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【2024年最新】保育士の平均年収はいくら?都道府県・年齢・役職別に紹介

「年収」と書かれた積み木と計算機・チェックリストのイメージ
「都道府県によって給与の差はあるの?」「保育士の給与は経験と共にアップする?」など、保育士の給与事情や仕組みについて知りたい方も多いのではないでしょうか。今回は、保育士さんの給与事情について2024年の最新の統計データをもとに解説。給与アップにつながる制度についても紹介します。

2024年最新データによる保育士の平均給与

給与明細書のひな形
2024年3月27日に政府から公表された最新の統計データによると、2023年度における保育士の平均給与は月額271,400円、年間賞与等712,200円、年収に換算すると3,969,000円でした。

※出典:令和5年度賃金構造基本統計調査/e-Stat >>詳細はこちら

保育士の給与は年々上昇傾向にあり、過去5年間で月収は約2.7万円、年収は約33.5万円アップしています。

背景には、保育士の人材確保や処遇改善にむけた国の制度導入があり、2024年現在においてもその取り組みは続いています。

【過去5年間における保育士の平均給与の推移】
年度 決まって支給する
現金給与額※
年間賞与その他
特別給与額
年収
2023年(令和5年) 27.14万円 71.22万円 396.9万円
2022年(令和4年) 26.68万円 71.21万円 391.4万円
2021年(令和3年) 25.65万円 74.40万円 382.2万円
2020年(令和2年) 24.98万円 74.74万円 374.5万円
2019年(令和元年) 24.45万円 70.06万円 363.4万円
※手取りではなく所得税や社会保険料などを控除する前の金額

なお、平均給与は全国かつ男女合計の平均的な数値であり、細かく見ていくと「性別」や「年齢」、「経験年数」、「各都道府県」、「役職」、「私立・公立」などの条件によって大きく異なります。「令和5年度賃金構造基本統計調査」を基に詳しく見てみましょう。

性別による違い

男女別の平均給与は以下の通りです。比較のために、今回の統計の母数となった労働者数も合わせてお伝えします。
性別 決まって支給する
現金給与額
年間賞与その他
特別給与額
年収 労働者数
女性 26.89万円 70.55万円 393.2万円 255,990人
男性 30.66万円 80.60万円 448.5万円 18,160人
男性保育士の方が月額で約4万円、年収は約55万円近く高いことがわかります。

年齢による違い

続いて、年齢別の平均給与を見てみましょう。
年齢(男女計) 決まって支給する
現金給与額
年間賞与その他
特別給与額
年収
20~24歳 23.09万円 43.80万円 320.9万円
25~29歳 26.08万円 69.57万円 382.5万円
30~34歳 26.43万円 68.47万円 385.6万円
35~39歳 27.78万円 76.06万円 409.4万円
40~44歳 28.62万円 81.59万円 425.0万円
45~49歳 28.47万円 84.58万円 426.2万円
50~54歳 28.70万円 77.88万円 422.3万円
55~59歳 31.10万円 89.73万円 462.9万円
60~64歳 30.59万円 81.24万円 448.3万円
65~69歳 33.46万円 81.36万円 482.9万円
70歳~ 37.54万円 132.99万円 583.5万円
20~24歳と25~29歳を比較すると、年収が60万円近く上昇しており、年間賞与等の大幅な金額アップが見込めることがわかります。

その後も若干の上下があるものの年齢が上がるほど給与はアップしていき、70歳以上では583.5万円に達していることがわかります。

経験年数による違い

次に、保育経験年数による給与の違いを見てみましょう。
経験年数(男女計) 所定内の給与※ 年間賞与その他
特別給与額
年収
0年 21.84万円 4.10万円 266.2万円
1~4年 23.72万円 61.16万円 345.8万円
5~9年 25.48万円 66.11万円 371.9万円
10~14年 26.44万円 73.44万円 390.7万円
15年以上 30.40万円 98.93万円 463.7万円
※残業を含まない月収のこと

