食育の5つの目標とは?
人が生きていくうえで、とても大切な役割を持っている食事。保育園に通う時期の子どもたちにも、しっかりと食に関するねらいや目標があります。まずは、子どもにとっての食事の位置づけを学びましょう。厚生労働省から出されている「たのしく食べる子どもに~保育所における食育に関する指針~」の中では、食育の目標として5つの項目が挙げられています。これは、子どもたちが健康で質の高い生活を送るために、保育園で目指すべき姿として掲げられています。
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乳児期は、まずは食事のリズムを掴んだり、好きな食べ物が増えて食べることが楽しくなったりすることを目標にしていきましょう。幼児期になったら、保育者やお友だちと一緒に食べることを楽しんだり、クッキングや配膳を通して準備に関わったりと、食事ができあがる前段階にも関われると良いですね。
日々の食事の時間や食育活動への取り組みでは、ぜひ5つの視点を意識して子どもたちを援助していきましょう。
参考:保育所における食事の提供ガイドライン「2 食事を通じた教育的役割 (2)食育の目標及び内容と食事」/厚生労働省
子どもの食事が進まない理由とは
食事介助をしていると、子どもたちによっては「なぜか給食が食べ進まない」「すぐに食事に飽きてしまう」という姿が見られることもあります。なぜ食事が進まないのでしょうか。考えられる理由をいくつか挙げてみましょう。好き嫌いがある
子どもに好き嫌いがあり、なかなか給食を食べないということはよくあります。一度口に入れても吐き出してしまったり、お皿の上で避けていたらあまり好みではない食材なのかもしれません。味付け、食感、においなど、好き嫌いにもパターンがあるので、見極めが難しいこともあります。日中の活動量不足
日中に戸外遊びや室内遊びをする園がほとんどかと思いますが、そのときの活動量が少なくお腹がすかないということも考えられます。子どもによって適した活動量は異なりますが、できるだけ個々に合わせて身体を動かせるといいですね。
体調不良による食欲不振
もし「普段は食べているけれど今日は食べない」というような場合は、体調不良を疑う必要もあります。目に見えての不調が見られなくても、食欲不振をきっかけに発熱などが発覚することもあります。普段から誰がどのような食の進み具合なのか把握しておくことも大切です。食への関心の低さ
そもそもあまり食に関心がないという場合もあります。そうすると、食事をしていても周りの玩具や、保育者・お友だちの行動などに気を取られ、食事が進まなくなっているかもしれません。食事が進まない子への対応方法
食事が進まない理由はさまざまですが、実際そのような子どもへの対応はどのようにすれば良いのでしょうか。もちろん個々に合った対応方法は異なりますが、ひとつの参考例としてぜひチェックしてみてくださいね。保育士がおいしそうに食べる
好き嫌いがあったり、見た目やにおいで食わず嫌いという場合は、保育士さんがおいしそうに食べる様子を見せてみましょう。「おいしい!」「あまい!」など感想を口にしながら食べている姿を見せると、子どもたちも興味が湧くかもしれません。乳児クラスではあまり一緒に食事をする機会はないかもしれませんが、そのようなときは「〇〇ちゃんおいしそうに食べているね」と食べている他の子どもの様子を見せるのもおすすめです。
活動量を調整する
もし活動量が少なくお腹がすいていないのであれば、日中の活動を工夫してみましょう。少し体操をして身体を動かしてみる、室内でできるサーキット遊びをやってみる、など無理のない範囲で活動量を増やしてみると、お腹がすくリズムを得ることができるかもしれません。個々に合わせた時間帯で食事をする
多くの園では、食事の時間がおおよそ決まっていて、それに合わせてみんなで食事をしているかと思います。しかし生活リズムが異なる子どもたちは、「〇〇ちゃんは12時頃にお腹が空くけれど、△△くんは12時半頃」という差があります。もしできるのであれば、個々に合わせて食事の時間を調整するのもひとつの手です。さすがに一人ひとり分けていたのでは手が回らない! というときは、「11時半から食べるグループ」「12時過ぎから食べるグループ」というように複数のグループに分けてみるのも方法の一つです。
絵本や歌で食事への関心を高める
食への興味・関心が低い子どもには、無理に椅子に座らせて食事をさせたり、口に食べ物を持っていってもあまり意味がありません。まずは食に興味を持ってもらい、楽しいと感じてもらうように心がけましょう。食べ物をテーマにした絵本や歌、手遊びなどを使ってみるのがおすすめです。また野菜の栽培活動やクッキングなどは、直接食材に触れたり調理する前の様子が知れるので興味を持つきっかけになりますよ。
