インフルエンザとは
インフルエンザは冬に流行する感染症で、11月下旬からはやり始め、1月から3月にピークを迎えます。接触感染や飛沫感染を通じて拡大し、集団生活の場では特に広がりやすいです。そのため、保育園と家庭で協力して早期発見と予防に努めることが重要です。インフルエンザの原因・潜伏期間・症状
インフルエンザの原因、潜伏期間、症状について解説します。原因と潜伏期間
インフルエンザはインフルエンザウイルス(A型、B型、C型)によって引き起こされます。主にA型とB型が流行します。潜伏期間は1〜3日と短く、感染力が強いです。発症すると周囲へ感染が急速に広がる恐れがあるため、早期発見と隔離などの適切な対応が欠かせません。 子どもだけでなく大人にも感染するので、保育士も注意が必要です。
インフルエンザの症状
インフルエンザの症状には、次のものがあります。- 突然の38℃以上の発熱
- 全身倦怠感
- 頭痛
- 関節痛
- 筋肉痛
保育園では、以下のような症状が見られたら、早めに対応しましょう。
- 発熱:朝の登園時点で体温をチェックし、熱があれば保護者と連携し、早めに医療機関を受診してもらいましょう。
- 水分が取れない:水分が摂取できない場合は脱水のリスクがあるため、速やかに保護者へ報告しましょう。
- 反応が鈍い:元気がなく普段と違うと感じた場合は、慎重に観察しましょう。
出典:インフルエンザとは/国立感染症研究所 >>詳細はこちら
インフルエンザと風邪の違い
インフルエンザと風邪はどちらもウイルスが原因の感染症ですが、流行時期、発症様式、症状に違いがあります。風邪は一年中かかる可能性があるのに対し、インフルエンザは冬に集中します。インフルエンザは高熱や関節痛などの全身症状が突然あらわれますが、風邪はのどの痛みや鼻づまりといった局所的な症状がゆっくりとあらわれことが多いです。また、インフルエンザは重症化する場合があるため、早期発見と早期対応が必要です。
インフルエンザ | 風邪 | |
---|---|---|
流行期 | 11月下旬〜翌年3月 | 1年中 |
発症様式 | 突然 | ゆっくり |
症状 | 全身症状 | 局所症状 |
重傷化 | あり | まれ |
インフルエンザの治療内容
インフルエンザ治療には、抗インフルエンザウイルス薬が使用されます。発症から2日以内に使用することで、発熱期間を1〜2日短縮し、ウイルスの排出も減少させる可能性があります。飲み薬や吸入薬があり、用法用量に従って使用しましょう。
対症療法としては、解熱剤としてアセトアミノフェンが用いられます。大人で使用するNSAIDs(ロキソニン、アスピリンなど)は、脳症などの合併症を引き起こす可能性があるため、子どもには使わないようにしましょう。
咳や鼻水がつらければ、咳止めや鼻水をおさえる薬も使用します。
ウイルスには、抗生物質の効果がないので原則使用しません。ただし、呼吸・循環器系の基礎疾患がある子どもに対しては、合併症を予防するために使う場合があります。
出典:インフルエンザとは/国立感染症研究所所 >>詳細はこちら
インフルエンザの予防法
インフルエンザ予防には、保育園と自宅でできる方法があります。保育園での予防法
- 手洗い、うがいの徹底
- 定期的な換気
- 湿度を50〜60%に維持
- マスクの着用
自宅での予防法
- 人混みを避ける
- 早めのワクチン摂取
自宅でできる予防法として、保護者に人混みを避けるようおすすめしましょう。また、インフルエンザの重症化を予防するために、ワクチン接種の案内もしましょう。ワクチンの効果が現れるまでには約2週間かかりますので、流行前の10月〜12月頃に受けてもらうのがおすすめです。
ただし、ワクチンの効果は個人差があり、必ずしもインフルエンザにかからないことを保証するものではないことも伝える必要があります。
インフルエンザが流行した時に園ですること・対策
4つの対策について解説します。体調管理の徹底
インフルエンザ流行時には、子どもとスタッフの毎朝の検温と、体調不良者の早期発見を徹底しましょう。保護者への情報共有
保護者には、インフルエンザが流行していること、感染拡大防止のための予防策などを指導し、家庭内での体調管理に注意してもらいます。園内衛生環境の整備
園内では、ドアノブやおもちゃなどの共用部分の消毒を強化し、感染リスクを減らしましょう。学級閉鎖
学級閉鎖については、各施設の基準を確認しておきましょう。一般的には、クラスの20%以上が欠席した場合に考慮されることが多いです。インフルエンザになったあとの登園基準
インフルエンザにかかった場合、学校保健安全法によると「発症後5日経過し、かつ解熱後3日を経過するまでは登園を控えること」とされています。乳幼児はウイルスの排出が長引きやすいため、「解熱後3日間」という基準が設けられています。
症状改善の目安は、解熱し、のどの痛みがよくなり、普段どおり食事が摂れるなどです。 解熱後も咳やくしゃみが続く場合は、マスクの着用をお願いしましょう。
園によっては医師の診断書や登園許可証が必要な場合もあります。ご自身の施設の方針を確認し、保護者に案内できるようにしておきましょう。
出典:保育所における感染症対策ガイドライン(2018改訂版)/ こども家庭庁 >>詳細はこちら
園生活におけるインフルエンザQ&A
保育士の皆さんが疑問に感じやすいインフルエンザ対策について、Q&A形式で回答します。Q1 保育士として対策できることはある?
保育士が行える対策としては、子どもの健康観察、保護者との情報共有、そして自分自身の体調管理やワクチン接種が挙げられます。
Q2 保護者、兄弟がインフルエンザになったけれども登園していい?
家族がインフルエンザになった場合、子ども本人に症状がなければ登園可能です。ただし、登園後は慎重に健康観察を行い、少しでもインフルエンザを疑う症状がでた場合は、早めに対応しましょう。園独自の基準がある場合はそれに従ってください。
Q3 インフルエンザの後は、登園許可証をもらわないとダメ?
多くの園では、医師の診断書や登園許可証が必要です。これは感染拡大防止と、子どもの体調回復を確認するための対策です。園によって方針が異なりますので、確認するようにしてください。
Q4 園内でインフルエンザが発生したらどうする?
園内で発熱などの症状が見られたら、速やかに保護者に連絡し、お迎えをお願いしましょう。発熱した子が休めるような場所を確保し、他の子どもと接触を最小限にすることも大事です。また、他の保護者への情報提供や注意喚起もしましょう。
出典:令和6年度インフルエンザQ&A/厚生労働省 >>詳細はこちら
まとめ
今回はインフルエンザに関する基礎知識を解説しました。保育園の中で感染が拡大すると、子どもたちの健康管理、保護者への対応が増え、園全体での業務に大きな負担がかかります。予防策の徹底、早期発見、適切な対応で、感染拡大防止に努めましょう。症状改善後の登園基準も把握し、保護者との連携も忘れずに行うようにしてください。インフルエンザに関する基礎知識を身につけて、子どもたちの健康を守れるようになりましょう。
Yu_Suka
2010年に都内の大学を卒業し、地方の総合病院で外科専門医として勤務。子どもからお年寄りまで幅広い年齢の患者さんの手術を担当している。保育園に通う1児の父として、子育てと仕事に奮闘中。