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発達支援の現場で絵本を読む【絵本専門士×保育士の視点から】

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絵本専門士として活動する保育士うっちー先生による、絵本愛全開のコラム。今回は、うっちー先生の勤務する児童発達支援センターと絵本とのエピソードをご紹介します。>>連載一覧はこちら
今回は自分の本業である保育士のキャリアを振り返りながら、絵本と保育について紹介していきたいと思います。連載中たまにある自分語りの回でございます。俺は絵本研究者ではなく実践者ですので学術的な話ではありません。

実は絵本を読まなかった新人時代

俺の本業はもちろん『保育士』。保育園での勤務経験もありますが、組織内配置で新卒から3年間、14年目から6年間、足掛け9年、児童発達支援センターに勤務しており、そこには発達支援の必要な就学前の子どもが通っています。


保育士に成り立ての頃は、体力と若さあり、子どもたちと力いっぱい運動遊びを楽しむ毎日。絵本はというと…全く読んでいませんでした。自身の幼少期から絵本に親しみ、絵本好きの保育学生という自負はありましたが、それでも現場では読めませんでした。

俺の好きな絵本は物語絵本が多く、子どもたちが興味を持てることが少なかったため、発達支援の必要な多くの子どもたちと読みあいを楽しむことが出来ませんでした。

しかし、絵本を読んでいないからと言っても子どもと心を通わすことが出来ていなかったわけではありません。先日、当時担任していた親子に20年ぶりにおはなし会で再会。元気な男の子は立派な青年になっていましたが、当時の様にぎゅっと俺と手を繋いでくれました。



絵本専門士になって見えてきた景色

その後の保育園勤務11年の間には、絵本の知識、読みあいの場の経験が積み重なり、絵本専門士資格も取得。保育士14年目に再び児童発達支援センターに勤務すると見える景色がガラッと変わっていました。環境も子どものかわいさも変わっていませんでしたが、変わっていたのは俺の知識と経験と視点

支援センターでの6年間毎日、たくさんたくさん絵本を読んできました。

視覚で捉え、音で捉え、絵本と子どもが繋がる。絵本を通して先生と繋がる三交関係が出来る。でも絵本を通して繋がっているのは先生だけじゃなく、横にいる友だちや読みを共有している友だちと、表面的には繋がっていないように見えても繋がっている


という場面を何度も感じてきました。

ねこのピートだいすきなしろいくつ』(ひさかたチャイルド/2013年)を歌いながら行進!
あーといってよあー』(福音館書店/2015年)で大合唱♪
ごろごろにゃーん』(福音館書店/1984年)を「もういっかい」とエンドレスで読み続ける…。
いろいろバス』(大日本図書/2013年)が好きすぎてフェルトで立体絵本作っちゃう。
三びきのやぎのがらがらどん』(福音館書店/1965年)はこわいけど読んでほしい。あっ、でもやっぱり読んでほしいけどこわい。
あんぱんまん』(フレーベル館/2022年)カタカナではなくひらがなタイトルの元祖あんぱんまんはちょっとリアルだけど癖になって、ここからやなせたかし氏のアンパンマンシリーズを読みまくる。

▷うっちー先生が絵本専門士になるまでの道のりはこちら

発達支援の現場×絵本で生まれたつながり

子どもたちと絵本のエピソードがありすぎて載せきれませんが、令和4年度に楽しんだえほんばなしをひとつ紹介。

年長クラス9人。子どもそれぞれの発達には違いがあり、興味関心の幅も深さも全然違う。そこで活動のテーマを“いろいろ触れる”に設定。田んぼの泥、小麦粉、シェービングクリーム、溶けた紙粘土などなど定番の物から幅広く楽しみました。一番子どもたちと盛り上がったのはこの絵本。

『こんにちは!わたしのえ!』
作はた こうしろう  
2020年/ほるぷ出版 

こんにちは!わたしのえ!

>>本の紹介はこちら

表紙の子どもが絵の具を使って白地に塗りたくっていきます。筆から指、足、全身と全部を使って…。なんたって色がいいんです。画面が彩られ絵本以上に広がりを感じます。

よし!やろう!!
めちゃんこ大きい紙を準備。子どもの楽しみのために職員一同協力を惜しみません。せっせせっせと貼り合わせ遊戯室は一面白色。あとは描くだけ♪

大きな絵を描く女の子
大きな絵を描く男の子
描いて遊んだ紙を外に引っ張り出してみたら、こんなにステキな作品になりました。みんなが服も体も絵本の女の子以上に絵の具だらけになっていました。

絵本で世界が広がり、絵を描くことはそれぞれだったとしても、一枚の紙の上から作品で繋がっていきました。

令和5年度は児童発達支援センター勤務10年目!発達支援の現場でどんな絵本との出合いと出会いが待っていることでしょう。

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