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子どもの「主体的な学び」を引き出すには?保育者に必要な質問力【スウェーデンの保育】

スウェーデンから学ぶ保育のヒント
スウェーデン在住で2児の母であり、プレスクールで保育士として働くよしざわたかこさん。スウェーデンの幼児教育を中心に保護者の目線と働く目線とを織り交ぜながら、現地のリアルな情報を紹介してもらいます。>>連載の記事一覧はこちら

今回のテーマ 

前回は、スウェーデンの保育室において重要な環境の1つ「玩具」をテーマに、子どもたちがどのように主体的に関わっているかをお話ししました。  今回は「子ども主体の学び」をテーマに、保育者の働きかけについてお話します。 

「子ども主体の学び」のための保育者の役割とは? 

スウェーデンでは子ども主体の学びを支える保育者の役割として「質問力」があります。 
 
「質問力」とは子どもが思考を巡らせられるような問いを投げかける力だと言えます。 ちなみに、スウェーデン語では、このように言われます。

Produktiva frågor(生産的な質問)
Nyfikna frågor(興味深い質問) 

保育のプロジェクト活動 

子どもたちは生活や遊びを通して、この世の中を探究しています。 
 
それをより構造的にするのがプロジェクト活動です。そしてそこでの学びを深めるために、保育者はこれらの質問を投げかけていきます。それでは実際の場面をみていきましょう。 
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子どもの学びを深める「質問」 

森の中の景色
春になり森に行くことが増えました。 
 
子どもたちは各々の主体性を発揮して森のあれこれを探索をしています。この時にただ放っておくのではなく、保育者は彼らに寄り添い、どんなことに着目しているのかを観察します。 
 
ある日、2歳児が枝に蕾がついているのを見つけました。つまんだり、摘み取ったりしている姿がありました。 
蕾を摘み取る子どもの手
 
この時に保育者が「こっちの枝には蕾がついているけど、他の枝にはついているかな?」と、比較することを促す質問をしました。 
 
すると何人かは別の枝を探し始めました。 
 
同じような枝を見つけたり、すでに落ちている枝を持ってきたりしました。 
 
そして「あなたは、これから蕾がどうなると思う?」と、投げかけました。 
 
もちろん子どもたちは答えられませんでした。何本かの枝を園に持って帰り、次の日のサムリング(午前に行う朝礼のようなもの)の時間に、活動の振り返りをすることにしました。 

 

体験を振り返るときの「質問」 

 
木の枝のイラスト
この日、前日の森でのあそびで持って帰った‟枝”を見せて、前日と同じ質問をしてみました。 
 
「あなたは、これから蕾がどうなると思う?」 
 
すると「花が咲く」という子がいて、他の子もその子に続きました。そしてある子は「てんとう虫が出てくると思う」と言いました。 
 
もちろんてんとう虫が産まれてくることはありませんが、その子の学びは他の子もとても興味深く聞いていて、そのまま枝は室内で観察を続けることになりました。 
 
室内に置いておくことで、子どもたちの目に常に入るようにしました。 
 
そうすることで、子どもたちは気になると自発的に近くに寄って眺めていました。そして週1回はサムリングにて、全員で観察する時間を持ちました。 

「質問」への予想と観察の結果 

結局、蕾からは葉っぱが出てくるだけでした。 子どもたちの予想は外れてしまいましたが、植物の育ちへの興味を促す質問によって観察は1ヶ月近く続きました。 
 
ただ枝を拾ってきて保育者が観察を提案するだけでなく、子どもたちに想像させることを通じて、自分ごとつまり主体的にその枝に関わることができました。 
 
このようにいかにたくさんの興味深い質問ができるか、それが保育者の腕の見せどころといえます。 

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今回ご紹介した「子どもが主体となる保育活動実践」。もっと詳しくお話しさせて頂きたいという思いから、母校の東洋大学が開催する「保育に関するオンラインセミナー」にて登壇させていただくことになりました。 
 
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よしざわ たかこ

この記事を書いた人

よしざわ たかこ

スウェーデンの保育士。東京でOL(10年)→出産→退職→幼児教育を学ぶために再度大学生→2016年に家族でスウェーデン移住→スウェーデン語をゼロから学び、2019年5月からプレスクールに勤務中! 移住後は、スウェーデンの幼児教育事情をブログにて配信中。

<Twitter>
@swedenhoiku
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<ニュースレター スウェーデン保育通信>
https://sweden-hoiku.medy.jp/

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