盛り付けを工夫する
中には、盛り付けがあまり気に入らないという理由から食べ進まない子もいます。食への関心がない子にも有効ですが、視覚で食事を楽しむために盛り付けを変えてみるのも良いでしょう。その場合は、給食スタッフさんとの連携が必要になるので、協力して対応していくようにしましょう。また、「丼もの」のように複数の食材が混ざっている食事を好まない子もいます。そのときは別々の皿に盛りつけるという工夫をしてみても良いかもしれません。
他の食事と一緒に食べる
「苦手な食材を他のものと混ぜて食べさせる」という方法は、実は保育士さんの間でも賛否両論ある方法です。もしそれで子どもが嫌がらずに問題なく食べられるのであれば、ひとつの方法です。しかし、混ぜても苦手なものに気付き、それだけを出してしまう子もいますよね。そのときは無理に混ぜて食べさせるのは避けた方が良いでしょう。無理矢理完食することや食べさせることが目標ではないので、少しずつ食べられる量が増えるようになることを目指しましょう。
これは避けて!保育士のNG対応
これまで紹介したように、個々に合ったさまざまな方法がありますが、逆に「これだけは避けてほしい!」という対応があります。ぜひ覚えておいてください。食べられない量を食べさせる
大人も人によって食べる量は異なりますが、子どもも同じです。たくさん食べられる子もいれば、少しでお腹がいっぱいになってしまう子もいます。残さず食べることももちろん大切ですが、無理をして食べては食事が楽しくなくなってしまいます。給食はすでに盛られて配膳されてくる園も多いかもしれませんが、できるだけ一人ひとりに合わせて食べ始める前に量を調節すると良いでしょう。
口に押し込む
特に乳児クラスでは、保育士がスプーンに食材を盛って口に運ぶこともありますよね。このとき口の中に押し込むように入れるのはNGです。子どもが開けていない口に無理にスプーンを押しあてたり、まだ噛んでいる最中に「時間がないから」と次々口に入れるのは避けましょう。食事が楽しくないだけでなく、窒息などの危険にもつながります。すべて保育士が食べさせる
実はやってしまいがちな「時間がないときは保育士が食べさせる」という食事介助。他の子どもたちの対応もしたり寝かしつけをしたり…とバタバタする時間ですが、できるだけ子どもたちが自分で食べる機会も大切にしましょう。うまく食べられず時間がかかることもあるかもしれませんが、子どもに「自分で食べたい」という気持ちがあればサポートを。忙しい中ではありますが、子どもたちの意思を尊重できると良いですね。
食事提供をするときの注意点
最後に、食事を提供するときや介助するときに注意したい点をまとめました。慣れてくるとついおざなりになってしまうこともありますが、子どもたちの安全のためにも常に念頭に置いておきましょう。アレルギー児の対応は徹底する
アレルギー除去食の提供や介助には十分に注意をしてください。<アレルギー除去食提供時の注意点>
- アレルギー食の提供はダブルチェックで食材を確認
- 机や食器の見分けがつくようにする
- アレルギー児の食事介助はひとりの保育士が担当する※決して他の子どもの食事介助に入らない
- 食べこぼしはそのままにせず、必ずすぐに掃除をする
アレルギー物質を摂取することで、場合によってはアナフィラキシーショックなどの重大な副作用を起こすことがあります。アレルギー除去食の提供は必ず徹底をして、どの保育士が入ってもスムーズに対応できるように園内で確認しておきましょう。
園でのアレルギー対応については、こちらの動画でも詳しく解説しています。あわせてチェックしてみてください。
食べ歩きは窒息のリスクに
食事中に立ち歩いてしまうというのは、よくあることです。しかしそのとき、口の中に食べ物が入ったままになっているのはとても危険です。転んだ衝撃で喉に詰まって窒息してしまう恐れなどがあるので、食べ歩きはしないように子どもたちにも話をしましょう。また食事終わりに立つときや布団に転がる前にも、口の中に食べ物が残っていないか見ておくと良いでしょう。
大きさ・固さをチェック
食材が大きかったり固かったりして食べづらさを感じている子どももいます。乳児期は特に食の状況が変化しやすい時期なので、定期的に給食スタッフと見直しをして子どもたちが食べやすい給食の提供を行いましょう。食べることを楽しもう
乳幼児期の食事は、食事を楽しむことやおいしく食べることを目標に進めていくことが大切です。食事介助は大変ですが、保育士さんも笑顔で行うことで子どもたちもおいしい給食を食べることができます。楽しい給食時間になるようなサポートを心がけてくださいね。>>ほいくのQ&Aひろば
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