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年長クラスの小学校準備を解説|園で必要な取り組みと心がけ

ランドセルを背負った女の子
小学校入学までラスト1年となる年長クラス。小学生になってから困らないよう、必要な力を十分に引き出した上で卒園の日を迎えたいですよね。クラス担任は、1年後の子どもの姿をイメージしながら、毎日を大切に積み重ねていきましょう。今回は、小学校入学前の1年間で取り組みたいことについて解説していきます。

年長児(5歳児)の発達段階

子どもの発達には個人差がありますが、年長になる頃にはさまざまな力が身に付いてきます。まずは年長児の一般的な発達について見ていきましょう。

身体面

芝生の上を走る女の子
基本的な運動機能が身に付き、体を自由に動かすことができるようになります。それと共に生活習慣も自立し、見通しを持った生活を楽しめるようになります。

精神面

仲間意識が育つため、葛藤や共感を経験しながら共通の目的へ向かうようになります。同時に規範意識が高まり、時間や決まりを守りながら生活を送ろうとする姿も見られるようになります。

学習面

算数の教材で足し算の答えを数える子どもの手
語彙が増え、文字にも興味を示すようになります。数量や図形、記号などにも関心を持つようになり、比べたり、数えたりすることもできるようになります。

小学校入学までに育みたい力

真剣な表情を見せる男の子
小学校入学までに育みたい力は保育所保育指針の第1章総則に明記されています。

【育みたい資質・能力】
  • 知識及び技能の基礎
  • 思考力・判断力・表現力の基礎
  • 学びに向かう力・人間性等
この3つの力を具体的に表すと、以下のような10の姿になります。

【幼児期の終わりまでに育ってほしい姿】
  • 健康な心と体
  • 自立心
  • 協同性
  • 道徳性・規範意識の芽生え
  • 社会生活との関わり
  • 思考力の芽生え
  • 自然との関わり・生命尊重
  • 数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚
  • 言葉による伝え合い
  • 豊かな感性と表現
五領域のねらいや内容を基に保育を行っていくことで、上記のような力が育まれていきます。

出典:保育所保育指針(平成29年告示)/こども家庭庁 >>詳細はこちら

年長クラスで意識したいこと

勉強は小学校に入ってからでも遅くありません。まずは学校生活で困らない力を身につけたいですね。年長クラスで意識したいことを5つご紹介します。

①自分の物を管理する

上履きと上履き入れ
小学校に行ったら、自分の物は自分で管理します。使いたい時に「ない」と焦ることがないよう、保育園にいる時からロッカーの中を整理したり、使った物は後片付けをしたりする習慣を身に付けておきたいですね。

②困った時に助けを求められる

小学生になると保育園よりもさらに集団が大きくなることに加え、先生が不在の時間帯も。困った時に、自ら言葉で助けを求める力が必要になってきます。保育園の時から、自発的にコミュニケーションをとる機会を大切にしていきたいですね。

③自分でトイレに行ける

トイレの水を流すレバーを操作する男の子
小学校へ行ったら、自分でタイミングを見計らってトイレに行く必要があります。これまでトイレに行く時間を決めて促してきたのであれば、自分の体と相談しながら自らトイレへ向かう習慣を付けていきたいですね。

④着替えが立ったままできる

年長になると生活習慣が自立し、着替えもできるようになってきますが、座って着替えている子がいないか確認してみましょう。小学校では体育の前などに、限られた場所でスムーズに着替えを行わなくてはいけません。年長クラスでは、立って着替える習慣も身に付けていきたいですね。

⑤時間を意識して行動する

保育室内にある時計の教材
小学校では授業や休み時間、給食など時間が明確に区切られているところが多いです。年長児になるとある程度見通しを持った行動もできるようになるので、時間も意識しながら生活できるような環境にしていきたいですね。

可能なら取り入れたい体験

小学校入学に向けて、可能なら体験しておいた方がいいことも。地域の状況を確認しながら計画したい内容をご紹介します。

小学校の見学

小学校の教室に貼られた見学者向けの壁飾り
小学校側が受け入れ可能であれば、学校の建物や授業の様子を見学する機会をもってみましょう。実際に通う場所ではなくても、小学校の雰囲気を感じることはできます。

集団で行くことが難しければ、タブレットを用いたオンライン配信を検討してみても良いでしょう。

和式トイレの経験

洋式トイレの設置が進んでいますが、まだ和式トイレを利用している小学校も多いようです。しゃがんで排泄することに慣れていないのであれば、小学校で困らないよう対策を考えておきたいですね。地域の公園や公共施設に和式トイレがあるか確認し、散歩の時などに体験する機会を作ってみましょう。

家庭との連携

保育園だけではできることに限りがあります。保護者とやりとりを重ねながら、就学に向けた1年間を過ごしていきたいですね。

ここからは、家庭と協力して身に付けたい子どもの姿についてご紹介します。

早寝早起きをする

朝の目覚めの伸びをする女の子
早寝早起きの習慣を付けたいですね。保育園の時は保護者の出勤時間に合わせた登園時間ですが、小学校では決められた時間に登校する必要があります。特に起床時間が遅い子は、生活リズムを見直し、就学に備えることをおすすめします。

学校まで歩く

小学生になったら保護者の手を離れ、自らの足で通う子がほとんどでしょう。通学路を何度も歩き、入学する頃には一人で歩けるようにしておきたいですね。横断歩道や踏切など、危険箇所の確認をしながら歩いてみることをおすすめしましょう。

自分の言葉で伝える

先生と保護者との3者面談で話をする男の子
保育園では送迎時に保育者と話せますが、小学校では保護者が先生と話す機会はほとんどありません。子どもから直接、出来事や連絡事項を聞くことになります。保育園の時から「今日遊んだこと」や「楽しかったこと」など、自分の言葉で保護者へ伝える機会を作っていきたいですね。

就学に向けて子どもの発達を見守っていこう

いかがでしたか? 年長クラスの担任になったら、就学に向けて「10の姿」を意識しながら保育を計画していきたいですね。ただし、「年長だから」といって焦ることなく、個々のペースを大切にした支援を続けていきましょう。

発達には個人差があるので、小学校で引き続き支援が必要な内容については、幼保小連絡会や保育要録などを通じて引き継いでいきましょう。保護者や学校の先生と連携を図りながら、子どもたちの発達を見守っていきたいですね。

新年度、年長クラスの担任になる方は参考にしてみてください。

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佐野 きこ(さの きこ)

この記事を書いた人

佐野 きこ(さの きこ)

現役保育士。
現在は子どもだけでなく、保育士や保護者など、子どもに関わる人をサポートする仕事がメイン。子どもも保護者も保育士も、みんなが笑顔になれる保育を目指している。
座右の銘は「保育士は、保育のプロである」
保育の専門家として、わかりやすく保育を語れるよう奮闘中。
家庭では、2人の息子のお母さん。

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