MENU

どうする?保育実習生の受け入れ|事前準備と実習期間中の対応を解説

保育士と保育実習生
学生にとって実践的な学びの場となる保育実習。現場で理解を深めつつ、保育士という仕事に魅力を感じる機会にしていきたいですね。今回は、保育実習生を受け入れる保育園側の視点で、実習の流れや気を付けたい点について解説をします。

保育実習とは

「保育実習」とは、保育士養成課程の学生が、保育現場で実際の体験を通して学ぶ活動のことです。実習期間中、学生は保育施設で子どもたちの様子や保育士の援助を観察したり、保育や教育活動に参加したりして、現場体験を重ねていきます。

保育実習を通して、保育園や保育士の役割を理解したり、子どもの発達や対応について学んだりすることを目的としています。

事前準備

実習生の受け入れ時期が近づいてくると、養成校から実習に必要な書類が送られてきます。書類に目を通し、実習生を迎え入れる準備を始めましょう。

実習計画の作成

カレンダーと時計
まずは実習計画を作成します。実習計画とは、「いつ・どのクラスで実習を行うか」を一覧にしたものです。園行事やクラスの活動内容を考慮に入れながら、実習を行うクラスを考えます。部分実習や責任実習も視野に入れた計画が必要です。

この計画をもとに実習生と話をし、必要に応じて組み替えていきます。

オリエンテーションの実施

オリエンテーションに参加する保育学生
実習生に来園してもらい、オリエンテーションを行います。オリエンテーションとは、説明会のことです。園の情報や実習に必要な内容を事前に伝えておくことで、学生が安心して実習に臨むことができます。

基本的なオリエンテーションの内容は以下の通りになります。

【オリエンテーションの内容】
  • 保育園の概要・理念・特徴など
  • 実習の進め方・持ち物・留意点
  • 園内の見学

各クラスへの情報共有

実習計画ができたら各クラスへ配布し、学生に対する配慮点があれば事前に伝えておきます。実習中はクラス担任による指導やサポートも多くなるので、実習担当だけでなく、職員全体に情報を共有しておくことが大切です。

実習期間中の対応

実習期間中、担当の保育士は学生の学びが深まるような対応が求められます。指導者・モデル・サポーターなどさまざまな役割を担いながら、以下のような対応を行っていきます。

実習日誌の確認

毎朝、実習生は日誌を提出します。担当者は以下の対応を行いましょう。

【実習日誌の対応】
  • 本日のねらいを確認する
  • 前日の日誌を確認し、必要に応じて添削する
  • 担当したクラスの保育士にコメントを書いてもらう

助言・指導

保育士からの指導を受ける保育学生
実習生の様子を見ながら、必要に応じて助言や指導を行います。また、1日の終わりに疑問や質問がないか確認します。クラス担任が忙しそうだと、質問をするタイミングが掴めない場合もあるので、実習担当の保育士が折を見てコミュニケーションを取るようにしましょう。

部分実習・責任実習

保育実習を行う保育学生
実習中には部分実習や責任実習など、実習生が子どもの活動をリードする機会もあります。部分実習・責任実習の際には、以下のような指導やサポートも必要です。

【部分実習・責任実習の対応】
  • 指導案作成の助言・指導
  • 実践の観察・サポート
  • 実践の振り返り
体験から得る学びは心に残ります。担当者は、次の実践へと繋がるような助言を行いましょう。

実習全体の振り返り

保育士とおもちゃで遊ぶ男の子
実習が終わる頃には、実習全体の振り返りを行います。実習を通して学んだことや難しかったこと、印象に残ったことを言語化することで、学生自身が実習を客観的に捉え直すことができます。園長や主任も交えて振り返りを行うことで、さまざまな視点から実習生にアドバイスを送ることもできます。

