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保育園→小学校就学前教室→そして、学童教室の開始【みんなで作るカノア保育園<20>】

カノア保育園の子どもたち
2000年、ブラジル北東部にある人口300人の小さな漁村“カノア・ケブラーダ”に保育園を作った鈴木真由美さんのストーリーの20回目です。>>ストーリーの一覧はこちら 

入学前準備を経て、小学校へ 

リコーダーを吹く子どもたちの写真
カノア保育園が始まってから初となる卒園児が、無事に「小学校就学前教室」を経て小学校に入学することになりました。  カノア保育園を設立するにあたっての一つの目標は、 「子どもたちが文字の読み書き、計算ができるようになること」。 
 
識字率の低かったエステーヴァン村の人達にとって、より良い仕事を得ること、これからの社会で生きていくための重要な力の一つとして、「子どもたちが文字の読み書き、計算ができるようになること」というのはとても大切なことでした。 
 
2000年当時のブラジルでは、小中学校一貫の8年制で、残念ながら多くの子どもは5年生になる前にドロップアウトしてしまっていました。 
 
この目標を達成するための入り口として、「小学校入学」というのがありました。そして願わくは、中学校を卒業すること。 
 
一歩一歩進んでいく子どもたちの成長を保護者や地域住民の人達と一緒に見守りながらたどり着いた、小学校入学。本当に感慨深いものがありました。 

ブラジルの小学1年生の毎日は? 

ブラジルの女の子
小学校に入学した子どもたちは、午前か午後の時間帯に学校に通います。ブラジルは3部制のため、子どもたちは半日のみ学校に通うのです。 
 
そして学校に通っていない時間帯には、保育園の窓を毎日覗きに来る子どもたちの姿がありました。 
 
ある日、「一緒に遊ぶ?」と声をかけると、 
「うん!!」と、元気に返事をした卒園した子どもたち。 
 
小さな子どもたちと一緒に遊びながら、卒園した子どもたちがこんなことを言いました。 
 
「絵を描いたり、歌を歌ったり、編み物をしたり、思い切り体を動かしたり…なんで小学校ではやらないんだろう? こんなに楽しいのに。小学生になってもやりたいな~。毎日ここに来てもいい?」 

ブラジルの小学校で教わる科目とは? 

ブラジルの小学校では、1日3時間の授業×生徒を入れ替えて3部制をとっています。そのため一人あたりの授業時間が足りず、小学校では国語・算数・理科・社会を満足に教える時間もないほど。 
 
ですから、音楽・図画工作・家庭科・体育といった日本の小学校にはある授業が、ブラジルにはありません。 
 
子どもたちにとって、とても大切な学びである、音楽や図画工作や体育。なんとかそれを体験させてあげられる場所を作れないものか? そう、思い始めました。

「学童保育」設立の発案

カノア保育園の子どもたち
小学校分校の先生に相談してみると、実習生として働いていた人が「学童教室」に興味があるということ。 
 
―場所が確保できるのであれば、学童教室を開校することができる! 
 
こうしてカノア保育園に部屋を貸してくれていた村の環境NGO団体がもう一部屋貸してくれることになり、とんとん拍子に学童教室を開校することになったのです。 
 
日本で学童教室というと、放課後に子どもを預かってくれる「学童保育」というイメージが強いのではないでしょうか。 
 
現在の学童保育には英会話や絵画教室など、いわゆる習い事が付随しているものも多くあります。 
 
しかし“習い事”というのではなく、子ども自身が五感を使って音楽や絵画・運動に触れたいと切望する姿は、「人間」にとって重要なものなのだと、私に感じさせたのでした。 
 
だからこそ、ブラジルだけではなく、世界のどこにいる子どもであってもこうした五感を使うことのできるような時間を、私たち大人は持てるようにしてあげる必要があるのです。 

「みんなで作るカノア保育園」全20回のストーリー

2019年から全20回にわたって、「みんなで作るカノア保育園」保育園設立のストーリーをお届けしてきました。 
 
ブラジルという日本の真裏に位置する国でのできごとですが、日本で子どもや保育に携わっている皆さまに何かメッセージを届けることができていたら、嬉しく思います。 
 
世界のどこにいる子どもであっても、子どもは同じである。そんな風に感じていただきながら、私のコラムを読んでいただけたのならば幸いです。 
 
本連載は20回目をもって一旦区切りとなりますが、また皆さんとお会いできることを願っています。そして最後に、私の人生のミッションを皆さまと共有させてください。 
 
“子どもが子どもらしく子ども時代を過ごすためには?” 


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