話題となった気候変動サミットでのスピーチ
今回もスウェーデンのカリキュラムについてお話したいと思います。(お詫び:前回の記事で、2019年7月に改訂となったカリキュラムでのホットな話題を予告していましたが、次回に繰り越します)
2019年9月23日にニューヨークで行われた国連の気候変動サミットで、スウェーデンの学生グレタ・トューンベリさんがスピーチしたことが話題になりました。
日本では彼女のスピーチについて賛否両論あるようですが、気候変動が紛れも無い事実であることは先日の台風や昨今の猛暑で感じとれると思います。ここスウェーデンでも昨年は30度まで上がる日が続き、雨も数ヶ月降らないために大規模な山火事が起きました。
そんな中で、私たち人間が存続していくために何ができるのか、それを考える機会がスウェーデンのカリキュラムには盛り込まれています。
「Hållbar utveckling」という項目で、「持続可能な成長、開発」と日本では言われています。
プレスクールのカリキュラムに含まれる「持続可能な成長、開発」
とても難しいテーマでありますが、スウェーデンではプレスクールの段階からこれらについて触れていきます。カリキュラムの中では、「教育は子どもに自分の身の回りの自然環境や社会に対して、エコロジカルで優しいアプローチを身につける機会を与えるべきだ」と記述されています。とても抽象的な書き方で、これをどんな活動に落とし込むかは各プレスクールに委ねられています。職場では、乾燥ひよこ豆を水で戻して、さらにそれを発芽させて栽培する、という活動を4月に行っていました。目的は植物の成長を知ること、自給自足ができることを知ること、です。もちろん低年齢の子どもたちに全てを理解させることは難しいですが、「植物は自分で栽培できて、食べられる」という体感が大事なのではないでしょうか。
別のプレスクールでは、エコバッグ推進の活動をしていて、子どもが布製のバッグにペイントをして、それを家庭に持ち帰って保護者に使用を勧めたりしています。
また別のプレスクールでは、散歩中に子どもたちが自ら進んでゴミ拾いをして、リサイクル用のゴミ箱に捨てる姿が見られたそうです。
プレスクールや学校だけでなく、社会全体で環境意識が高いスウェーデンをはじめとする北欧諸国。そんな学びの環境がグレタさんを生んだ要因の1つだと思います。ここスウェーデンでは、グレタさんの主張は珍しいことではなく、1人1人が解決に向けて取り組む問題だ、という意識があると日々生活していて感じます。
次回は今年の7月に改訂になったカリキュラムの中のホットな話題をお伝えします。
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