今回のお悩み:園生活に困りごとの見られる1歳児への対応
らいじろさん(保育士歴15年、お立場:パート保育士)からの相談
1歳児クラスの子供が明らかに、保育園での生活に困っている様子が見られ、場面の切り替わりや、急な予定変更があると、泣き喚いている。保護者も違和感に感じている。
それでも、4月から考えるとかなり困りごとは減ったように感じるし、こちら側も、理解できるようになり落ち着いてきた。しかし、このままだと、後々生活がしにくいと感じる。センターの人に彼女の行動を実際に見にきて欲しい。健診の方にお願いするにはどのような手順が必要なのでしょうか。
専門家かららいじろさんへの回答
成長が観察できている様子
4月から比較するとかなり困りごとは減ったということで、以前の様子と現在の様子をしっかりと観察できていることは素晴らしいと思います。また、本人の良い変化に合わせて、周囲の先生たちが本人の理解をすすめられたのも、「○○は苦手でも○○なら大丈夫」と苦手と得意のデータがあつまり、子どもの認知に合わせて関わることが出来てきたからでしょうか?
園での困りごとと保護者の困りごとは分けて考えよう
さて、ここで大切なのは保育園生活での困りごとの対応策と保護者が健診や市の相談を利用するということは分けて考えるべきだと思います。お子さんが保育園で安心して生活をしていくための支援に行き詰っているようでしたら市の巡回相談や自治体の保育課に相談する、または外部機関のコンサルを入れる、研修から新たな支援手段を模索する等の方法があります。
保護者が子どもの発達を相談したいのであれば、自治体の相談先をご紹介すると良いでしょう。
保護者の受容のタイミングも目安に
ここで大切なのは保護者の状態がどの段階にあるかということです。生まれてまだ1年少ししか経っていない我が子の発達が心配ですぐに相談機関に行こうと思える保護者もいれば、その一歩を踏み出すまでに何年も何年もかかる場合もあるということです。それが悪いということではなく、個人差があるということ、時間がかかっても良いということ、保護者には保護者の受容のタイミングがあるということです。
以前の私の記事でも書いている課題の分離を読んでもらえると理解していただけるかなと思います。
もし、保護者の方が相談に行きたいと考えているのであれば自治体の機関をご紹介してくださいね。この様な時のためにも、保育士さんたちは日頃から自治体の仕組みを知り、繋げられる関係性をつくっておくことも必要ですね。
園では安心して過ごせる工夫を
まだ1歳児さんですので誕生月によっても発達段階は大きく違います。また、苦手だった部分がどのようにしたら変化してきたのかを把握しておき、上手くいった場面を、違う場面でも応用してみてください。
例えば、楽しいことになら切り替えられた=次を楽しいことにすればよい(トイレには切り替えたくないけれど、トイレにある動物園マグネットボードになら動物を貼りに行きたい等)
「このままだとこの先が心配」と思う気持ちはわかりますが、1歳児のこの子に大切なことは安心できる大人と安心できる保育園生活です。先の不安を思うのであれば、今を大切にできているところと、でき始めたところをしっかりキャッチし、楽しいから思わずやってみたいと思えるような様々な遊びをたくさん経験できるような環境を整えてくださいね。
支援の基本は子どもたちを下支えすること
何が苦手かということは先生が良く分かっているようですので、起きてから対応するのではなく、起きないように予防的に関わることを意識すると良いと思います。私の質問コーナーに質問してくださるということはきっと発達支援の学びをしたい、またはすでにしている先生なのではないでしょうか。
発達は引き上げずに下支えすることが大切です。慌てずに発達の芽生えを待ちながら環境を整え、社会は安心できるところなんだ、大人は私のことを理解してくれる、人が大好きと思えるよう丁寧に関わっていってくださいね。
機会がありましたら、私のコンサルは日本全国どこでも伺うことができますので、プロフィール欄にあるシャインキッズのホームページからご連絡ください。
発達支援の基本については、こちらの動画でも詳しく解説していますので、あわせてチェックしてみてください。
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