子どもたちのリクエストで公園へ
先日ある保育園の年長児と一緒にお散歩に行った時のことです。「今日は子どもたちのリクエストでアスレチックがある公園に行きます!」と出発し、子どもたちも嬉しそうでした。
公園に着くと、子どもたちはアスレチックへ駆け寄り、長いローラー滑り台や幅の広い滑り台を友だちと横に並んで滑ったり・・中でも人気だったのは、クライミングの壁にロープが下がっていて、それらを使ってよじ登る遊具でした。
1人ずつ登るため、常に4〜5人が並び、他の子が登っているのをうずうずしながら待っていました。10分程すると、滑り台には飽きてしまった子どもたちで鬼ごっこが始まりました。そのうち、クライミングのところで待っていることに飽きてしまった子も加わりました。
私は、なんだかもったいないなと思いながらその姿を見ていました。なぜなら鬼ごっこは、いつも園庭でも遊んでいるからです。
遊びのヒント:きっかけを探す
そこで私は、虫好きのたろうくんに「今日は虫、いないかなぁ?」と声をかけてみました。「いないよ。ふゆだからね!」とあっさり答えられて、私は空振りしてちょっとがっかり。しばらくすると、たろうくんが「みて!これみつけたよ!」と真剣な顔をして戻って来ました。
たろうくんの手の中を覗き込んでみると・・・土がついた梅干しの種でした。「それ、おにぎりの・・」と私は思わず「梅干しの種だよ」と言いそうになりながら、グッと堪えました。
たろうくんにはあまり聞こえなかたようで、「え?なに?」と聞き返されたので、「あ・・えっと・・それどこで見つけたの?」と聞くと「こっちだよ!」と走り出しました。
私とたろうくんのやりとりを見て、他の子も「なになに?」と寄ってきました。
たろうくんは、「ここにおちてたんだよ!」と植え込みを差し、私に「これあげる」とその梅干しの種をくれました。
他の子は「それ、うめぼしのたねじゃない?」と言っていましたが、たろうくんは「ちがうよ!ここにあったんだよ!」と何かの実だと信じているようでした。
そこで私は「他にも何かあるかな〜?探しにいく?」とたろうくんとそこにいた3人の子どもたちを誘うと、"待ってました!"という様子で「うん!」と返事をし、嬉しそうに歩き始めました。
しばらくみんなで公園の端をぐるぐると歩き回りました。迷路のようになっている植え込みを歩いてみたり、倉庫の後ろを通ってみたり・・探検をしているような気分でした。子どもたちも「あっちいってみよう!」「こっちにもなにかありそう!」と楽しんでいる様子でした。
遊びのヒント:木登りの木を探そう
歩きながら私が探していたのは、”木登りができそうな木”。クライミングが人気だったので、きっと全身を使うちょっとしたチャレンジができる遊びを子どもたちが求めていると思ったのです。
木登りをしてはいけない公園もありますが、この公園は“大丈夫だろう”と判断し、子どもたちが登りやすくて弱っていなそうな木を選びました。
「これ、登れるかな〜?」とつぶやいてみると、たろうくんが目を輝かせて「これ、サルスベリっていうんだよ!」と言いながら登り始めました。
高くまでは登れないけれど、ツルツルとした木肌で手は痛くならず、子どもが足をかけやすいところに丁度よく節がついていて、でも少しだけ難しいレベルの木でした。 他の子も登ってみるけれど、登れそうで登れない・・みんなで何度もチャレンジしました。
1本しかないと順番待ちの列ができるので、「他に登れる木あるかな〜?」と言ってみると、女の子がすぐ近くにあった低い木の枝にまたがりました。でも枝が折れそうなのでその木は断念。次に見つけた木は、太くてゴツゴツした桜の樹でした。 たろうくんが真っ先に登ってみるけれど、手が痛くて「だめだ・・」とやめると、他の子がチャレンジ。
すると、1人の子が「みつがある!」とまん丸でツヤツヤした桜の樹液が出ているのを見つけました。それに触ってみるとツルツルしてまるで宝石のよう!
女の子たちはそれを食い入るように見て、どうにか取れないか試行錯誤。 硬くて取れませんでしたが、みんなでそのツルツルを触ってみて、匂いを嗅いで、騒いでいると、他の遊びをしていた子どもたちも集まって来ました。
必要なのは子どもたちの遊びが広がるきっかけ
私は、”鬼ごっこは、子どもたちがどう楽しもうかと試行錯誤した結果”なのだと思っています。他に興味を惹く遊びが見つけられない時に、鬼ごっこが始まるようです。1人の発見や発想から遊びが始まればそれに釣られてみんなに広がっていきます。
子どもたちに必要なのは、ちょっとしたきっかけです。
視点が広がるきっかけやどんな遊びができるかなと考えるきっかけ。
そのきっかけのタネは、私たち保育者の”あそび心”にあるのではないでしょうか。みなさんもきっとすてきなタネをたくさん持っていることでしょう!
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