ザ・キャビンカンパニーとの出会い
絵本専門士仲間と絵本屋さんを歩いていた時、「この作家さんすごく注目してるんだよねぇ。長新太っぽさがある」と手に取っていた絵本は… 『しんごうきピコリ』作・絵 ザ・キャビンカンパニー
あかね書房/2017年
俺はこの時まで、この絵本も作家も知りませんでした。
確かに『ぴかくんめをまわす』(長新太/福音館書店/1966年)にテーマは信号機。
『にょ!』(ザ・キャビンカンパニー/小学館/2016年)は『ちへいせんのみえるところ』(長新太/ビリケン出版/1998年)と、地平線と水平線の違いはあるが線からいろいろなものが出てくる出てくる。
「長さんと共通するなぁ」という部分と「これはまた違っていていいなぁ」という部分がありますが、そのときのことがきっかけで、どんどんザ・キャビンカンパニー氏の虜になっていきました。今では刊行中40冊ほぼ全ての絵本を揃えるまでになりました。
ザ・キャビンカンパニーのプロフィール
ここでザ・キャビンカンパニー氏のプロフィールを紹介。阿部健太朗(1989-)と吉岡紗希(1988-)による二人組の絵本作家/美術家。ともに大分県生まれ。大分県由布市の廃校をアトリエにして、絵本・立体造形・アニメーションなど様々な作品を生み出し、国内外で発表している。
2014年『だいおういかのいかたろう』(鈴木出版)で絵本作家デビュー以来、多数の絵本を世に送り出す。
2024年『ゆうやけにとけてく』(小学館)は第29回日本絵本大賞を受賞。
「NHK おかあさんといっしょ(Eテレ)しりたガエルのけけちゃま」キャラクターデザイン/美術制作
お気に入りの2冊を紹介
まずは俺が職場やおはなし会でたくさん読んでいる絵本をまずは2冊紹介しましょう。だいおういかのいかたろう
『だいおういかのいかたろう』作・絵 ザ・キャビンカンパニー
鈴木出版/2014年
寒い冬の日に凍ってしまったダイオウイカのいかたろうをみんなで助けたところ、お礼にポカポカになる『いかたろうのイカダンス』を教えてくれる。イカダンスは公式動画が公開されている。
寒い冬になるとこの絵本の出番です! みんなでイカダンスを踊るのが楽しい♪ はじめての子どもたちでも、最後にはみんなが一緒に「イカッイカ♪」と踊っちゃいます。写真はまだ踊っていないですが(笑)
この絵本はおはなしのテンポが良く、ダンスがあるため子どもたちがすごく絵本に吸い寄せられていきます!
でも俺の好きなポイントはそこだけじゃあないのです。雪の結晶の絵が好き。手書き文字が好き。全体を包む冬のイメージが好き。いかたろうの強引な所が好き。挙げればきりがないじゃなイカ!!
ひげらっぱ
『ひげらっぱ』
作・絵 ザ・キャビンカンパニー
ひさかたチャイルド/2016年
ある日ぷーた君がへんてこならっぱを拾ったので試しに「ひげらっぱ らっぱ ぷ~」と吹いてみると… 音を聞いたママにおひげが生えてしまいました。それからパン屋さん、ビル群といろいろな所で吹いてどんどんおひげが生えていく。最後はどんどん壮大になっていきます!
いろんなところでいろんなものに髭が生えていくというナンセンスは、やっぱり長さんの絵本に通じる部分です。だって、なんで髭が生えるのか、仕組みも意味も絵本を読んだところでちっともわかりません。でもわからないのが良いじゃないかと。ナンセンスなんだもの。
俺は赤ちゃん用のラッパを片手にこの絵本を読むことが多いです。子どもたちも自分の口をラッパの形にして「ぷ~」と一生懸命吹いている姿がかわいい♪
そして、この絵本はあとがきの阿部氏の言葉にめちゃくちゃ共感。髭を生やしている者としてうれしい文章でした。
次回、ザ・キャビンカンパニー氏に出会う
絵本を2冊紹介しましたが、まだまだ紹介したい!そもそも俺は「何でザ・キャビンカンパニー絵本が好きなんだろう」と改めて考えたときに、言葉で説明することができにくいと思いました。でも絵本をほぼ全部持っているくらいだから、まるごと愛しているのは確か。
次回のコラムでは直接ザ・キャビンカンパニーのおふたりに会った時に感じた魅力や保育現場での絵本の存在について綴る中で「好きな理由」の自己分析に挑戦してみます!
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