養成校の先生の対応

実習中には、養成校の先生が巡回に来ます。実習生のどのような姿を伝えるか考えておくとスムーズに対応できます。話をするだけではなく、実習生が子どもと関わっている様子を見ていただくのも良いでしょう。また、実習中の学生は張り詰めた気持ちで頑張っています。先生に会うことで安心する学生もいるので、ゆっくりと話ができる時間を設けるのもおすすめです。

実習修了後の対応

実習が修了しても担当保育士の仕事は終わりではありません。実習生が最終日の日誌を記入して提出したら、以下の対応を行います。

講評を書く

書類を書く保育士
実習日誌の最後に講評を書くページがあります。実習生の姿や記録を受け、総合的な振り返りや助言を記入します。実習生が読む欄なので、学生に勇気を与え、今後に活きるようなコメントを書きたいですね。

評価を行う

評価表の記入を行います。各項目ごとに5段階評価を付けたり、コメントを書いたりします。養成校の職員が実習生の姿を把握するための用紙になるので、的確に伝わるような表現を用いて記入しましょう。

書類等の送付

必要な書類を養成校に送付します。送付する書類は事前に養成校から指定がありますが、主に以下のものになります。

【養成校に送付する書類】
  • 日誌
  • 評価表
  • 出勤表
  • 学生の台帳
  • 健康診断等の結果
書類を送付したら、その実習生の対応が全て終了となります。

受け入れ側が注意すべきポイント

実習生を受け入れる際に、実習担当の保育士やクラス担任が注意すべきポイントを解説します。

常に実習生の行動を把握しておく

実習生の行動は、必ず保育士が把握しておきましょう。実習生も大人ですが、まだ資格を持たない学生であることを忘れてはいけません。例え実習生が何か不適切な行動をしたとしても、現場の責任は保育士にあります。必ず実習生の居場所や行動を把握し、保育士の見守りのもとで実習が行えるようにしましょう。

実習日誌の記入時間を設ける

実習の日誌を書く保育学生
実習時間内に実習日誌を記入する時間を設けましょう。保育士にとって、限られた時間の中で日誌を書くのも1つの仕事です。実習生もなるべく実習時間内に書き終えられるよう指導したいですね。

中には夜の睡眠を削って日誌を書いている実習生も多くいます。自宅では十分な睡眠と休息をとり、次の日には元気に実習へ向かえるよう配慮したいですね。

実習生の言葉に耳を傾ける

実習生に助言や指導を行うことは担当者の大切な役割ですが、まずは実習生の言葉に耳を傾けてみましょう。実習生なりに体験を通していろいろと考えています。まずは以下のような質問をしてみましょう。

【実習生への質問】
  • 今日1番印象に残った場面は何ですか?
  • その場面を見てどう感じましたか?
  • 子どもはどう感じていたと思いますか?
  • 困った時、保育士はどのような対応をしていましたか?
  • 次に同じような場面に遭遇したら、どうしてみたいですか?
質問に答えていくことで、自分で保育を考える力が身に付いていきます。「教える」よりも、「引き出す」ことで実習生は自信を付けていきます。実習生の考えを肯定し、必要に応じて少し助言するような形で指導していきましょう。

未来の保育士を育もう

実習という現場体験を通して、「やっぱり保育士になりたい」と思う学生が増えていってほしいですね。そのためには、実習中における保育士のサポートや言葉かけは欠かせません。実習生が「保育は楽しい」と感じられるような体験ができるよう支援していきたいですね。実習担当になっている方は参考にしてみてください。

【関連記事】
ほいくis会員登録はこちらから
佐野 きこ(さの きこ)

この記事を書いた人

佐野 きこ(さの きこ)

現役保育士。
現在は子どもだけでなく、保育士や保護者など、子どもに関わる人をサポートする仕事がメイン。子どもも保護者も保育士も、みんなが笑顔になれる保育を目指している。
座右の銘は「保育士は、保育のプロである」
保育の専門家として、わかりやすく保育を語れるよう奮闘中。
家庭では、2人の息子のお母さん。

3分でわかる保育知識関連記事
ほいくisメンバーに登録(無料)