スウェーデンの保育者の労働事情
(園で取り組むプロジェクトのキャラクターたち)働く人なら誰しもが一度は悩む労働事情。スウェーデンも決して特別ではありません。今回は、 スウェーデンの保育者の労働事情についてお伝えしていきたいと思います。
スウェーデンの保育士の配置基準
まず、プレスクールでは教師と保育士という2つの職業がチームで働いています。多くのチームが、1人の教師に2人の保育士という3人です。クラスの子どもの人数は、全国平均で1-3歳が12人、4-5歳が15人となっています。
これだけ見ると何て潤沢なリソースだと思いますね。そのため学校庁はこの調査結果をもって、「クラスの子どもの数は問題がない」としているようですが、多くの園がこの人数以上のクラスになっていると教師労働組合や保育士労働組合が数値を出しています。
保育者への負担はますます大きく
子どもの人数が多いことにより、1人1人に寄り添った保育の難しさや、子ども同士の衝突が増えたり、大音量といった問題が日常的になっていったりしているのは事実です。そのために多くの保育者が高いストレスを抱えています。さらに、ナショナルカリキュラムの改定でプレスクールにおける授業の明確化がなされてからは、教師を始め保育者に求められる業務が増えています。それにも関わらず、充分な計画、振返りの時間が持てていないと感じる保育者がほとんどです。
保育者の転職は一般的
そういった労働環境から燃え尽き症候群になってしまう人はスウェーデンでもとても多いです。しかしながら、彼らの補充となるのは、必ずしも同じ能力を持った人とは限らず、残った保育者の負担が増え続けるという悪循環が産まれています。
そのため、4人に1人は3年以内にプレスクールの仕事を辞めたいという保育者がいるという調査もあります。
また、同じ職場ではなかなか昇給が望めないことから、転職によって昇給を目指すこともあります。そういったことからも、転職は一般的なこととして捉えられています。
解決に向かう姿勢はスウェーデンらしい
(スウェーデンのクリスマスマーケットの様子)このように幼児教育、保育の理想のように語られるスウェーデンであっても、必ずしも恵まれた労働環境ではありません。課題は日本と同じようにあるということを3年半の経験で知りました。
しかしながら、園長とのオープンコミュニケーションや労働組合という駆け込み寺があり、保育者1人で抱え込むことありません。
問題はやはりどんなところでも起きます。それを共有して、解決に向かっていこうとする仕組みがスウェーデンらしいなと思います。
来年からは新しい環境へ
スウェーデンの保育者の労働事情をお伝えしましたが、私も新しい挑戦として、3年半勤務してきたプレスクールを退職し、1月から新しい園で働くことになりました。新しい園は、カルチャープレスクールと名づけられていて、音楽、創作、ドラマといった芸術活動から子どもたちの発達や探究心を養うことを特徴としています。
アトリエスタ、プロの音楽家や劇の先生を定期的に呼んで活動をすることもあるようです。オープンして1年というとても新しい園ということで、これから園の文化を創っていく段階のところに加われてとてもワクワクしています。次回以降は新しい園での取り組みなどを紹介していきたいと思います。
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