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保育士経験の浅い私が初めてのクラス担任に【みんなで作るカノア保育園・その14】

遊具で遊ぶカノア保育園の子どもたち
2000年、ブラジル北東部にある人口300人の小さな漁村“カノア・ケブラーダ”に保育園を作った鈴木真由美さんのストーリーの14回目。今回は、保育士経験の浅かった鈴木さんが初めて担任となってからの葛藤、そして奮闘するエピソードをご紹介します。
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初めてのクラス担任に

カノア保育園が開園して2年目。クラスが増えることになり、初めてクラス担任を任された私。 エヴァさんと一緒にクラスを担っていたときには、保護者との交流の中で、私がうまく説明できないところはエヴァさんがカバーしてくれていました。

しかし、自分のクラスとなった今、エヴァさんに託すということはできません。私は保育士としての経験も少なく、自分の考えを思い通り伝えることができない…というジレンマもあり、どんどん余裕がなくなっていきました。

「子どもを観ていない」ことに気付く

そんなある日、ふと気づいたのです。私は今、目の前にいる“子どもを観ていない”ということに。

「目の前の子どもを観ないで、どうやって、保育の準備ができるのだろうか?」

「この子どもたちが何をしたくて、どんなことに興味があるのか知らなくて、どうやって子どもたちが楽しく通ってこられる保育園にすることができるのだろうか?」

そして思い出したように手にとったのが、エヴァさんとクラスを担っていた時には毎日書いていた「子どもたちを綴るノート」でした。

自分のクラスを持つようになってから、ノートを手にすることがほとんどありませんでした。子どもたちを“観て”いない私は、このノートに書くことを思い出せなかったのです。




そこでまずは、子どもを観察することに専念することにしました。

そして、その日の活動は、その日の子どもの興味によって変えることにしたのです。

保護者との関係を築く家庭訪問

また、気になる子どもがいれば、すぐに家庭訪問を行いました。保育園の送り迎えに保護者が来ない場合も多く、兄弟や姉妹からは知ることのできないことも多々あったからです。

カノア保育園を作った当初、エヴァさんと一緒に子どもたちの家庭を訪問すると、目の前でドアを閉じられてしまったことが何度もありました。

同じブラジル人で、しかも同じ北東部出身のエヴァさん。彼女には自分たちの貧しい生活を見てほしくない。それは、村の人たちのプライドでもありました。

そんな中、私は日本という自分たちとは全く異なる文化や背景を持つ国から来た人間です。「プライドも何もない」そう感じたのでしょうか。いつでもドアを開けてくれ、帰るときにはお土産を持たせてくれました。

干物やジャム、ジュースなど。私にとっては初めての、新鮮なものばかりでしたが、それらを渡すときの顔は、今でも忘れられません。

私には自分たちの生活の不安や心配も、全部見せてくれている。それが分かっていたからこそ、私は積極的に家庭訪問をしていました。

家庭訪問は私にとって、保護者との信頼関係を築く大切な時間。その時間と、子どもたちを観察する時間。この2つは、私がカノア保育園で自分のクラスを持った時に欠かすことのできないものとなりました。
遊具で遊ぶカノア保育園の子どもたち

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