粗大運動とは

随意運動は、「粗大運動」と「微細運動」に分けられます。
- 粗大運動→立つ、座る、歩くなどの身体全体を使った動き
- 微細運動→持つ、にぎる、つまむなどの手や指先を使った動き
赤ちゃんを見て分かるように、粗大運動は頭から足に向けて発達していきます。まず首が座り、次に寝返りを打つようになってから、ハイハイ、つかまり立ちなどの力を身に付けていきます。
特定の機能を発達させるために、子どもは何回も同じ動きを繰り返そうとします。例えば、寝返りの時期に何度も身体を回転させるのは、このためです。この時期は、十分に寝返りができる環境に整えておきましょう。
通常、立つ、歩くなどの基本的な動作は教えなくても自然とできるようになりますが、保育士は発達過程を知っておくことで、発達を促す関わりを持ったり、安全な環境を事前に準備したりすることができます。
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発達の目安と関りのポイント
ここからは運動機能の目安と発達を促すポイントを、年齢ごとに見てみましょう。0歳児

- 寝返り
- お座り
- ずりばい・ハイハイ
- つかまり立ち・伝い歩き など
赤ちゃんから少しだけ離れたところにおもちゃを置きましょう。おもちゃに触ろうと身体をひねったり、手を伸ばしたりするところから粗大運動が促されます。
まだ体幹が不安定な時期なので、お座りやつかまり立ちの姿勢から転倒する危険性も高いです。子どもの様子に応じて、クッションを置いたり、保育士がすぐにサポートできる距離で見守ったりしましょう。
1歳児

- 歩く
- 走る
- しゃがむ
- 片足ずつ段差を降りる など
生活の中で十分に歩くことができる環境を準備しましょう。マット類を用いて、傾斜の緩い坂やわずかな段差も体験できると良いですね。
危険を察知したり、突然ストップしたりすることは難しいので、十分なスペースを確保した上で他の子と衝突しないように見守りましょう。
2歳児

- ジャンプ
- ぶら下がり
- 横歩き
- 片足立ち など
フラフープにジャンプしたり、しっぽ取りゲームなどを行ったりすることで、目と全身の協応性が高まります。
保育士や友だちの真似をしながら、少しだけ難しいことにチャレンジできる遊びを用意していきたいですね。また、保育士が「できたね」と認める言葉をかけていくことで、子どもの意欲が育まれていきます。
3歳以上児

- スキップ
- ボールを投げる
- 後ろ歩き
- でんぐり返し など
運動が得意な子どもは動きがより活発になってくるため、十分に力を発揮できる環境を整えると共に、安全面にも注意を払っていきましょう。
運動が苦手な子どもに対しては、友だちと一緒に楽しむ運動遊びを取り入れることで、スムーズに動く身体を育んでいきたいですね。
粗大運動を促す上で気をつけたいこと

その中で保育士が働きかけることができるのは「動きたいと思う心」です。子どもの興味関心に応じたおもちゃを置いたり、保育士が声をかけたりすることで、「近くに行きたい」「遊びたい」という気持ちを引き出します。
心が動いても身体が動かない時は、脳や身体の機能の視点から子どもの様子を見てみます。神経発達症(発達障害)などの心配があれば、保護者と話し合いながら専門機関へ相談することも検討してみましょう。
粗大運動を高める活動を取り入れよう
乳幼児期は粗大運動を獲得していく大切な時期です。子どもの育ちに合わせて、全身運動を促すような環境設定や働きかけをしていきたいですね。子どもの運動遊びについて考えている方は、参考にしてみてください。
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