今回のお悩み:小学校教諭から幼保小の連携について
柴犬さん(小学校教諭 33年からのご相談)
幼保小中との連携が難しいですが、それ以上に支援員さんとの関係が難しいです。(支援員さんの)『この子達はできない子達なんです。手伝ってあげないといけないんです。』という考えが納得できないです。
入学前はできない子達だったかもしれませんが、できるように育てていかないと、いつまでもできないままなのに、なんでも手を貸してしまって結局は何もできない子たちが増殖中です。
『してみて、させてみて、ほめて育てる』スタンスでいきたいと何度もお話ししているのに伝わりません。支援員さんがいてくれて助かる面もありますが、自分の思った通りにできないと、しまいには『ないことないこと』を管理職に言いつけるので、困っています。
メインで進める自分の立ち位置と、あくまでもサポートという立ち位置の違い、連携の大切さ、子ども達への自立へつながる支援の仕方について上手に伝えられないのが悩みです。
専門家から柴犬さんへの回答
小学校の先生からのご質問
学校という組織のなか、多様な発達段階の子ども達に学習の楽しさをお伝えしている先生方は本当にたくさんのご苦労がおありかと思います。
しかし、長く教員をされているということは、それだけのやりがいも感じていらっしゃるのではないでしょうか。また、学校の先生という枠にとらわれず、私に質問をしてきてくださり感謝の想いでいっぱいです。
お子さんを思う気持ちはどちらも同じ
さて、ご質問への回答です。
まず一つ忘れてはいけないのが、お互いにお子さんのことを大切に考えているということです。ただ、その方向性(道筋)が違うということです。
そして、方向性が違うのは悪いことではなく、違っていて当たり前ということも知っておくと良いでしょう。
他人を変えることは、そう簡単ではありません。きっと、子ども達に長年関わっていらっしゃる先生はすでに理解していることかもしれません。
私が好きな言葉に「人を変えたいと思うなら、まずは自分から変わること」というものがあります。私はこの実践をいつも心がけてきました。
新しい支援方法の導入
きっとその支援員さんとはたくさん話し合われてきたのでしょう。
それでも上手くいかない、こんな時はヒューマンエラーで考えず、システムエラーで考えてみるのはどうでしょうか?
つまり、支援員さんが「何でも手伝ってあげたい」気持ちは汲みつつ、手伝ってもらうかどうかは本人が決める。というシステムをつくるということです。
例えば、表はブルー、裏はレッドというカードを作っておきます。(信号の赤、青のイメージ)
自分で出来そうな時には「青」手伝って欲しい時にだけ「赤」に変えるというシステムです。
子どもが自分でやりたいという時に余計な手伝いが入らなくて済みますし、自分の力でやり切った達成感が次への意欲に繋がります。
また、いつでも助けてもらえる安心感がチャレンジしてみようという気持ちにも繋がります。
その子に合うシステムはきっとある
もし、この支援が上手くいかなくても先生のせいでもなく、支援員さんのせいでもなく、システムがエラー、つまりその子には合わなかっただけなのです。
それならば、次のシステム(支援方法)のアイデアを出せば良いだけです。
また、このシステムで赤が出にくい課題設定、つまり子ども自身が「できそう」と感じるものを提供することも大事なポイントになりますね。
ここに質問してきてくださるほど、行動力のある先生ですから、きっとすぐに実践してくださるでしょう。
お忙しい毎日でしょうが、人を変えずに自分を変えるという合言葉でぜひ、向き合ってみてください。
ご質問ありがとうございました。
具体的な支援方法については、こちらの動画でも詳しく解説していますので、あわせてチェックしてみてください。
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