育中に起こりやすいケガ
今回は、保育園や幼稚園、こども園でもよく見られる「擦り傷・切り傷」について、どのようなケアが必要になるのか紹介していきます。子どもの特性や月齢によって起こりやすいケガは異なりますが、中でもよく起こるのが擦り傷と切り傷です。
例えば散歩中など、道端の木々に触れて切り傷を作ってしまったり、お友だちとかけっこをする中で転倒して、擦り傷を作ってしまったり・・・。リスクを考えた対応をしていても、園ではさまざまなシーンの中で発生してしまいます。
擦り傷・切り傷が発生する場面
まずは、擦り傷や切り傷の起きやすい場面について知っておきましょう。擦り傷が起きやすい場面
擦り傷・切り傷の対応
まずは、観察ポイントに沿って子どもの様子を確認しましょう。傷の観察をすることも大切ですが、子どもの機嫌も見ながら、身体の状態を観察していく必要があります。擦り傷・切り傷の観察ポイント
子どもの場合、身体の状態を上手に表現できないこともあります。ケガをした身体の部分を見ることも大切ですが、いつもと比べてどのように様子が違うのかなど、機嫌についても重要な観察点の一つになります。- 体のどの部位をケガしてしまったのか
- 出血はあるのか、内出血(皮膚が青紫色になる)だけなのか
- 腫れているのか
- ケガをしてしまった部分の動きはどうか
- 傷部位に触れた際に感覚はあるのか
- 痛みはどの程度なのか
擦り傷・切り傷の対応手順
子どもは、傷ができると泣いてしまうことがあります。出血など外傷が大きいほど、不安な気持ちも大きくなります。そのため、保育者が対応する際には声のトーンを落とし、落ち着いて声をかけましょう。「びっくりしたね」「大丈夫だよ」と、子どもの気持ちに共感しながら、傷の状態を確認していくことが大切です。①傷口部位を流水で流す
まずは、傷口に付着している砂利などをきれいに洗い流します。目に見えないばい菌が傷口から侵入するリスクがあるので、しっかり洗い流しましょう。
石鹸があれば、洗うことで殺菌作用があるので使用すると良いでしょう。もし、流水で洗い流せない部位や状況であれば、アルコール綿などを用いた消毒も検討して下さい。
②傷口の出血があれば止血する
傷の程度にもよりますが、出血が持続しているようであれば、ガーゼなどを介して圧迫し止血します。
感染予防の観点から、出血部位を素手で触らないよう感染予防グローブをつけましょう。グローブがない場合は、ビニール袋などで代用することもできます。
③傷口を覆う
園では、絆創膏を使用することが多いと思います。傷の大きさ、傷の部位などに合わせて何種類かのサイズや形の絆創膏を準備しておくと良いでしょう。
傷から出る体液(滲出液という透明の液体)を乾燥させない状態にすると、きれいに傷が治ることもあります(湿潤療法)。止血後に専用のパッドなどで保護するのもよいでしょう。
低月齢(0~1歳位まで)の子どもは、気付かないうちに絆創膏をはがして口に入れてしまう誤飲のリスクがあります。出血がなく、傷が乾燥してきているようであれば、無理に絆創膏などは貼らず、そのままの状態で様子をみるのも良いでしょう。
擦り傷・切り傷対応のまとめ
基本的に園でできる処置は、傷の程度を観察し、「傷を流水で流す」「圧迫止血」「傷の保護」をするところまでになります。
傷に対する軟膏などの処置は、医師の診察が必要になります。むやみに市販の軟膏などでの処置はしないように気をつけましょう。間違った対応をしてしまうことで、傷が悪化してしまうことがあります。
また、人間の皮膚には常在菌といって、普段から菌が付いています。常在菌は普段悪さをしませんが、その菌が傷口に入り込んで炎症を起こしてしまうこともあります。傷を放置しておくことで、傷が広がってしまう(※蜂窩織炎を起こす)可能性もあります。
擦り傷や切り傷を負ってしまった子どもの様子は、園でできる処置をした後もしっかり観察するようにしましょう。