9月も終わりに近づき、運動会の準備にとりかかる園も多いのではないでしょうか。今日は運動会の場面で支援の必要なお子さんが苦手なこと、その支援方法についてお伝えしようと思います。
運動会で見られる感触、感覚過敏
過敏さをもっている子どもたちにとっては、我慢できないほどの苦しさから、その場から逃げ出す、耳塞ぎをする、奇声をあげる等の行動がみられるでしょう。以前のコラムでも書きましたが、感覚は、眠ることや食べることトイレに行きたいなど、生理的欲求と同レベルであり、決して我慢させることは出来ません。
それでは、運動会の場面ではどのように聴覚過敏に対応すればよいのでしょうか? さまざまな支援方法があるかと思いますが、いくつかを挙げてみたいと思います。
支援①音源が分かるようにする
音の源と書いて「音源」つまり、音の出所を知らせる方法です。小学校の体育館や校庭、園でのお庭でも、広々とした空間で、突然でてくる大きな音には大きな恐怖感を覚えます。
大人でも、誰かに不意に身体を触れられたら、誰に触られたのだろう、お化け屋敷で何か冷たい物が触れたら、一体何が当たったのか、そのもの自体を目で見て確認したくなります。
つまり、その正体を知りたくなるのです。音は目には見えない物ですが、どこから音が出ているのかを確認することで、安心を得られる子がいます。
事前の練習の段階で、スピーカーの近くに一緒にいき小さな音を出しながら「ここから、音が聞こえるねー」と確認してみてください。
支援②スタートのタイミングを自分で把握する
先ほども書いた通り、音は目には見えません。子どもたちは一般的には先生の「始まるよー」等の声かけで(そろそろ音が出るな)ということが分かり、心の準備が出来ます。この、心の準備ができることで、音楽のタイミングが突然ではなくなるのです。
しかし、発達のアンバランスな子どもたちにとっては、先生への注目が難しい、言葉の理解がゆっくり、場の空気を読みにくいという特性をもっている場合があります。すると、状況から(そろそろだな)と感じ取ることが出来ず、心の準備が出来ないために、突然大きな音が鳴ってびっくりするという様子です。
このようなお子さんには、再生ボタンを子ども自身が自ら押すことで、スタートがいつだか分かるので、安心という方法です。
支援③音のボリュームをやわらげる
音自体への不快さが強い場合には「イヤーマフ」や「耳栓」を使用しても良いでしょう。物理的に耳に入る音量を少なくすることが出来ます。
安心グッズで気持ちの安心を提供
感覚の過敏さは、不安が大きくなるほど強くでることもあります。いつもとは違うイレギュラーな活動や場所で不安は大きくなることが予想されるので、本人が安心出来る、感触グッズやぬいぐるみ等(安心グッズ)を持つことも一つの支援方法になるでしょう。
その他にも、手のひらに感触過敏をもっていると、組み体操など手に砂や小石がつくことを極端に嫌がる場合があります。そのような場合には、手袋を使用する等、個に合わせた柔軟な支援を提案してみてください。
井上さんからアドバイス
アトピーやアレルギーではすぐに配慮がされることは多いですが、見えない障がいに対しての支援はなかなかしてもらえないことが多く見られます。みんなと一緒が素晴らしいと同様にみんなと違うことも素晴らしく、みんなちがうことは当たり前であるということを、行事という場でも実践していただきたいと思います。
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