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「始まり」と「終わり」が苦手な子への対応|発達支援の現場から

「始まり」と「終わり」が苦手な子への対応|発達支援の現場から
児童発達支援管理責任者/保育士/発達支援専門士として自治体とともに現場の保育士さんと一緒に発達支援を考える井上さんが、現場の保育士さんから多く寄せられるお悩みに回答します。>>連載一覧はこちら

発達に偏りが見られる子どもには、片付けができない、切り替えられない、基本の基である始まりと終わりの理解ができていないことがあります。 

私たちは当たり前のように毎日を過ごしていますが、そこには無意識に理解できている「始まり」と「終わり」というものがあります。 
 
例えば、朝起きたら1日が始まり、夜眠る時は1日の終わりです。また、食事も「いただきます」で始まり「ごちそうさま」で終わります。 この「始まり」と「終わり」の繰り返しをスムーズに進めて1日1日が過ぎていきます。

園生活での「始まり」と「終わり」 

では、保育園や幼稚園生活はどうでしょうか? 

登園は園生活の始まりであり、保護者との時間の終わりでもあります。 また、自由に遊ぶ時間が始まります。遊びの中にも砂場遊びの始まりがあり、終わりがあります。 

玩具の遊びも始まりと終わりがありますね。 製作も絵本も先生の話しも、物事には全て始まりがあれば、終わりがあるのです。 
 
この物事の区切りを私達は何となく当たり前に行っていますが、切り替えの苦手な子どもたちはここで躓くことも多くあります。 



「始まり」と「終わり」の理解の進め方 

片付けすることで終わりを意識する保育園児

では、始まりと終わりの理解はどのように進めていけば良いのでしょうか? 

①環境を整え見てわかりやすくする 

 玩具の時間が終わりなら、お片付けボックスを準備し、おしまいのタイミングで箱に入れられるようにセットしましょう。この時大切なのは、発達がゆっくりな子ども達には、元通りや分けて片付けるという、おしまいの工程を増やさないということです。 

ただただ、箱に入れる。これでオッケーです。なぜなら、ここで何の理解へと繋げたいのかというと、玩具の片付けではなく「終わり」の理解だからです。 

 ②環境に合わせて声かけをする 

 ①の環境が整ったら片付けボックスに入れる際に「おしまい」と声をかけましょう。 

子ども達は、毎日何度もやってくる「箱に入れるとおしまい」ということが経験から理解でき、その際に聞こえるいつも同じ音「お、し、ま、い」が終わりなんだということに気が付きます。 
 
この様にして、物事には始まりと終わりがあるということを見て理解できる環境を整え、経験を繰り返し積み重ねることで理解に繋げ定着できるよう支援します。 
 
また、①の片付けボックスはお部屋に1個ではなく、エリアに1個にしましょう。 例えばセンサリースペース(感覚遊びエリア)に1つ、ブロックエリアに1つなどです。

初めは、終わりの理解が定着していないので、片付けボックスを探すということはありません。 まずは、その遊びが終わり移動する時に、偶然的にボックスが目に入ったから箱に入れるという環境を整えます。 

しかし、本人は偶然的でも大人側から見たら必然的になるよう子どもの行動をよく観察しながら、箱の位置を決めましょう。 
 
この様にして、偶然の片付け(終わり)を繰り返し、理解出来ると次第に終わりは箱に入れる→だから箱を探すという行動に繋がり、箱を減らしても大丈夫になります。 

井上さんからアドバイス 

子どもの発達は大人が気づかない間に一歩ずつ前進しています。行動で躓いているときには、なぜその行動が起きているのか?をよく観察し見立て、今必要な支援は何かを考えることが、その子の発達の支えとなります。

失敗を恐れずにその子に取って良い方法を試していきましょう。 



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普段の保育で感じている発達支援のお悩み、井上さんに質問してみませんか? ほいくisでは、保育者のみなさんが抱える発達支援のお悩みを募集し、児童発達支援管理責任者/保育士/発達支援専門士として自治体とともに現場の保育士さんと一緒に発達支援を考える井上さんに回答いただく新企画を始めます。

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井上綾乃(いのうえ あやの)

この記事を書いた人

井上綾乃(いのうえ あやの)

発達支援センターでの実践や短大非常勤講師の経験を積み、自ら法人を立ち上げ、児童発達支援管理責任者(保育士と)して療育の現場で活動中。子どもをプログラムに合わせるのではなく、子どもに合わせた療育プログラムを行いながら、「楽しい」と感じる事で発達する支援を実践。現在では自治体の保育園巡回相談、保育ゼミ講師、依頼を受けての保育園、幼稚園研修講師等人材育成も行っている。
<シャインキッズホームページ>
https://shine-kids.com/

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