もしもこんなシーンに出くわしたら?
今回は<上の写真>を見ながら、子どもが遊んでいるシーンを一緒に想像することからスタートしたいと思います。私が今想像している子どもの姿は、崖を飛び跳ねている子どもたちです。
もろくて崩れやすい、海岸沿いにある崖。その崖を子どもたちは無我夢中で跳んでいます。
その崖は、海岸からは高さ5メートルほど。しかも、雨や風で崩れてしまうほどに脆い。そんな場所を飛び跳ねている子どもがいるとしたら…皆さんはどうするでしょうか?
保育者がとるべき行動は?
きっと、保育士の皆さんなら止めますよね。実際、私も子どもたちに止めるように声を掛けました。すると一人の5歳児の男の子が私に言ったのです。
「俺たちが跳んでいるところは大丈夫だけど、今真由美(先生)が立っているところは危ないからすぐどいた方がいいよ。」
「えっ?」
そう思った次の瞬間、崖の下の方で砂がさらさらと動き出したのです。慌てて後ろに下がった私は、驚いて子どもの顔を見ました。
「俺たちは、どこが崩れるか、崩れないか、知ってるよ。跳べる距離かそうでないかも知っている。だから安心して見ててよ!」
足元のがけが崩れていく瞬間を目撃していただけに、彼の言葉には説得力がありました。
子どもの状況把握力
私よりもこの村を知っている子どもたち。どこでどのような遊びができるのか。日々の経験や年長者の姿を見て知っているようでした。確かに、崖の中でも跳び幅はそれぞれ異なるし、そもそも跳ばずに砂や石で遊んでいる子どももいる。
“崖”という場所で、子どもたちは自分の好きな遊びを見つけ、それに夢中になっている姿がそこにはありました。
「子どもを信頼して遊ばせる」には?
今回のことをきっかけに、私たち保育者が「子どもを信頼する」ということの大切さを改めて考えてみました。そのためにはまず、一人ひとりの子どもがどんな遊びが好きで、どのようなことができて、得意なのか。今どんなことに興味を持っているのかを知る必要があります。
子どもは自分が今どんなことに興味を持ち、チャレンジしたいのかを知っている、私はそう思うのです。
- ジャングルジムのてっぺんまで登りたい
- 逆上がりがしたい
- ハサミを使って切り花を作りたい
- 木登りがしたい
- 水で虹が作りたい…
今回冒頭でお話ししたシーンでは、
「こんな高いところから飛び降りるの?」(私は心の中で心配になりました)
そう思っても「飛び降ることができる!」と思った時にしか、子どもは挑戦しようとはしません。近くに行っては何度も考え、今だ!!と思った時に力を振り絞るのです。
子どもが自分の力を信じるためには?
その力を子ども自身が感じ、発揮できるかどうかは、それまでの子どもの育ちが大きく関係しています。例えば、5歳になるまで一度もジャングルジムに登ったことがない子どもが急にてっぺんから飛び降りようとしていたとしたら、まずは登ること。
その高さになれることをしなければならないだろうし、飛び降りる勇気を持つ必要もあるでしょう。だからこそ、私たち保育士は、目の前にいる子どもを日々観察しておく必要があるのです。
私たち保育士は、彼らが大きなケガをしないようにそばで見守っている必要があります。そして、そのような環境を整えることが重要なのです。
例えば木登りをしている子どもが飛び降りようとした時、その下はコンクリートなのか、土なのかで怪我をするかもしれない危険度は変わってきます。
「この子は今、この高いところから飛び降りようとしているんだな」
そう気づいたら、ぜひその子どもがいつか飛び降りることを想定して、環境を設定してあげてください。下が固いコンクリートであれば、自分が受け止めてあげられる場所にいる、下にマットを敷くなど、子どもが怪我をしないように考えることも重要です。
改めて、私たち保育士の仕事は子どもの気持ちに寄り添って「環境を整える」ということなのですから。
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