子どもの主体性を育む玩具とは?
昨今「子ども主体の保育」が注目されていますね。スウェーデンでもナショナルカリキュラムにおいて、プロジェクト活動などは「子どもの興味を出発点」として計画することが明記されています。
そこには保育者主導の保育ではなく、子どもを主軸に捉えることが語られていると理解しています。
そして保育室の環境も子どもたちの学びを刺激するものであることが求められています。
そこで今回は、スウェーデンでも保育室の重要な環境の1つである玩具を取り上げ、子どもたちがその玩具にどのように主体的に関わっているかをお伝えしたいと思います。
3歳~5歳児に人気!遊び方は無限大のマグネット
まずご紹介するのが、3~5歳児向けの玩具「MAGNA-TILES」。正方形・正三角形・二等辺三角形のカラフルな半透明のマグネットの玩具です。遊び方はさまざまありますが、私の園で人気なのは構造物を作る遊び。家、お城、船など大人の発想ではできないようなものを、1枚1枚上手に組み合わせて創り上げます。
私が一番驚いた作品は、4歳児2人が創った迷路です。発想そのものにも驚きましたが、さらに動物のフィギアを使って実際にその迷路の中で遊ぶ姿に子どもの遊びの世界の奥深さに感動しました。 ※スウェーデンの国内で販売されている玩具です。日本国内で購入できる類似商品はこちら。
保育者の関わり方は、どうしてる?
この組み立て遊びでは、子どもたち同士の対話が多く発生し、創造性だけでなく言葉の発達、一緒に作り上げる社会性の要素もふんだんに含まれています。この時、保育者が「あれを作ってみたら?」と提案することは一切なく、子どもの自由な発想に任せています。
「MAGNA-TILES」は素材としてとても扱いやすいので、子どもたちもストレスなく自分の創りたいものを試行錯誤しながら、形にすることができるので非常におすすめです。
1歳~2歳児におすすめ!デジタル素材の‟光るボール”
こちらの「Lyssande och taktila-bollar」は、光×ボールをかけ合わせた玩具です。「光」は、どの年齢の子どもにとっても不思議な存在。それは1~2歳児さんも同じです。職場で昨年導入した光るボールは彼らの想像力を刺激してくれました。
慣れ親しんでいるボールの形状をしたものに、子どもたちは興味津々です。
保育者の関わり方は、どうしてる?
保育者が、このおもちゃが「光る」ことを見せると、我先にと手にとって試す姿が見られました。最初はコロコロと転がしたり、光の正体を探ろうとじっとボールを見つめたりしていました。
すると2歳児数名がそのボールを何かに見立てて、箱に入れたり出したり、箱を上から被せ
たりしながら遊んでいます。
すると今度は保育室に備え付けてあるキッチンの遊具のオーブンにボールを入れて、焼けるのを待つ振りをして遊んでいました。
光を楽しむためにその部屋の照明を切っていたので、オーブンの中で光るボールに子どもも保育士もうっとり。子どもたちは偶然の発見にとても満足した様子でした。
子どもたちが玩具にアクティブに関わる様子はたくさんの驚きや発見を生み出します。
それこそが乳幼児期の学び。「子ども主体の保育」を作り出すこれらの玩具をぜひ試してみて下さい。
※スウェーデンの国内で販売されている玩具です。詳しい商品サイトはこちら(注意:海外の外部ページへリンクします)
https://www.lekolar.se/sortiment/lara/sensoriska-produkter/sensoriska-bollar/lysande-och-taktila-bollar/
お知らせ
2022年5月に、母校の東洋大学が開催する「保育に関するオンラインセミナー」にて「スウェーデンにおける子ども主体の保育と制度と実践」についてお話しさせていただくことになりました。今回ご紹介した「子どもが主体となる保育活動実践」を、より詳しくお話しさせて頂きます。どなたでも無料で視聴できますので、ぜひ楽しみにお待ちください!>>詳細・お申し込みはこちらから
※詳細は次回の連載(2022年4月下旬予定)でもお知らせ致します。
▼続けて読みたい!おすすめ記事はこちら