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待つことができない子には少しの工夫で「待たせなくてもよい」保育を|発達支援の現場から

待つことができない子には少しの工夫で「待たせなくてもよい」保育を|発達支援の現場から
児童発達支援管理責任者/保育士/発達支援専門士として自治体とともに現場の保育士さんと一緒に発達支援を考える井上さんが、現場の保育士さんから多く寄せられるお悩みに回答します。>>連載一覧はこちら

待つことができることできない子の違いは?

集団の場面では、何かとよく出てくる言葉の一つに「待っててね」があります。

待つことができる子と、待つことができない子、一体何がどう違うのでしょうか ?いくつかある理由の中から2つの理由を例にお話しします。

理由①待つことに必要なスキル

例えば、お友だちに「おもちゃ、かして。」と伝え、「待っててね」と言われた時に、なぜ待っていられるのでしょう。

「待っててね」と言われて待っていられるのは、その後に実現するであろう、おもちゃを借りられた場面を予測、想像することができるからです。

ところが、待つことが難しいお子さんは、先の事をイメージすることが難しく、見通す力をもっていないために、「今」だけを考え、今すぐにおもちゃを使いたいと奪い取るような行動に繋がります。

「待つ」という事は、先を見通す力がついているからこそできるスキルなのです。

理由②待つこと自体が難しい

もう1つの理由として考えられるのは、感覚の偏りからくる、待つ(じっとしている)ことの難しさです。

感覚統合の考え方では、私たちの感覚には五感(視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚)と二覚(前庭感覚、固有感覚)というものがあります。

五感は馴染みがあると思いますが、落ち着きがない、じっとしていられない、待てないという行動の理由には、この二覚の偏りが大きく関係していることがあります。

前庭感覚は、揺れや傾き、重力、スピード(加速)、回転など具体的に伝える感覚で、耳の奥の内耳という場所で受け取っています。固有感覚は、関節や筋肉で感じる感覚です。

どちらも、無意識に働いていることから、あまり意識することはありません。普段、人間は様々な感覚を働かせながら生活し、情動の安定にも繋げています。

待つ事(身体をその場に留めておくこと)が難しいのは、脳が動きの感覚刺激(前庭刺激や固有刺激)が足りないとキャッチし、必要な刺激を取り入れようと身体が動いてしまうのです。

これは、我慢させることができない生理的欲求(お腹が空いた、トイレに行きたい、眠りたい)と同レベルと言われています。

待つことを支援するには?

では、どのように支援すればよいのでしょうか?

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井上綾乃(いのうえ あやの)

この記事を書いた人

井上綾乃(いのうえ あやの)

発達支援センターでの実践や短大非常勤講師の経験を積み、自ら法人を立ち上げ、児童発達支援管理責任者(保育士と)して療育の現場で活動中。子どもをプログラムに合わせるのではなく、子どもに合わせた療育プログラムを行いながら、「楽しい」と感じる事で発達する支援を実践。現在では自治体の保育園巡回相談、保育ゼミ講師、依頼を受けての保育園、幼稚園研修講師等人材育成も行っている。
<シャインキッズホームページ>
https://shine-kids.com/

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