なぜなに期とは

「なぜなに期」は、心理学では「質問期」と呼ばれています。この質問期は二期に分けて考えられています。
2〜3歳頃は「第一質問期」と呼ばれ、物や人の名前に対して興味を持つ時期です。「これ、なに?」「なんていう名前?」というような質問が多くなるため、「なになに期」とも言われます。
3〜6 歳頃は「第二質問期」と呼ばれ、事柄の理由や原因への関心が高まる時期です。「なんで?」「どうして?」というような質問が繰り返されるため、「なぜなぜ期」とも言われています。
これらは発達の過程で見られる姿で、好奇心や探究心が芽生えてきている証でもあります。子どもの質問に「そんなこと考えたことない!」「なんて答えたらいいの?」と戸惑ってしまうこともあるかもしれませんが、適切な対応を行い、子どもの力を引き出していきたいですね。
なぜなに期で身に付く力

質問や回答のやりとりは言葉が中心となるため、会話を繰り返していくことでコミュニケーション能力が高まると共に、言葉でやりとりした内容をイメージするため、想像力が育まれることも期待できるでしょう。
このように、子どもから自然に発生した「なに」や「なぜ」を受け止め、大人が適切に対応を行うことで、生きていく上で必要な力を身に付けていきます。
なぜなに期の良い切り返し方(OK例)
子どもから「なんで?」「どうして?」と質問を受けた時には、子どもの力を引き出す答え方を意識したいですね。ここからは、なぜなに期の子どもに実践したい切り返し方法をご紹介します。子どもに考えてもらう
まずは「どうしてだと思う?」「〇〇くんはなんでだと思った?」と質問返しをして、子どもに考えてもらいましょう。子どもの豊かな発想で、おもしろい答えが返ってくることも。子どもが自分で考える時間を作るというのは、とても大切なことです。調べる・確かめる

分からない時は一緒に考える
子どもたちから質問を受けたけれど、分からない…と悩んでしまうような場合もあるかもしれません。その時は、「先生もよく知らないから、一緒に考えてみよう」と、子どもたちと共に考えるのもいいでしょう。保育士さんも、子どもたちと一緒に成長できるチャンスです。発見を認める

「これ、なに?」と聞かれた時に、「よく見つけたね」と発見を認め、一緒に喜び合うことで、子どもの好奇心や自己肯定感が満たされていきます。
子どもの発達に合った言葉で答える
子どもから質問を受けた時には、その子の発達に合った言葉や表現で答えましょう。なるべく簡単な言葉を選んだり、説明が長くなり過ぎたりしないように気を付けます。子どもの表情を見ながら、理解できる範囲で答えましょう。
なぜなに期の悪い切り返し方(NG例)

適当に答える
子どもからの質問に「うんうん、そうだよ」「そうなんじゃない?」などと適当に答えることは避けましょう。大人の感情を子どもは敏感に感じ取っています。一つひとつに答えるのは大変なことかもしれませんが、出来る限り真摯に向き合ってくださいね。忙しくて一緒に考えることができないという場合は、その場では一度子どもに考えておいてもらい、「時計の針が12になったら先生に教えてね」とタイミングを見て話ができる時間を作るのも良いでしょう。
「何回も聞かないで!」と怒る

そうはいっても、保育士さんも人間。回数を重ね過ぎるとイライラしてしまう時もありますよね。そんな時は、クイズ作戦を使ってみましょう。
例えば「なんで手を洗うの?」という質問に、「では問題です! さっき先生は、手を洗うのはどうしてだと言ったでしょう?」というように、前に教えたことを思い出してもらうのも手です。クイズが大好きな子どもたちは一生懸命考えてくれるはず。
何でも答えを教える
答えを教えることは悪いことではありませんが、何でもすぐに答えるのは避けると良いでしょう。子どもたちが自分で考える経験をなくさないよう、内容や状況によって“考えてもらう” “教える”のバランスをとれると良いですね。ごまかす
「大人になったら分かるよ」「そんなことは、気にしなくていいよ」などと、ごまかすのは避けましょう。「聞いても教えてもらえない」と信頼を失ったり、自分の気付きや質問に価値がないと感じたりする可能性があります。思考力が育つ時期なので、「もっと知りたい」「なんでだろう」という知的好奇心を深めていけるような関わりを心掛けていきたいですね。
無視する

度重なる「なんで」に苛立ちを感じたとしても、保育士は感情をコントロールする必要があります。子どもの「知りたい」「話したい」という欲求を受け止めることが、今のその子にとって必要な保育だと捉え、専門性を持って対応しましょう。
子どもの育ちをサポートしよう
保育士にとっては対応が悩ましい「なぜなに期」。しかし、この時期には大人の愛情ある関わりを通して、多くの力が育まれていきます。子どもの視点を楽しみながら、発達をサポートしていきましょう。「なぜなに期」の対応に悩んでいる方は、参考にしてみてください。
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