最初の5年間で年収は約80万円アップしており、以降は5年ごと約20万円〜70万円の幅で経験年数が増えるほど上がっています。

保育士の給与は経験年数が重視される傾向があり、長く働くほど給与アップが見込めるといえるでしょう。

役職による違い

続いては、役職別で見てみましょう。保育施設における役職のトップは園長(施設長)、続いて主任保育士であることが一般的です。それぞれの給与は下記の通り。
役職 平均勤続年数 月額(賞与込み) 年収
施設長 25.8年 56.58万円 679.1万円
主任保育士 21.7年 42.29万円 507.6万円

こちらは令和元年の統計データから、私立保育園の場合の数値をご紹介します。

施設長は年収679.1万円、主任保育士は507.6万円、勤続年数はどちらも20年以上とベテランが多く、長く働き役職を持つと更に給与が高くなることがわかります。


また施設長、主任保育士以外の役職としては「専門リーダー」「職務分野別リーダー」「副主任保育士」などがあります。これは、国が実施している「処遇改善等加算Ⅱ【保育士等キャリアアップ研修制度】」により設定が推奨されている役職で、各役職によって月額5千円~最大4万円の手当が支給されるため、一般的な保育士よりも給与は高くなるでしょう。

制度について詳しくは後述します。

※参考資料:令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査集計結果/こども家庭庁 >>詳細はこちら

各都道府県による違い

各都道府県によっても平均給与は大きく異なります。年収が高い都道府県から順番に紹介します。
都道府県 決まって支給する
現金給与額
年間賞与その他
特別給与額
年収
1位 東京都 31.58万円 74.51万円 453.5万円
2位 京都府 30.27万円  89.60万円 452.8万円
3位 広島県 29.15万円 102.99万円 452.8万円
4位 和歌山県 29.83万円 91.93万円 449.9万円
5位 大阪府 29.15万円 78.18万円 428.0万円
6位 神奈川県 29.12万円 67.27万円 416.7万円
7位 群馬県 25.67万円 107.01万円 415.1万円
8位 兵庫県 27.30万円 83.02万円 410.6万円
9位 静岡県 25.58万円 90.38万円 397.3万円
10位 愛知県 26.98万円 71.36万円 395.1万円
11位 山口県 25.13万円 93.50万円 395.1万円
12位 宮城県 27.94万円 56.61万円 391.9万円
13位 福岡県 25.67万円 83.32万円 391.4万円
14位 長野県 26.87万円 67.62万円 390.1万円
15位 千葉県 28.19万円 49.95万円 388.2万円
16位 宮崎県 25.16万円 84.52万円 386.4万円
17位 奈良県 26.33万円 67.63万円 383.6万円
18位 福井県 24.37万円 88.45万円 380.9万円
19位 佐賀県 25.23万円 77.24万円 380.0万円
20位 熊本県 25.03万円 79.49万円 379.9万円
21位 埼玉県 26.77万円 56.66万円 377.9万円
22位 愛媛県 24.33万円 81.94万円 373.9万円
23位 茨城県 25.50万円 66.37万円 372.4万円
24位 長崎県 24.76万円 73.65万円 370.8万円
25位 高知県 25.06万円 69.91万円 370.6万円
26位 富山県 23.75万円 85.52万円 370.5万円
27位 滋賀県 25.23万円 66.31万円 369.1万円
28位 栃木県 24.51万円 73.45万円 367.6万円
29位 福島県 25.59万円 59.42万円 366.5万円
30位 岩手県 25.13万円 60.36万円 361.9万円
31位 北海道 25.29万円 57.32万円 360.8万円
32位 香川県 24.42万円 65.85万円 358.9万円
33位 鳥取県 24.60万円 62.94万円 358.1万円
34位 徳島県 23.50万円 75.37万円 357.4万円
35位 島根県 22.87万円 78.28万円 352.7万円
36位 岡山県 23.60万円 67.69万円 350.9万円
37位 石川県 24.63万円 51.11万円 346.7万円
38位 新潟県 22.20万円 77.91万円 344.3万円
39位 大分県 23.62万円 57.85万円 341.3万円
40位 沖縄県 24.48万円 46.56万円 340.3万円
41位 三重県 22.98万円 64.06万円 339.8万円
42位 山梨県 24.74万円 42.63万円 339.5万円
43位 秋田県 21.89万円 71.31万円 334.0万円
44位 鹿児島県 22.37万円 58.37万円 326.8万円
45位 岐阜県 22.82万円 50.77万円 324.6万円
46位 青森県 21.77万円 56.49万円 317.7万円
47位 山形県 23.49万円 28.44万円 310.3万円
トップは東京都の年収453.5万円です。以降8位までは平均年収400万円台、9位~47位まではすべて300万円台でした。

最も低いのは山形県で年収310.3万円。東京都と比較すると140万円程度の差があります。

私立と公立の違い

最後に、私立と公立の保育士ではどのくらい給与の違いがあるのか見てみましょう。
職種 私立 公立
勤続年数 月額(賞与込み) 年収 勤続年数 月額(賞与込み) 年収 
施設長 25.8年 56.58万円 679.1万円 31.8年 63.29万円 759.6万円
主任保育士 21.7年 42.29万円 507.6万円 25.1年 56.17万円 674.1万円
保育士 11.2年 30.18万円 362.2万円 11.0年 30.31万円 363.7万円
こちらは令和元年のデータとなります。一般的な保育士の場合、私立・公立ともにそこまで差はありません。

しかし、「主任保育士」や「施設長」といった役職が付くと、公立の方が大幅に年収が高くなっていることがわかります。ただし勤続年数を見ると、公立の方が主任保育士で3.4年、施設長で6年長くなっており、役職を得るための年数がよりかかっていることが読み取れます。

公立の保育士は地方公務員であることから、私立のように経営状態が給与や賞与に影響されることはありません。給与はすべて各自治体の規定に則って支給されます。

長く働いて役職を得た場合、公立保育士の方が大幅な給与アップが見込めると言えるでしょう。

※参考資料:令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査集計結果/こども家庭庁 >>詳細はこちら


保育士の給与引き上げへの取り組み

保育士の処遇改善のイメージ
保育士の給与が年々上昇していることはお伝えしましたが、ここではその要因となっている保育士の賃金改善に向けた制度について紹介します。

処遇改善等加算Ⅰ

全職員の平均勤続年数やその他要件によって加算率が決まり、国から保育施設に一律で手当が支給される制度です。

保育士の給与アップおよび人材確保を目的として、2015年(平成27年)から導入されています。基礎分、賃金改善要件分、キャリアパス要件分の3つの要件で構成され、各保育施設によって加算率が異なります。
基礎分 ・職員1人当たりの平均経験年数に応じて2~12%加算される
・経験年数が長いほど加算率が上がる
・1日6時間以上かつ月20日以上勤務する非常勤職員を含む
賃金改善要件分 ・基準年度を起点として、職員の賃金改善を行っている施設に対し加算される
・加算率は6%(平均勤続年数が11年以上の施設は7%)
キャリアパス要件分
(賃金改善要件分に含まれる)
・役職や職務内容に応じた勤務条件や賃金体系の設定、資質向上の具体的な計画策定、計画に沿った研修の実施等を適切に行っている施設に対して加算される 
※満たしていない場合は賃金改善要件分から2%減算
※参考資料:公的価格の制度について/厚生労働省 >>詳細はこちら

どの職員にいくら支給されるかについては各保育施設に一任されているため、詳しい金額や支給方針については勤務先に確認が必要です。

処遇改善等加算Ⅱ【保育士等キャリアアップ研修制度】

保育士が各都道府県で実施される「保育士等キャリアアップ研修」を修了し、要件を満たすことで「処遇改善等加算Ⅱ」の対象となります。研修の修了による技能習得に見合った役職を施設側が設定すると、手当相当額の加算が支給される制度です。

2017年(平成29年)に厚生労働省が定めた「保育士等キャリアアップ研修ガイドライン」に基づき、新たに「専門リーダー」「職務分野別リーダー」「副主任保育士」が設置されました。役職によって毎月5千円~最大4万円の手当が支給され、経験年数3年~7年程度の保育士のキャリアアップや処遇改善を目指しています。

研修内容や要件についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。

処遇改善等加算Ⅲ【給与の3%(月額9,000円)引き上げ措置】

保育士や幼稚園教諭等の賃金改善を目的とした措置で、2022年2月から収入の3%(9,000円)引き上げが実施されました。2022年(令和4年)10月以降は公定価格の見直しにより「処遇改善等加算Ⅲ」として継続されています。

給与明細には「処遇改善手当Ⅲ」として記載されていますが、各保育施設により異なる場合があるため、詳細は勤務先の施設に確認してみましょう。

※出典:特定教育・保育、特別利用保育、特別利用教育、特定地域型保育、特別利用地域型保育、特定利用地域型保育及び特例保育に要する費用の額の算定に関する基準等の一部を改正する告示(内閣府告示第98号)/内閣府 >>詳細はこちら

その他の支援制度

「家賃補助」と書かれた積み木のイメージ
直接手当が受け取れる制度ではありませんが、国による有益な支援の1つに「保育士宿舎借り上げ支援事業」があります。

いわゆる家賃補助のようなイメージですが、例えば東京都の場合は一戸あたり最大82,000円の補助を受けることができます。対象者は採用から8年以内の常勤保育士。補助を受けられる期間は段階的に見直しが行われており、令和6年度の対象者は「6年以内」となっています。

各市区町村により上限金額が異なるため、公式サイトで確認するとともに、勤務先で制度が利用可能かどうかも確認しましょう。

その他にも、各都道府県や各保育施設で実施されている独自の手当や支援制度について把握し、給与アップはもちろん「手元に残る額を少しでも増やす」ことを意識したいですね。

※参考資料:令和6年度 保育関係予算概算要求の概要/厚生労働省 >>詳細はこちら

給与アップに欠かせないことは?

スキルアップのイメージ
保育士の給与アップには、経験年数を積み、知識や技能を身につけていくのが確実です。

解説した保育士等キャリアアップ研修制度は、一度要件を満たせば全国どこでも有効になるので、対象の方はチャレンジすることをおすすめします。また、各都道府県や民間で開催されている研修に参加して見識を深めたり、先輩保育士や専門書から保育を学んだりして、日ごろからスキルアップに努めることも大切。

保育に関わる民間資格を取得することで、施設によっては資格手当が受け取れる場合もあります。

専門的な知識や技術を持つ保育士は、保護者や同僚、上司からも信頼され、昇給や昇進の可能性も高くなります。

一度身につけたスキルは、例え転職や長いブランクがあいても武器になります。いつでも給与アップのチャンスをつかめるよう準備しておきましょう。

キャリアを積んで給与アップを目指そう

保育士の平均給与は右肩上がりに上昇しているものの、全職種の平均と比較するとまだまだ低い水準です。今後も、国による保育士の処遇改善にむけた取り組みをしっかりチェックしていきたいですね。

日々保育の知識や技術を磨いていくことも忘れずに、給与アップ・キャリアアップを目指していきましょう。

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佐野きこ(さの きこ)

この記事を書いた人

佐野きこ(さの きこ)

現役保育士。
現在は子どもだけでなく、保育士や保護者など、子どもに関わる人をサポートする仕事がメイン。子どもも保護者も保育士も、みんなが笑顔になれる保育を目指している。
座右の銘は「保育士は、保育のプロである」
保育の専門家として、わかりやすく保育を語れるよう奮闘中。
家庭では、2人の息子のお母さん。

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